妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

物価高が続くなか、学校給食は困窮世帯の子どもたちにとって「命綱」としての役割も果たしている。文部科学省の「令和5年度学校給食実施状況調査」によると、小学校で完全給食を実施している割合は、学校数で99.1%、児童数で99.3%。ほぼすべての児童が給食を利用している計算だ。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。

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「給食のない長期休みは子どもの体重が減る、という話も耳にします。物価高が多くの世帯を圧迫しているのは明白でしょう。先の衆院選でも、多くの政党が食料品の消費税や無償化について公約を掲げていました。今後の具体的な取り組みを注視したいところです」

一方で、アレルギーや家庭の事情により、あえて給食を食べない子どもたちも存在する。

「健康上の理由だけでなく、親の信念や思想上の理由などで給食を辞退しているケースも、少数ですが存在します。親の志向が家庭教育に反映されるのは自然なことですが、問題はその『度合い』です」

平塚氏によれば、特に注意が必要なのは極端な健康志向や思想を押し付けるケースだという。 「『子どものため』という言葉が、実は親のエゴになっていることが少なくありません。過度な制限や禁止は子どもの社会性や心理面に深刻な影響を及ぼし、家庭外での孤立を招く危険性があります」

今回お話を伺った片山郁美さん(仮名・30歳)は、まさにその「過度なこだわり」を持つ母親に育てられ、長年苦しみ続けてきた一人だ。

「幼い頃から、食卓に肉や卵、乳製品が並ぶことは一度もありませんでした。給食も食べさせてもらえず、私だけ毎日お弁当。周りと違うのが恥ずかしくてたまらなかったけれど、母に言い出すこともできず、黙々と弁当を食べる日々でした」

母親は日常的に、郁美さんにこう言い聞かせていたという。

ー肉や卵なんか食べたら地獄に落ちる。

ー卵なんて命を奪ってる。可哀想だと思わないの?

ー外食は悪魔の食べ物。

ーテレビは嘘しか流さない

市販のお菓子はもちろん、テレビゲームやキャラクター玩具など、流行のものは何一つ与えてもらえなかった。

「周りも同じような環境ならまだ救われたのでしょうが、普通の公立小学校だったのでとにかく浮いていました。変なあだ名をつけられたり、避けられたり。友達と呼べる人は一人もいませんでした。ずっと、孤独でした」

さらに、母親の矛先は学校や周囲にも向かったと話す。

「母は先生や近所の人にも自分の思想を一方的に押し付けていました。当然、敬遠されますよね。先生たちからも疎ましがられているのを感じて、本当に辛かったです」

平塚氏は、こうした家庭環境についてこう警鐘を鳴らす。

「親の価値観を絶対視させる教育の先には、大人になってからの深刻な対人トラブルや、激しい反動が起こるリスクが潜んでいるので注意が必要です」

郁美さんは最後に、絞り出すような声でこう語った。

「母はいつも『郁美のために』と言っていましたが、私には母が『自分の満足のために』私をコントロールしているようにしか思えませんでした。その時に受けた傷と反動は、30歳になった今も続いています」

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※本記事で使用している写真はイメージです。 【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】常田真悠 PHOTO:Getty Images 【出典】文部科学省の「令和5年度学校給食実施状況調査」

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