最終更新日 2026年02月07日
犬、猫、ウサギ、小鳥……一人暮らしでもペットを飼いたい。でも、どんな部屋を借りればいい? 家賃や敷金は高くなるの? 契約の前に知っておくべきことは? 生活上で注意すべきことは? などの疑問もいっぱい。そこで、一人暮らしでペットを飼うことについて、目黒アニマルメディカルセンターの佐藤貴紀先生と、不動産会社・カエルホームズの木津雄二さんに聞いてみた。

(画像/PIXTA)
ペットを飼うことで暮らしにいい変化を感じている人が多数
ペット(犬・猫)を飼っている5000人に対し、ペットを飼うようになってどんな変化があったかを聞いたアンケートによると、「癒される」と答えた人が約7割。「楽しい」という変化も4割近くの人が実感している。一人暮らしであればなおさら、日々癒されたり、楽しさを感じるという実感は大きいだろう。

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また「コミュニケーションの輪が広がる」(26.2%)「生活が規則的になる」(18.4%)なども上位に。ペットを飼うことで、周囲とのコミュニケーションが増えたり健康的な生活ができたりと、暮らしにいい変化をもたらしていることがわかっている。

ペットを飼うメリットについての調査では、上位にたくさんのいい変化が。出典:「ペットに関する調査(2024年)実態編」(株式会社クロス・マーケティング調べ:2024年10月29日)。調査対象:全国の20代から60代の犬または猫を飼っている男女5000人。調査期間:2024年10月4日(金)~同6日
ペットとの一人暮らし ペットと暮らすのにおすすめの物件条件は?
ペットの習性を考え、お互いに快適・安全、楽しく過ごせる物件を探そう
ペットと暮らすためには、まず「ペット可」の物件を探すことが大前提となり、一般の物件に比べると選択肢は決して多くないのが現状。しかも、ペットの種類にも制限がある。そんな中でも、ペットと飼い主にとってより快適で、安全で、楽しい生活ができる物件を選ぶには、どんな点をチェックすればいいのか、獣医師の佐藤先生に教えてもらったので参考にしよう。
●犬
ケージを置ける広さの部屋(中に犬のベッドやエサ・お水・トイレなどが入るケージ。目安として、2~4kgくらいの小型犬で6畳くらいがぎりぎり)、散歩がしやすい環境、階段でも行き来できる低層階など
●猫
玄関や水まわりと部屋を仕切れる1K以上の間取り、ロフト付きなど上下運動のしやすい部屋づくり、万一ベランダなどから落下しても危険性の低い2~3階までの低層階など
犬や猫だけでなく、うさぎ、小鳥、爬虫類など、すべてのペットにいえることだが、「近くに動物病院があるかどうかもチェックしたいポイント。夜間救急に対応している病院があるとさらに安心です」と佐藤先生。また、「特に爬虫類などは、犬猫に比べて診てもらえる病院が限られるので、住むエリアを決める段階から重視したほうがよいでしょう」

小型犬のベッドとトイレ、ごはん・お水が入るケージは、縦横90cm×60cm以上が目安(画像/PIXTA)
ペットと暮らす場合、家賃や敷金は高くなる?
敷金が積み増しになるケースが多い
ペットのいる生活では、人間だけが住むケース以上に、床や壁が傷ついたり、汚れたりすることも。となると、原状回復にお金がかかるため、「敷金が積み増しになることが多いです」とカエルホームズの木津さん。

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犬や猫の場合では「ペット1頭につき、プラス1カ月分、2頭ならプラス2カ月分の積み増し、かつ、積み増し分は償却(退去時に戻ってこない)というケースがほとんど。また、物件によっては、賃料が5000円アップ、などというケースもあります」
こうした情報は備考欄に書かれていることが多いので、ペットを飼う場合は、そうでない場合にかかる費用のほかに、どのような費用の加算があるのかを不動産会社に確認しよう。
部屋の損傷が大きいと、原状回復の費用も
退去時の損傷が大きい場合、さらに原状回復費用がかかるケースも。「国土交通省のガイドラインでは、原状回復は基本的に全額オーナーの負担で、入居者の故意・過失に関する部分だけ入居者負担となっています。ところが、ペットを飼う場合は全額入居者の負担となることがあります。契約書に『ペットを飼った場合の原状回復の負担』などと記載されているかどうか確認しましょう」と木津さん。
クリーニングだけでは済まず、交換となってしまった場合、かかる費用の目安を教えてもらった。
●フローリングの張り替え(走り回って傷だらけ、オシッコが染み込んだなど)
標準グレードのフローリング材で1m2あたり1万円くらい
例えば床面積30m2の部屋なら30万円くらい
●クロス(壁紙)の張り替え(爪とぎでの傷や汚れ、ニオイが染み込んだなど)
標準グレードのクロス1m2あたり1000円くらい
床面積30m2の部屋の壁と天井すべて張り替え(90~100m2)なら10万円くらい

フローリングはラグを敷くと傷防止に。犬がオスの場合、壁への足上げオシッコにも注意(画像/PIXTA)
保険でまかなえることもあるので契約時に確認を
契約時に入る火災保険や少額短期保険は「保険のプランによって補償される範囲が違うので、すべてではありませんが、中には修理費用を出してもらえる保険もあります」と木津さん。
「加入する火災保険は、管理会社やオーナーの指定のことが多いのですが、契約時に『その保険は、もしペットが床を汚してしまって張り替えることになった場合に対応していますか?』などと聞いてみましょう」

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ペットを飼育する場合には事前に申告が必要
賃貸住宅でペットを飼うときは、事前に申告が必要だ。「管理会社などによっては、ペットの写真や狂犬病の注射番号、予防接種の証明書などの提出を求められることがあります。飼っているペットが増える・変わるなどの場合は、その旨の届け出をし直し、敷金の積み増しをします」と木津さん。
部屋を借りる時点でペットを飼っていないが、これから飼う予定の場合には、「まずペット可の物件を借り、ペットを飼う予定があるということを伝え、事前に飼いたいペットのイメージと、その物件が許可しているペットの種類が合致するかを確認しておきます。いざ飼うことになったら、事前に必要な手続きを確認。敷金の積み増しをし、必要な書類の届け出をしましょう」

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もしも内緒で飼ったら? 賃料の倍額請求も
条件に合うペット可の物件が見つからない、途中からペットを飼うことになった、手続きが面倒……などの場合でも、内緒で飼うのはNG。「それが発覚した場合、退去させられることもあります」と木津さん。
「敷金の積み増しや届け出だけで済めばいいのですが、禁止事項に違反したことで、契約の即時解除となることも。最悪の場合、明け渡しの日まで賃料を倍額請求されることもあります」。退去時に発覚した場合は、原状回復費用の負担が不利に。ペットを飼う場合は、必ず申告をしよう。

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一人暮らしでも飼いやすい動物は?
物件の選びやすさ、対応できる動物病院の探しやすさなどから考えて、飼いやすいのは犬と猫。ペット可の物件でも、犬と猫がOKの物件は多いが、それ以外のペットは選択肢がやや狭くなることも。「例えば爬虫類などを飼う場合は、対応できる動物病院の近くに限定して住む場所を探す人もいます」と佐藤先生。
犬の場合、「小型で吠え癖が少なめの犬種が、一人暮らしで飼うのに比較的向いています」と佐藤先生。猫は「雑種を飼う方が多いですが、短毛の方がお手入れや掃除がラク。また、あくまでも統計的な話ですが、毛色が白いタイプは繊細で注意深く、茶トラは甘えん坊が多いなど、毛色による性格の傾向もあるので参考にすると良いでしょう」

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ただし、どんな種類のペットであっても「性格には個体差があり、飼い主さんの育て方によっても変わります」と佐藤先生。パートナーを選ぶにあたって重視するポイントは人それぞれなので、飼いやすさという視点も参考にしつつ、運命のパートナーとの縁を大切にしよう。

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ペットと暮らす上で気をつけたいこと
危険な食べ物・植物などにも注意して
ペットとの暮らしでは、さまざまな事故や近隣トラブルを未然に防ぐ努力が必要だ。犬や猫の場合、フローリングの上にラグなどを敷くと、足腰のケガを防ぎ、フローリングの損傷を防ぐ上でも有効だ(ただし敷きっぱなしでカビが生えないよう、ときどき風を通すなど清潔に保つこと)。

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「特に犬は人間の食べ物に興味を持つことがありますが、たまねぎやチョコレートなど、犬が食べると危険な食べ物もたくさん。食べ物は犬が届かないところに収納しましょう」また、犬のほか、うさぎなどにも言えることだが、電源コードをかじる、落ちている小物を飲み込んでしまうなどの事故も未然に防ぐ努力を。
猫草が好きな猫などは、観葉植物にも注意。「シクラメンやポインセチアなど、口にすると中毒症状を起こす植物は数多くあります。部屋に観葉植物を置きたい場合は、必ず危険性がないかをチェックしましょう」
また、旅行などで数日間、家を空ける場合は、ペットホテルなどの預け先を考えておく必要が。猫はタイマーでの餌やりなどに工夫すれば、1~2泊の留守番ができることもあるが、犬は散歩が必要なため、ペットホテルか信頼できる人に預けるケースが多いようだ。
どんなペットを飼う場合でも重要となるのが「温度のコントロール」。特に夏の暑さが厳しい日などは、自分が留守にする場合でもエアコンをつけたままにする必要があることも。そのため、ペットがいない場合より光熱費もかかるということも知っておこう。

たまねぎやチョコレートなど、犬が食べてしまうと危険な食べ物は、高いところに収納を(画像/PIXTA)
ペットと飼い主が快適に暮らせる部屋を探し、ペットの健康・安全に配慮し、周囲になるべく迷惑をかけず、部屋をきれいに保つ努力を心がけ、ペットと一緒の一人暮らしを楽しもう。
まとめ
ペットを飼う場合には事前に申告が必要
敷金が積み増しになるケースが多い
ペットの習性を考え、より快適・安全・楽しい物件を探そう
部屋の損傷が大きいと、原状回復の費用が必要になる可能性も
誤食を防ぐため、食べ物、観葉植物や小物の落下などに注意
●取材協力
目黒アニマルメディカルセンター 顧問 佐藤貴紀先生
カエルホームズ 木津雄二さん
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取材・文/前川ミチコ