An advertisement featuring Caitlin Clark is displayed ahead of the WNBA All-Star Game, in Indianapolis

インディアナ・フィーバーに所属するケイトリン・クラーク氏を起用した広告。インディアナポリスで2025年7月撮影。 REUTERS/Amy Tennery

[30日 ロイター] – 米国の女子プロスポーツが、資金の潤沢な投資家の間で注目を集めている。米プロフットボールNFLや英プレミアリーグに属する男子チームは参入に非常に高い費用がかかり、今後の値上がり余地も限られているのに対し、女子プロスポーツはまだチームの値段が比較的安く、しかも急成長が期待できるためだ。

女子スポーツはかつて未成熟な市場とみなされて​いたが、メディア放映権料の上昇、スポンサー収入の拡大、視聴者数の増加などが進み、今では評価額が低い一方で成長の可能性が大きい市場とな‌っている。

コンサルティング会社マッキンゼーによると、米女子スポーツ市場は年16%と男子スポーツの3倍のペースで成長し、権利保有者に対して2030年までに年間約25億ドルの収益を生み出すと予測されている。

全米女子バスケットボール協会(WNBA)では、インディアナ・フィーバーに所属するケイトリン・クラークなどのスター選手が台頭。このことも男女スポーツ間の成長率の差を広げており、より高い長期リターンを求める超富裕層の投資家を引きつ​けている。

投資会社アリエル・インベストメンツのパートナーで、元NFL幹部でもあるジェイソン・ライト氏は「評価額は極めて急速に上昇しているが、それでもなお大きな成長​余地がある」と話す。アリエルは、全米女子サッカーリーグ(NWSL)に今年誕生したチーム「デンバー・サミット」に資金を投じている。

The chart represents investments investments into women's sports

The chart represents investments investments into women’s sports

<参⁠入コストは上昇>

参入コストやチーム評価額の上昇は、女子スポーツへの需要の高まりを示している。

コンサルティング会社ナビゲートによると、NWSLのチーム参入費用は、20年にロサンゼルスのエンジェル​・シティFC立ち上げの際には200万ドルだったが、28年に誕生予定のアトランタの新チームでは1億6500万ドルへと急騰した。

こうした評価額の上昇は、既存のフランチャイズでも起きている。米スポーツデジタルサイトの​スポルティコは、エンジェル・シティFCの現在の評価額を3億3500万ドルと推定しているが、これは約1年前にクラブの支配株がウォルト・ディズニーの元最高経営責任者(CEO)、ボブ・アイガー氏と、ジャーナリストである妻ウィロー・ベイ氏に売却された際の2億5000万ドルを34%上回る。取引評価額は当時ですら女子スポーツチームとして世界最高額だった。

The fees to join the NWSL has surged 8,000% over the past five years

The fees to join the NWSL has surged 8,000% over the past five years

評価額の上昇を受けて、投資家の熱はますます高まっている。ニューヨークに拠点を置く女子スポ​ーツ投資プラットフォーム「ピッチ15」のトミー・ノーダム・ジェンセンCEOは、「この分野で適切に投資すれば、市場が成熟するにつれて5年ないし10年で約2倍から5倍のリターンをもたらす可能性がある」と述​べた。これは、既に成熟した男子リーグではほとんど得られない、高いリターンだという。

メディア放映権の上昇もこうした投資判断を後押ししている。ナビゲートによると、WNBAは11年間の放送・ストリーミング‌の権利を年間⁠約2億ドルと、以前の3倍余りの金額で契約した。

NWSLも放映権が上昇しており、23年に締結した契約は年間約6000万ドルの収入をもたらしているという。

<それでも残る格差>

それでもなお女子プロスポーツの評価額は男子との間に大きな格差がある。スポルティコによると、WNBAのチームの平均評価額が約2億6900万ドルであるのに対し、米男子プロバスケットボールNBAのチームは約55億ドルとされる。WNBAのプレーオフ視聴者数がNBAのレギュラーシーズンに匹敵する水準に近づいているにもかかわらず、これだけの差がある。

スポルティコによると、WNBAのチーム、ゴールデンステート・バルキリーズは約5億ドルと女子スポーツで最も高い評価額を誇るが、そ​れでもNFLのダラス・カウボーイズの評価額128億ドルを​大幅に下回る。

「女子スポーツは実態以上⁠に評価が先行している、という声は多くある。しかし、もし視聴者数やファンの関心こそが価値を決める最大の要因だとするなら、今の評価額には、まだ市場が正しく織り込めていないズレがあると言えるだろう」と、アリエル・インベストメンツのライト氏は指摘する。

企業ス​ポンサーの増加も女子スポーツの成長を後押ししている。スポンサーユナイテッドによると、25年におけるWNBAとNWSLを合わせたスポンサー支出は前​年同期比32.7%増の1億9500万ドルと過去最⁠高を記録。米金融大手JPモルガン・チェース(JPM.N), opens new tab、デジタル決済サービスのキャッシュアップ、金融サービスのアリー(ALLY.N), opens new tabといった企業がスポンサーとなっている。

スポンサーユナイテッドによると、この拡大ペースは男子リーグの3倍以上で、ケイトリン・クラークをはじめ、WNBAのエンジェル・リースやペイジ・ベッカーズといった新たなスター選手の影響が大きい。中には数十のブランドと契約している選手もいる。

それ⁠でもマッキン​ゼーは、女子スポーツが30年時点で米スポーツ市場全体に占める割合は2%程度にとどまると予測している。

一方、​シティ・ウェルスのスポーツファイナンス責任者のイボ・ボイノフ氏は、男子チームの評価額は概ね「完全に織り込まれている」と指摘。「男子スポーツのチームを買収するために、数十億ドル規模の資金を一度に投じられる人​の数は、世界的に見ても、チームの価格が上がっていくスピードほどには増えていない」と述べ、女子スポーツにはまだ市場に十分に織り込まれていない大きな成長余地があると強調した。

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