新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。子どもたちにとっても、これからはオンライン授業が広がるなど学習スタイルが変化し、社会に出るまでに習得すべき能力も、親の時代とはかけ離れて変化していくことが考えられる。そんな変化の激しい現代において「親は子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる人は多いのではないだろうか。

そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学、生理学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材を元に「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。

「コミュニケーションの取り方」から「家での勉強のしかた」「遊び」「習い事」「ほめ方・叱り方」「読書」「英語」「スマホ対策」「ゲーム対策」「食事」「睡眠」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー。100の「してあげたいこと」を実践するにあたっては、さらに詳細な「421の具体策」も提示し、理屈だけでなく、実際に何をどうしてあげればいいのかということまで丁寧に落とし込んでいる。

発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめ上げた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋して紹介する。(初出:2020年6月18日)



スパルタより「情熱」がカギ

子どもに「大好きなこと」を見つけさせる4つの方法――親は子どもに何をしてあげられるか【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock


 ハーバード大学テクノロジー起業センターで初代フェローを務めたトニー・ワグナー博士は、「若きビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ、より最近ではマーク・ザッカーバーグ(中略)、彼らには毎晩遅くまでプログラムを書くよう脅したりおだてたりする『タイガー・マザー』(スパルタ式の厳しい母親)はいなかった。彼らにあったのは情熱だ」といっています(『未来のイノベーターはどう育つのか』英治出版)。


 ワグナー博士がイノベーターとその親、教師、メンター(指導者)に計150件以上のインタビューを行なったところ、最もよく出てきた言葉は「情熱」でした。


 また、臨床心理学者のジョセフ・バーゴ博士によると、お金や名声を熱望している人よりも、純粋に好きなことに打ち込んでいる人のほうが成功しやすいといいます。


 時間を忘れて没頭するほどの情熱は、「もっと知りたい」「上手になりたい」という気持ちを引き出し、そのためにはどうすべきかと考えを深める力を伸ばしていくのです。


 では、子どもが「好きなこと」を見つけるにはどうすればいいでしょうか?



【その1】「したことのないこと」に注目する

 子どもに「好きなことはなにか」と聞いても、自分には好きなことがないと言うかもしれません。


 しかし創造性とイノベーション教育を専門とするイギリス・ウォーリック大学のケン・ロビンソン名誉教授は、これは「機会の有無」にかかっているといいます(『才能を磨く』大和書房)。


 いま子どもにとってそんなに夢中になれることがないとしたら、一度もやったことのない分野に対して心をオープンにし、積極的にトライしてみることをロビンソン名誉教授は勧めています。



【その2】子どもの行動を知る

 また、ロビンソン名誉教授は、「好きなこと」を見つけるには、日常の行動パターンを「見える化」するとよいといいます。学校、習い事、遊び、食事など、ざっくりと書き出します。さらに学校の時間割、習い事の種類、遊びの時間に何をやっているかなど、その中身を具体的に書いていきます。



【その3】「夢中になっていること」を見つける

 そうして書いた項目のそれぞれに対して、「好き」「嫌いではない」「嫌い」で色分けをします。何をしているときにワクワクするか、楽しくてしかたないのか。子どもの「好き」を探します。


「得意なこと」と「好きなこと」が一致することもありますが、ハーバード・ビジネス・スクールの社会心理学者、テレサ・アマビール名誉教授は、素晴らしい才能をもってはいても何事も達成しない人はたくさんいるといいます。


 大人も子どもも心の内から湧き出る強いモチベーションがあるとき、ベストを尽くして達成をめざします。達成と情熱には強い関連性があるとアマビール名誉教授はいっています。



【その4】ひとつのことに縛られない

 国際数学オリンピックで日本人女性初の金メダルを獲得、現在は数学者でありジャズピアニストとしても活躍する中島さち子氏は、いまや「各自が自分の専門の穴をひたすら掘り下げていた時代」から、「違う分野からのアプローチや他分野の専門家とのコラボレーションによって新しい知見が生み出される時代」に変わったと語ります。


 複数の分野でさまざまに脳を使って、違ったものの見方を取り入れていく経験は、イノベーションの原体験になります。


「好きなこと」をひとつだけに絞らず、複数の分野を掘り下げ、横断していくことが、これからの教育に求められると中島氏はいっています。


(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』からの抜粋です)


参考文献

トニー・ワグナー『未来のイノベーターはどう育つのか』(藤原朝子訳、英治出版)

ケン・ロビンソン、ルー・アロニカ『才能を磨く』(宮吉敦子訳、大和書房)

中島さち子「世界のニューエリートは STEAM を学ぶ」「NewsPicks Magazine」(Winter 2019 Vol.3)

ジョゼフ・バーゴ「心理学者が教える、仕事で成功する人の特徴」(今西翼訳・編、Business Insider Japan 2017/10/31)


子育てベスト100

子育てベスト100

加藤紀子 著

<内容紹介>

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