働き方や暮らし方の変化により、いま私たちの住空間は「大きな転換期」を迎えている。働き方や暮らし方の変化により、いま私たちの住空間は「大きな転換期」を迎えている。素材提供:LIXIL

「愛すべき日常を、つくろう。」

住宅設備・建材メーカーのLIXILが2026年3月25日に発表した新しいブランドスローガンだ。6月の本格始動に先駆け同社が開いた「LIXIL Exclusive Brand Preview」にて、新ブランド戦略が発表された。

昨今、私たちの住空間は「大きな転換期」にある。リモートワークが定着し、働き方に変化が生まれたことやライフスタイルが多様になっていること、また建材や住宅価格の高騰により、住まいに求めるもの、住まいの在り方が大きく変わってきているのだ。

イベントでは、新ブランド戦略の披露とともに「今、家づくりに求められていること」をテーマにしたトークセッションが行われた。さらに、会場には新ブランドを体現した5つの空間を展示。「Living(住まい・住空間)」と「Life(人生)」の融合を、五感で体験できる仕掛けで、新しい日常が示された。

住まいが変わると日常の体験が底上げされる

同社Design&Brand Japanリーダーの久保克典氏は「360度の空間デザイン、365日の時間のデザイン、その双方から暮らしの理想を追求していく」と語った。

「LIXILはキッチンやトイレなどの住宅設備や窓やドア、エクステリアといった製品を“点”ではなく“空間全体”で捉えています。それぞれの設備が緩やかな境界線でつながることで、お客様の体験はより豊かなものへと広がっていくと考えています。

どんな時間を過ごしたいか、顕在化していないニーズも含め、日常の体験を底上げしていく。それが空間と時間のデザインです。

例えばキッチンを、リビングと調和した機能性キッチンに変えたことで夫婦間のコミュニケーションが変わったり、断熱性の高い窓に変えることで窓辺の空間を変えることもできます」(久保氏)

効率的な家事のための動線・体験設計をすることや、室内からベランダまで一続きのリビングと捉え、一体感のある空間を実現することなどが「空間のつながり」。四季を通じて快適を保ち、家族のライフスタイルの変化に柔軟に対応できることを「時間のつながり」としている。これらを自分らしく組み合わせていくことで、どの瞬間も「愛すべき日常」へと昇華していく。

つながり、絆が求められるこれからの住まい写真左から編集者・ライターの山田泰巨氏、建築家で大西麻貴+百田有希/o+h 共同主宰の大西麻貴氏、建築家で髙濱史子小松智彦建築設計 代表の髙濱史子氏、LIXILの羽賀豊氏。写真左から編集者・ライターの山田泰巨氏、建築家で大西麻貴+百田有希/o+h 共同主宰の大西麻貴氏、建築家で髙濱史子小松智彦建築設計 代表の髙濱史子氏、LIXILの羽賀豊氏。撮影:Life Insider

続いて行われたトークセッションでは、「今、家づくりに求められていること」をテーマに議論が交わされた。パネリストには、「愛される建築」のあり方を追求する大西麻貴氏、形態がもたらす空気感やストーリーを探求する髙濱史子氏の2名の建築家と、LIXILのブランドとデザインを率いる羽賀豊氏が登壇。モデレーターは、デザインやアートなど多分野で活躍する編集者の山田泰巨氏が務めた。

昨今、家づくりに求められていることは「つながり」だと、建築家の大西麻貴氏と高濱史子氏は指摘する。

「コロナ禍以降、どんな風に暮らしたいかを考える人が増えた印象です。なかでも、土地や地域とつながりながら暮らしたり、働きながら小商いのようなことを家でしてみたいという依頼が増えています」(大西氏)

高濱氏も「関係性」というキーワードを挙げた。

「住みながら、外部とのつながりや関係性を求めている印象です。そういう点で、家屋や外空間に求めるものが変わってきていると感じます」(高濱氏)

LIXILの羽賀氏はポイントを2つ挙げた。

「1つは“基本性能の高さへの追求”です。例えば窓の断熱性を重視される方は多いですが、エネルギー効率の向上だけではなく、外とのつながり方も窓によって変わります。性能の高さと暮らしのデザインをいかに両立できるかが重要です。

2つ目は、“自分らしさの追求”です。個性を活かし、自分らしい家にしたいというニーズが高まっている印象です。

LIXILは建材メーカーであり、空間デザインのコーディネートから建材をつくることができます。既存の商品から選ぶのではなく、空間の完成度を優先できることが強みです。自分らしさや暮らしのデザインをとことん追求できるということです」(羽賀氏)

また、「愛すべき日常」をつくりあげる細やかな配慮も披露された。

「例えばドアのハンドルは、何度も手に触れるもの。実は、握ったときにとても気持ちいい仕上がりになっている。ちょっといい気分になる。この累積こそ、住まいには重要だと考えています」(羽賀氏)

2人の建築家もこう口にした。

「まず空間の調和が先で、そこからフィードバックして製品を作るとは驚きました」(大西氏)

「建材は機能性や耐久性が担保されることが重要なため、そのためにデザインできない、となるケースもあります。ところが、デザインの観点をもって作っているというのは、建築家からすると非常にありがたいことです」(高濱氏)

豊かな人生とは、“毎日ちょっといい気分になる”ことの積み重ねイベントでは、「コンフォート グレイン」がテーマの空間が展示された。イベントでは、「コンフォート グレイン」がテーマの空間が展示された。素材提供:LIXIL

今回会場に展示されたコーディネートは「コンフォート グレイン」がテーマ。自然と調和しながら住まいに癒し深い安らぎを提供するという、近年のトレンドからインスピレーションを受けたLIXILの新しいコーディネートプランだ。

アースカラーをベースに、色彩と環境に配慮した素材と、その素材が持つテクスチャーを足しながら空間をコーディネートしている。

キッチン、リビング、テラス、ワークスペース、趣味のスペースと、それぞれのスペースでデザインや使いやすさのこだわりなどが紹介された。

羽賀氏によると、昨今は住まいにリラックスできることや解放感を求める傾向にあり、直線よりも曲線、整い過ぎた木目よりも自然な木目など、緊張感のない、つくり込みすぎていない空間がトレンドだという。

さらに印象的なのは、気がつかないほどの“小さなノイズ”まで排除されている点だ。

例えば、窓サッシの枠が均等な幅になっていること。ふと目を向けたときの美しさが、無意識のうちに心地良さを生み出す。丁番のない扉は掃除のしやすさを追求することで、生活の快適さが底上げされる。ノイズのない空間こそが、愛すべき日常をつくっていく。

LIXILのパーパスは、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」だ。人生の基盤となる住まいだからこそ、愛すべき日常を紡ぐ空間であってほしい。私たちの暮らしがどうアップデートされるのか、6月の本格始動に期待したい。

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