小学生たちとの哲学対話にも取り組んでいる、哲学者で教育者の苫野一徳さん。「なぜ勉強するのか」と子どもに聞かれたら、親子で哲学対話をすることを勧めます。子育て・教育情報誌「AERA with Kids20205年春号」(朝日新聞出版)に掲載の、花まる学習会代表 高濱正伸先生がホストになって対談を行う連載「もっと花まるTALK」から紹介します。 苫野さん、高濱先生は、子どもに何と答えるのでしょうか。
【図】哲学者が娘(当時9歳)と交わした哲学対話の例(全1枚)
「哲学対話」を、親子がお互い自分を見つめ直すきっかけに
高濱: 「なぜ勉強するのか」というのは、小学生の親なら必ず一度は聞かれる疑問だ。
苫野: もし聞かれたら、このテーマで、親子で哲学対話をやってみてはいかがでしょう。お互いに自分を見つめ直すことができるんじゃないかな。
高濱: いいですね。苫野先生はどんなふうに答えているんですか。
苫野: 哲学対話に絶対的な正解はありませんし、対話する相手によって、また時と場合によっていろいろな意見が出ます。でもだからこそ考えを深めることで、自分なりの正解や自分なりの勉強する意味を見つけることはできる。私は、人が勉強する根本的な意味は、生きたいように生きるため、自分は「自由」だと実感するためには何かしらの「力」を身につける必要があり、その力を育むために勉強があるのだと思っています。それは読み書き計算という基礎的なものだけでなく、好きなものに関する知識や教養、技術だったりするわけですが。
勉強は、面白いことの一つ。「わかる」って面白い
高濱: わかります。ちなみに僕はそう聞かれたら、子どもたちといつもいっしょにいるために実力をつける必要があるから勉強するんだよと答えてます。それに勉強は面白いことの一つだし。わかるって面白いよねって。
苫野 :そう、わかる、気づくことの喜びですよね。ただしいまの学校がそういう力をつけるための学びの場になっているのか、という問題があるんですが。画一的、強制的な勉強では、そこに意味を見いだし、これで自由になれるとはなかなか思えないですから。
高濱: 苫野先生は哲学者であると同時に、教育者でもありますよね。ルソーの教育論が書かれた名著『エミール』を解説した本『「エミール」を読む』も出版されています。それについても語りたいところですが、教育に興味を持ったのは、何かきっかけがあったんですか。
