
写真は3月9日、米ニューヨーク証券取引所で撮影。REUTERS/Brendan McDermid
銀行を経由せず直接企業などに融資を行うプライベートクレジットは今や市場規模が2兆ドルに膨らんだが、透明性や貸し出し規律を巡る懸念によって信頼性が揺らいでいる。
特に個人投資家が購入できるプライベートクレジット・ファンドに対する重圧が鮮明化した。ファンドの積極的な売り込み対象になっていたのが個人投資家だった。
<数字が物語る状況>
取引するのが比較的難しいプライベートクレジット資産だが、一般投資家は上場されている「事業開発会社(BDC)」の株式を買うという形でこうした資産にアクセスできる。BDCとは、主として中堅・中小企業に投融資する米国特有の投資会社だ。
モーニングスターによると、このBDCの報告資産に基づく額面1ドル当たりの平均取引価格は足元で0.78ドルと、年初時点の0.85ドル、2025年初頭の約1ドルを下回っている。
こうした下落から、投資家がBDCの想定する資産価値に疑いの目を向けていることがうかがえる。
<最大のBDCも下落>
規模別で上位20のBDCの大半は過去1年間で、資産価値との比較で株式が値下がりし、ほぼ全てが額面1ドル割れの状態だ。このセクターには、主要貸し出し先のソフトウエア企業の事業が、人工知能(AI)に置き換わるのではないかとの懸念も逆風となっている。

Price-to-asset values for the top 20 BDC funds by assets today versus one year ago
比較的大手の資産運用会社は、市場のボラティリティーにもかかわらず、運用資産は引き続き安定していると話すが、緊張が生じていると認める向きもある。KKRとブラックストーンの幹部は2月、一部の借り手が苦境に置かれていると述べた。
モーニングスターのジャック・シャノン氏は、プライベートクレジットは急成長が業界でより高いリターンの提示や融資基準の緩和を通じた競争激化をもたらした結果として「最良の時代は過ぎ去った」と投資家が考えているようだ、と解説した。

A chart shows shares in the BDC index of private credit funds falling 13% in the last year
<深刻さの理由>
株価下落は悲観論の増大を意味する。エバーコアISIのアナリスト、グレン・ショア氏は、1ドル割れはリセッションと貸し倒れ損失の拡大に対する不安感の反映だと指摘した。
非上場BDCにも重圧がかかっている。
複数の関係者は今週ロイターに、JPモルガンがソフトウエア企業を巡るボラティリティーの影響を検討した後で、プライベートクレジット向けローンの評価額を切り下げたと語った。
<資産は拡大続く>
プライベートクレジット市場は拡大が続き、さらに成長するとの見通しが複数出ている。法律事務所エバースヘッズ・サザーランドの試算では、約50の上場BDCが保有する資産総額は1500億ドルを超え、100余りの非上場BDCも2700億ドルの資産を持っている。

Stacked column chart showing private credit AUM to double by 2030
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