「BigQuery の導入により、弊社のビジネスモデルは『ONE TAP SPORTS』の販売から、より付加価値の高いデータやダッシュボードの提供へと変化しました。Gemini の導入はその延長線上にあります。AI を活用すれば、物理的なキャパを超えてより多くの人に、より低価格に高品質なサービスを提供できるはずだという考えは、以前からずっとありました。」(橋口氏)

「Gemini は、Google Cloud 環境にあるデータ ウェアハウスとシームレスに連携でき、マルチクラウドにも対応しています。コスト、性能、将来的な拡張性や進化のスピードを考えても、ほぼ一択だったと言えます。特に初期段階では、Google Cloud のエンジニアと何度もディスカッションして、最適なアーキテクチャやツールの組み合わせを固めてから AI エージェントを開発しましたので、大きな問題や手戻りは発生しませんでした。」(田中氏)

ユーフォリアの AI システムは、先進的なアーキテクチャで構成されています。田中氏によれば、最大の特徴は睡眠を軸に、栄養エージェント、トレーニング エージェントなど、何人もの「専門家」が連携してユーザーを支援する「マルチ エージェント システム」を採用している点にあります。

「人間の体は複雑で、睡眠の悩みひとつをとっても、原因は食事、運動、メンタルなど多岐にわたります。そこで、単一の AI ですべてを処理するのではなく、各分野の専門知識を持つ複数の AI エージェントに、分析とフィードバックの役割を分けることにしました。それらを束ねるオーケストレーター(指揮者)役のエージェントも設け、総合的かつ具体的なアドバイスを導き出すようにしています。」

一方、負荷計算などを行う際には、従来型の数理最適化モデルや同社が長年蓄積してきたデータを用いた計算結果に基づき、Gemini が文章を生成するコンポジット構造を採用しています。これはハルシネーションを回避しつつ、回答の精度を最大限に高める工夫ですが、プロンプトのチューニングでは、安藤氏の知見もフルに活用されました。

「最初はアルバイトの方に指示をするような要領で入力していたのですが、出力される結果はイメージとどこか違っていました。それは私たち人間が無意識のうちに多くの判断をしており、指示書に落とし込めていないからなのです。生成 AI はユーザーに気を使い、データがない状況でも『良い結果ですね』と回答してしまいがちになりますので、この傾向を修正することも必要でした。さらには詳細な分析と読みやすさを両立させるために、文字数の最適なバランスを見つける、シフトワーカーの方に向けて、土日のない勤務体系や分眠(複数回に分けて眠ること)を踏まえたアドバイスができるようにするなど、様々な試行錯誤を重ねました。今後は、海外出張や海外旅行の『行き先と日程を考慮した』最適な過ごし方の提案などに応用することも考えています。」

Write A Comment