シロクが採用した解決策は、Snowflake Cortex Analystによる分析業務の代替と、Gen2 Warehouseによるコンピューティングリソースの最適化という二軸のアプローチだった。経営データ本部でデータ基盤構築に従事する文(かざり)翔氏は、Cortex Analystの採用について当時を振り返る。

 「Cortex Analystは、Snowflake Cortex AIの機能の一つであり、ビジネスユーザーがテキストベースの質問を投げかけるだけで、AIがSQLクエリを自動生成し、分析結果を返すことができます。これにより、データチームが介在せずに事業部メンバーが自ら分析と実行のPDCAサイクルを回し、分析工数を削減することを目指しました」

 このAI分析基盤の構築において、同社はAIの回答精度とデータガバナンスの維持を最重要視した。まず、ビジネスドメインを定義したセマンティックモデル(YAMLファイル形式の仕様書)を作成し、AIがデータを適切に解釈できるようにメタデータ層を整備した。LLMモデルが複雑なJOIN処理に弱いという特性を考慮し、1つのドメインに対して1つのテーブルマートに集約することで、精度の向上を図っている。

 また、AIが誤ったクエリを生成したり、機密性の高いデータを不用意に参照したりすることを防ぐため、Cortex Analystの参照権限をAI分析専用に設計されたスキーマに限定した。文氏は、このガバナンス設計について、次のように語る。

 「AIに適切に精度高く学習させるためには、ある程度整ったAIに整った基盤というものを提供してあげないと精度が落ちてしまうため、あえて権限を絞るというところを取っています」

 この仕組みにより、ビジネスユーザーは日常使用するSlackを通じて自然言語で質問を投げかけるだけで分析が可能となり、特に直営店における週次のレポーティング業務などは、既にAI分析が完全に代替している。

 一方、コスト最適化については、Snowflakeの次世代ウェアハウスであるGen2 Warehouseを導入した。Gen2 Warehouseはリソースを最適化し、コストとパフォーマンスを改善する機能を有しており、同社はCortex Analyst用のデータマートを構築するためのdbt定期実行ワークロードに適用した。

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