「心理的安全性を高めよう」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、それを「とにかく優しくすること」だと解釈してしまい、かえってチームがまとまらなくなっているケースも少なくありません。

部下に遠慮して指示を出せない、フィードバックが曖昧になってしまう。その結果、リーダーが軽く見られてしまうこともあるのではないでしょうか?

今回のゲストは、『偉ぶらないけど舐められないリーダーの話し方』の著者であり、元NHKキャスターの矢野香さん。矢野さんが教えてくれたのは、「心理的安全性=優しくすること」という誤解が、リーダーを弱くしてしまうということでした。


優しいだけでは舐められる…「心理的安全性」を勘違いしたリーダーがやってしまう3つの行動Photo: Adobe Stock



なぜ「優しいリーダー」が舐められてしまうのか

心理的安全性という言葉が広がる中で、多くのリーダーが戸惑っています。


「優しく接しなければいけない」

「厳しく言うと嫌われるのではないか」


そう考えるあまり、結果的にリーダーとしての役割を果たせなくなってしまうケースも少なくありません。


私は『奇跡が起きる毎朝1分日記』の著者として、毎朝5時55分から「1分朝活」を無料で開催しています。心と行動を整えるための短い習慣ですが、毎週月曜日はゲスト講師をお迎えしています。


今回のゲストは、『偉ぶらないけど舐められないリーダーの話し方』(日本実業出版社)の著者であり、NHKキャスターとして17年間ニュース報道番組を担当し、視聴率20%を超える番組にも出演されてきた矢野香さん。現在は長崎大学の准教授として心理学とコミュニケーション論を教えていらっしゃいます。


矢野さんが教えてくれたのは、「心理的安全性=優しくすること」という誤解が、リーダーを弱くしてしまうということでした。



リーダーに必要なのは「優しさ」ではなく「明確なフィードバック」

矢野さんが強調していたのは、リーダーの役割は「優しくすること」ではなく、「明確なフィードバックをすること」だという点です。


そのために重要なのが、次の4つのステップです。


1.褒める

2.共感する

3.指示を出す

4.行動を促す


まず相手の行動を認めて褒める。そのうえで相手の状況や努力に共感する。


そして、次に何をすればよいのかを具体的に伝える。


たとえば、「11時までにこの資料を作ってください」といったように、期限と内容を明確にした指示を出すことが重要だといいます。


さらに最後には、「この進め方で大丈夫でしょうか?」と合意を取ることで、相手の行動を促します。


この順番を守るだけで、フィードバックは驚くほど伝わりやすくなるそうです。



舐められてしまうリーダーの3つの特徴

矢野さんは、舐められてしまうリーダーには共通点があると話します。


1.相手の意見をすべて肯定してしまう

2.フィードバックが曖昧

3.「任せる」と言って丸投げする


一見、優しく見える行動ですが、これではチームの方向性が見えなくなってしまいます。


「いいと思うよ」「任せるよ」「自由にやってみて」こうした言葉ばかりでは、メンバーは何をすればいいのかわからなくなります。


その結果、リーダーは「頼りない人」として見られてしまうのです。



フィードバックは「60秒以内」が効果的

もう一つ印象的だったのは、フィードバックのタイミングです。矢野さんによると、望ましい行動でも、望ましくない行動でも、フィードバックは行動から60秒以内が最も効果的だと言います。


さらに重要なのが、次の3つのポイントです。


・タイミングを逃さない

・人格ではなく行動にフォーカスする

・主観と立場を切り分ける


つまり、「あなたはダメだ」と人格を否定するのではなく、「この行動はこうするともっと良くなる」と、観察可能な行動に焦点を当てることが大切なのです。



Z世代は「仲良し」よりも「成長」を求めている

興味深かったのは、若手世代の価値観についての話でした。


矢野さんによると、いわゆるZ世代は、必ずしも「みんな仲良くしたい」と思っているわけではありません。


むしろ、

・自分が成長できるか

・出世のチャンスがあるか

・チームに貢献できるか

といった点を重視する傾向があるそうです。だからこそ、リーダーが遠慮して曖昧な指示しか出さないと、逆に不安になってしまいます。


「どうすれば評価されるのか」

「どんな行動をすれば成長できるのか」

これを明確に示すことが、現代のリーダーに求められているのです。



日本を明るくするリーダーが増えてほしい

矢野さん自身も、毎朝発声トレーニングを行い、政治家へのコミュニケーション指導などもしているそうです。明るく、明確に、そして相手の行動を引き出す話し方ができるリーダーが増えれば、日本はもっと前向きな国になるのではないか。そんな希望を感じるお話でした。


朝活に参加された方からも、「若手とのコミュニケーションに悩んでいたので、とても参考になりました」「フィードバックの4ステップはすぐに実践できそうです」といった声が多く寄せられました。


優しいだけのリーダーではなく、偉ぶらないけれど、舐められないリーダー。そのためのヒントが詰まった、とても実践的なお話でした。

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