この記事は『ナショナル ジオグラフィック トラベラー(UK)』により制作されました。
ミシュランガイドが星による評価を開始して、2026年は100年目を迎える。今でこそ、世界のさまざまな地域の多くの料理が対象だが、ずっとそうだったわけではない。
最初のガイドは20世紀初頭に発行された。始まりは、タイヤ大手の仏ミシュランの創業者であるアンドレとエドアールのミシュラン兄弟が、ドライバー向けに地図やタイヤ交換の方法などの自動車関連のお役立ち情報が載っていた印刷物だ。
この小さな赤いガイドブックは1920年に刷新され、フランス全土のおすすめレストランの一覧が掲載された。ミシュラン兄弟の狙いは明確だった。自動車旅行が活発になれば、もっとタイヤが売れるだろう、というものだ。
その後、数年でミシュランは覆面調査を導入し、1926年、フランスの評価が高いレストラン46カ所に最初の星を与えた。このアイデアは成功を収め、1931年、一つ星システムは三つ星システムに変更された。
5年後に掲載されたランキングの基準によれば、星の数の意味はこうだ。一つ星は、そのカテゴリーで特に優れたレストラン。二つ星は、遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理。三つ星は、そのために旅行する価値がある卓越した料理。この尺度は、現在もほぼ変わっていない。
以来、ガイドには新たな称号が導入されている。1997年に始まったビブグルマンは価格以上の満足感が得られるレストランに、ミシュランプレート(のちにセレクテッドレストランに改名)は星やビブグルマンは付与されていないものの美味しい食事が楽しめる店に与えられる。2020年には新たにミシュラングリーンスターが、まずはフランス、そしてすぐに北欧で登場した。これは、持続可能な食文化に貢献するレストランを評価する。
今やミシュランは40カ国以上で数千軒に及ぶ飲食施設を評価している。一方で、「評価方法に欠点がある」「星を保つためにシェフにかかる負荷が大きすぎる」など、ミシュランの評価に不快感を示すシェフもいる。(参考記事:「世界魂食紀行」)
マルコ・ピエール・ホワイト氏は、星を「返上」した最初のシェフとされている。自身のレストラン「ジ・オーク・ルーム」を1999年に閉じる前に星を返上した。それから何人かのシェフが追随した。
論争はあるものの、高級レストランのシェフであれ、庶民的な小さい店の料理人であれ、ミシュランの星(あるいは三つ星)を得ることがキャリアの頂上だと考えている。では、星付きの名店をいくつか紹介しよう。
ミシュランの星を最長保持
フランス東部の小さな村であるヴォナにあるレストラン「ジョルジュ・ブラン」は、ミシュランの星の歴史とほとんど同じくらいの間、少なくとも一つ星を維持してきた。「ラ・メール・ブラン」として創業、ハーフティンバー様式の建物で、1929年に一つ星を獲得し、1930年代前半に二つ星に昇格した。当時のシェフは、現在のジョルジュ・ブラン氏の祖母に当たるエリザ・ブランだった。
ジョルジュ・ブラン氏は1968年に25歳で店を継ぎ、やがて三つ星となって2025年まで保持していた。ディナーとランチの時間は1時間15分で、ハーブとシャルドネを使ったロスコフ産タマネギとホタテ貝のマリネや黒トリュフを添えたブレス鶏の塩釜焼きなど季節の料理が楽しめる。

