2026.03.01

Sponsored by 岩佐教育文化財団

株式会社エム(代表者 森進)

株式会社エム(代表者 森進)

社会課題の解決やSDGsで掲げられた目標の達成へ懸命に行動する人たちを支援する「SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞」(SDGs岩佐賞)の第7回受賞者が3月1日(日)に公表されました。SDGs ACTION!では、受賞者の方たちの活動内容をご紹介します。


活動名:脳萎縮計測ソフト開発:百万人単位で認知症発症者を減らしたい

特別奨励賞 賞金1000万円

米ジョンズ・ホプキンス大学で、主に脳を対象にしたMRIやCTの画像分析について、30年間にわたって研究してきた医学部放射線科教授・森進。2018年、京都大学から共同研究の誘いを受けた際、森は日本国内に存在する「健康な人の脳画像データ」に着目しました。

脳ドックが浸透している日本では、認知症などの脳疾患を発症する前の、健康な人の脳画像が大量に蓄積されています。数百万に及ぶその脳画像データを解析すれば、相対的に脳の萎縮が進んでいる人を発見することができる。該当する人に生活習慣の改善や運動を促せば、認知症の発症を防いだり遅らせたりすることができるのではないか——。この思いを「研究の集大成」として形にしようと、2021年、森は還暦目前にして株式会社エムを創業しました。

画像分析により認知症発症の可能性を示唆し、発症の遅延を目指す
画像分析により認知症発症の可能性を示唆し、発症の遅延を目指す

まずは、約3万人分の健康な人の脳画像データをAI分析し、年齢別の萎縮の平均値やばらつきを解析しました。翌年には、脳画像分析ソフトウェアの第1次開発を完了。低解像度のMRI画像でも分析できる、汎用性の高いソフトの開発に成功しました。この解析アルゴリズムが、世界の約2万人の研究者によって長年適用・改良されてきた標準的技術をベースにしている点、それをビッグデータ解析によって特許技術にまで仕上げた点は、国内外の学術界からの信頼にもつながっています。

2023年からは、認知症のリスク因子を測定する「脳健康評価プログラム MVision health(エムビジョンヘルス)」の医療機関への提供を開始。受診可能な医療機関は約350カ所、受診者数は累計約1万5000人に上ります(2025年5月時点)。なかには、MVision healthで萎縮度合いが高いことが判明して精密検査を受け、「初期の認知症」という早期診断につながったケースもあります。

高齢化が進む日本において、認知症患者の増加は、今後さらに深刻な問題となるでしょう。しかし、脳の萎縮状況を把握し生活習慣を改善することが、認知症の対策につながりうることは、あまり知られていません。今後、適切な情報発信をするとともに、MVision healthを普及させることで、「認知症になる人を1人でも減らす、発症を1年でも遅らせる」ことに貢献していきたいと思っています。

受賞コメント
人の寿命が長くなる中で、「健やかに生き続けること」を支えるための取り組みは、より重要になっています。今回の受賞を糧に、認知症の予知予防システムについて、さらなる社会実装を進めていきます。

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