高市首相が施政方針、「必要な財政出動ためらわず」 市場の信認確保も強調

 2月20日、高市早苗首相(写真)は施政方針演説で、「経済成長を実現するために必要な財政出動をためらうべきではない」と述べ、複数年度予算の導入などを通じて国内投資の促進に注力すると表明した。写真は国会で施政方針演説を行う高市首相。都内で20日撮影(2026年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 20日 ロイター] – 高市早苗首相は20日の施政方針演説で、「経済成長を実現するために必要な財政出動をためらうべきではない」と述べ、複数年度予算の導入などを通じて国内投資の促進に注力すると表明した。一方、戦略的な財政出動によって成長率の範囲内に債務残高の伸びを抑えるとし、金融市場の信認を確保するため具体的な指標を明確化する考えを示した。

高市首相は、これまでの財政の在り方を抜本的に転換し、看板政策である「責任ある積極財政」を進めると強調。毎年補正予算を編成する慣例を止め、「必要な予算は可能な限り当初予算で措置する」とした。「事業者に安心して研究開発や設備投資をしてもらえるよう、複数年度予算や長期的な基金による投資促進策を大胆に進める」、「国内総生産(GDP)の成長にも資する危機管理投資、成長投資などについては、債務残高の対GDP比引き下げにもつながるよう、予算上多年度で別枠で管理する仕組みを導入する」と語った。

同時に「マーケットからの信認を損なう野放図な財政政策を取るわけではない」と説明。「政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げ、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保し、そのための具体的な指標も明確化する」とした。「財政規律にも十分配慮した財政政策こそが、高市内閣の『責任ある積極財政』」と述べた。

政権が重視する半導体や人工知能(AI)、造船など17の戦略分野については、「官民投資のロードマップを来月から提示」することを明らかにした。また、今夏に「日本成長戦略」をまとめ、投資の見通しを定量的に提示するとともに、GDPや税収にどの程度寄与しそうか見通せるようにするとした。

高市首相がかねてから力を入れてきた経済安全保障分野では、「海外事業の展開支援、総合的なシンクタンク機能の構築に取り組む」ほか、「日本版CFIUS、『対日外国投資委員会』」を創設する。南鳥島周辺海域の海底のレアアース資源の活用に向け、取り組みを急ぐ。

エネルギー政策は、安全性が確認された原子炉の再稼働を加速するほか、廃炉が決まった原子力発電所の建て替えに向けて次世代革新炉の開発・設置を具体化する。ペロブスカイト太陽電池や次世代型地熱発電設備のサプライチェーン(供給網)を国内に構築する。

<主体的に防衛強化>

外交・安全保障政策については、3月に訪米する可能性があると説明。「トランプ大統領との信頼関係を一層強固なものとし、あらゆる分野で日米関係をさらに強化する」と述べた。米国が西側諸国に求める防衛費の増額を巡り、日本が主体的に防衛力を強化する必要性に言及し、年内に国家安全保障戦略をはじめとする「三文書」を前倒しで改定する方針を改めて表明した。

中国とは「戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築していくことが、高市内閣の一貫した方針」「重要な隣国であり、様々な懸案と課題があるからこそ、意思疎通を継続しながら、国益の観点から冷静かつ適切に対応する」と強調した。 昨年10月の所信表明演説に盛り込まれた「安全保障上の懸念が存在する」との表現は使わなかった。

また、情報機能を強化するため首相を議長とした「国家情報会議」を内閣に設置するほか、内閣情報調査室を「国家情報局」に格上げするとした。「その分析結果も活かし、外国からの不当な干渉を防止するための制度設計を進めるなど必要な対策を講じる」と語った。一方、日本維新の会との連立協議で合意したスパイ法制定については明確な発言がなかった。

不法滞在者をなくす施策も推進し、ビザ(査証)免除の来日者の入国を事前に審査する電子渡航認証制度を創設する法案を提出する。外国人による土地取得に関する規制の在り方の検討を進め、夏までに骨格をとりまとめる。

このほか、物価高対策の一環として実施の有無が注目されている飲食品の消費減税は、「特例公債に頼ることなく、2年間に限り、消費税をゼロ税率とすることにつき、スケジュールや税源の在り方など、その実現に向けた諸課題に関する検討を加速する」と従来の説明を繰り返した。「夏前には中間とりまとめを行い、税制改正関連法案の早期提出を目指す」とした。給付付き税額控除が本丸だとし、制度設計を含めた社会保障と税の一体改革について、超党派で構成される「国民会議」において検討を進めて結論を得る考えを改めて示した。

自民党幹部に求めてきた2026年度予算案の今年度内成立については、迅速な審議を要請した。26年度税制改正関連法案をはじめ、今年度末までに成立が必要な法案については、「早期成立に協力を求める」とした。

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