ケンブリッジ大学による新しい研究で、幼い子ども向けのAI搭載おもちゃが感情の合図を誤解する場合があり、発達に不可欠な「遊び」を支える上で効果的ではないことが明らかになった。この結論は、親たちにとって懸念すべきものとなる可能性がある。

研究者らが観察する中、AI玩具「Gabbo」で遊ぶ3歳のマイアちゃんと母親のヴィッキーさん
提供:Faculty of Education, University of Cambridge
AIが幼児に与える影響を調査した報告書には、チャットボット機能を備えたおもちゃが、遊びの中で社会的合図の認識に苦戦する様子がまとめられている。研究者らは、そのおもちゃが子どもの感情を効果的に特定できなかったことを発見し、子どもたちとの関わりについて警鐘を鳴らした。
報告書は、子ども向けのAIおもちゃを規制し、その機能やプライバシーポリシーの明示を義務付けることを推奨している。また、親に対しては、子どもが遊んでいる間、監視の目が届く共有スペースにこれらのデバイスを置くよう助言している。
この調査の基になる研究は、参加者数こそ限られているものの、複数のパートに分けて実施された。まず、幼児を持つ39人の参加者を対象としたオンライン調査、幼児と接する仕事をしている9人のフォーカスグループ、そして幼児を支援する慈善団体のリーダーや代表者19人による対面ワークショップだ。その後、14人の子どもと11人の保護者を対象に、Curio Interactiveのチャットボット搭載おもちゃ「Gabbo」を使った遊びを観察する時間が設けられた。
一部の調査結果では、Gabboが特に言語能力やコミュニケーションスキルの面で学習をサポートすることが示された。一方、Gabboが子どもを誤解したり、感情的な問いかけに対して不適切な反応を返したりすることもあった。
例えばある子どもがGabboに「I love you」と伝えた際、Gabboは「念のためお伝えしますが、やり取りは提供されたガイドラインに従うようお願いします。今度どのように進めたいか教えてください」と回答したという。
この研究に携わったケンブリッジ大学教育学部の神経多様性と発達心理学の教授であるJenny Gibson氏は、保護者は新しいテクノロジーが子どもにもたらす教育的メリットに期待するかもしれないが、懸念材料も多いと語る。
Gibson氏は、テクノロジーの背後にある目的について、根本的な疑問を投げかけた。
「(テクノロジー投資家が)利益よりも子どもを優先し、子どもたちのために正しい行動をとる動機はどこにあるだろうか」と、同氏は述べている。
Gibson氏は米CNETに対し、研究者らはAIベースのおもちゃの潜在的な利点を探っているものの、リスクは依然として存在すると語った。
「現段階では、保護者はそれを真剣に受け止めるべきだと助言したい」とも同氏は述べた。
AIおもちゃの今後
インターネット接続機能やAI機能を備えたおもちゃが増えるにつれ、特にそれが人間同士の本物のつながりに取って代わったり、交流が十分に監視されなかったりする場合、子どもにとって重大なリスクとなる可能性がある。
一方で、警告にもかかわらず、「ChatGPT」などのチャットボットを利用する子どもは増え続けている。AI企業を相手取った複数の訴訟では、AIコンパニオンやアシスタントが若者の心理的安全性に影響するおそれがあると主張しており、中には自傷行為や否定的なセルフイメージを助長したチャットボットの例も報告されている。
これに対し、OpenAIやGoogleといったAI企業は、AIチャットボットに保護策や制限を設けることで対応している。
Gibson氏は、一部の保護者がAIおもちゃに対して示した強い関心に驚いたという。同氏はまた、幼い子どもに対するAIの影響に関する研究が不足していることにも危機感を抱いており、こうした製品を作る企業は子どもや親、児童発達の専門家と直接協力すべきだと指摘した。
「このプロセスに欠けているのは、こうした交流において何が子どものためになるのかという専門知識だ」と同氏は述べた。
Gabboの開発元であるCurio Interactiveは、この研究が行われていることを認識していたが、直接的な関与はしていなかったとGibson氏は言う。このおもちゃが選ばれたのは、幼い子ども向けに直接販売されており、同社のプライバシーポリシーが分かりやすかったからだ。Gibson氏によれば、同社はこのプロジェクトに協力的だったという。
Curio Interactiveの担当者は米CNETへのメールで、安全性を最優先に玩具を設計しており、「危険がないことを確認し、最高水準で製造している」と述べた。
同社は、自社の製品が児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)などの児童プライバシー法を順守しており、子ども向けテクノロジーのデジタルコンプライアンスを専門とする企業KidSAFEとも協力していると説明した。
またユーザーデータは暗号化で保護しており、保護者はアプリを通じてデータを管理・削除できるとしている。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
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