妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

ーほら。こんにちわっていいな!

「リモート会議のたびに、子どもを画面に映し出す同僚にイライラしてしまいます。勤務時間中なのに、自宅だからといってリラックスムード全開。なんだかなぁ……と思ってしまうんです」

そう話すのは、都内の企業に勤める独身の会社員、海里梨花さん(仮名・42歳)だ。

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「お子さんが可愛いのは分かりますし、褒めてほしいのでしょうけれど、仕事の時間にそれが必要でしょうか」と、梨花さんは率直な胸中を明かす。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、この現状をこう分析する。

「育休や時短勤務など、子育て支援制度の拡充は進んでいます。しかしその分、周囲で『しわ寄せ』を受ける側への配慮が追いついていないのが現実です。昨今、多くの企業がリモートワークから出社回帰へと舵を切っている背景には、こうしたコミュニケーションの温度差も影響しているのかもしれません」

総務省の統計によると、民間企業のテレワーク導入は2020年の新型コロナウイルス感染症拡大後に急増したが、2022年以降は減少傾向が続いている。

「『令和6年通信利用動向調査』によると、テレワークを導入している企業は47.3%です。また、日本のテレワーク利用状況を年代別にみると、40代、20代、30代の順に高く、特に40代では32.0%に達しています。まさに子育て世代が中心となって活用している実態が浮き彫りになっています」(

梨花さんも、職場の変化を肌で感じている。

「同僚が次々と親になり、リモートワークを活用するようになりました。それ自体に異論はありません。通勤時間を短縮してお子さんと過ごしたり、家事と両立したりするのは合理的だと思います。ただ、問題はその『使い方』なんです」

会議のたびに子どもを「見せつけられる」側は、どう反応すべきか困惑するという。

「一体、何を言えば正解なのでしょうか。子どもの登場でミーティングの開始時間が押したりすると、『これは何の会議なんだろう?』と虚しさを感じてしまいます」

平塚氏はこう指摘する。

「リモートワークの普及で、『自宅=プライベート空間』という感覚が職場(会議)に持ち込まれやすくなっています。子育て中の側に悪意はなくとも、あくまで勤務時間中であるという境界線が曖昧になっているのでしょう」

梨花さんは最後に、苦渋の表情でこう語ってくれた。

「先日、あまりにも目に余る状況だったので、思い切って注意をしたんです。するとそれ以来、職場は険悪なムードに……。周囲からは『理解のない子なし』というレッテルを貼られてしまい、非常に残念な気持ちになりました」

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※本記事で使用している写真はイメージです。

【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】悠木 律 PHOTO:Getty Images 【出典】総務省|令和7年通信白書

 

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