妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

東京で春一番が吹くほど暖かくなった昨日だが、全国のインフルエンザ感染者数は依然として高い水準で推移している。厚生労働省の発表によると、令和8年第7週(2月9日〜15日)のインフルエンザ報告数は157,713件、1医療機関あたり41.44人となった。

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危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、現状をこう指摘する。

「インフルエンザが流行する時期、小さなお子さんを抱えて働く親たちは戦々恐々としていることでしょう。集団生活を送る以上、どうしても感染リスクは避けられません」

当然、園からの「発熱によるお迎え要請」が増えることも予想される。

「保育園としては感染拡大を防ぐため、発熱した園児を速やかにお迎えいただく必要があります。仕事の都合がつかないという現実も痛いほど理解できますが、そこは社会的なルールとして折り合いをつけるほかありません」

しかし——。 この「発熱時の対応」をめぐって、耳を疑うような態度をとる親がいるという。お話を伺ったのは、昨年末まで保育士として勤務していた柏原すずさん(仮名・29歳)だ。

「保育士は本当に過酷な仕事だと痛感しました。待遇面の問題もありますが、何より精神を削られるのは、ごく一部の『非常識な親』の存在です。いわゆるモンスターペアレント(モンペ)と呼ばれる方は、想像以上に多いのが現実でした」

かつては子どもが大好きだったというすずさんだが、現場を経験した今は、自分自身の出産に希望を持てなくなってしまったと漏らす。

「リスクばかりが目に付くようになってしまって。保育園に預ける親御さんのほとんどは素晴らしい方々ですが、皆さん一様に疲弊されています。その上、一部の理不尽な要求に晒される現場にいると、『子どもを産み育てる意味』を見失ってしまったんです」

そんななか、感染症が流行し始めると、決まってお迎えを拒む親がいたという。すずさんが3歳児クラスを受け持っていたときのこと。クラス内で感染が広がるなか、Aくんが午前中に発熱した。

「おそらく、朝から体調が悪かったのだと思います。解熱剤などで一時的に熱を下げて登園させるのは、残念ながらよくある話なんです」

すずさんがAくんの母親に電話を入れると、返ってきたのはとんでもない言葉だった。

ーあ、うちの子、平熱が高いんですよ。

ーたぶん熱がこもっているだけなので、服を脱がせて測り直してください!

「本人はぐったりしていますし、明らかに高熱。それなのに、この言い草です。挙句の果てには『あとはお願いします!』と一方的に電話を切られてしまって……」

平塚氏は、こうした親の振る舞いに警鐘を鳴らす。

「子どもの体調不良時に迅速な対応をしないことは、子ども自身の健康を損なうだけでなく、他の園児や職員への二次感染リスクを著しく高めます」

すずさんは最後に、やるせない表情でこう話してくれた。

「働きながら育てる大変さはわかります。でも、こういう親御さんに限って、私たちへの感謝はなく、どこか保育士を下に置いているような態度を感じるんです。実はこのあと、職場にいた父親にも連絡をしたのですが、そこでさらに耳を疑うような返答がありました」

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※本記事で使用している写真はイメージです。

【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏【聞き手・文・編集】常田真悠PHOTO:Getty Images【出典】厚生労働省|インフルエンザに関する報道発表資料 2025/2026シーズン

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