妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

出生率の低下が止まらない日本。子どもを産み、育てる環境が十分に整っているとは言い難い現実がある。厚生労働省の「令和6年 国民生活基礎調査の概況」によると、児童のいる世帯のうち、母が「仕事をしている」と回答した割合は80.9%に達し、過去最高を更新し続けている。

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危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。

「長引く物価高に加え、賃金が追いつかない現状。若者が将来を不安視し、出産をリアルに考えられないのも無理はありません。昭和の時代は三世代同居も珍しくありませんでしたが、今は核家族化が進み、育児のサポート体制も当時とは大きく異なります」

一方で、近年は「親自身の人生」を尊重する生き方も広がっている。

「親であっても、互いの生活を尊重するための『境界線』が必要です。特に祖父母世代への過度な育児期待は、時として依存関係を生み、トラブルの火種になることもあります」

今回お話を伺った笹川花蓮さん(仮名・23歳)は、まさにその「サポートの境界線」で複雑な状況に直面している。彼女は現在、第二子を妊娠中だ。実家の近くに暮らし、実母とは頻繁に行き来していたという。

「幼い頃から、温かい家庭を築くのが夢でした。21歳で長男を出産し、今は二人目の誕生を心待ちにしています」

花蓮さんはシングルマザーの母に育てられた。その母親も21歳で花蓮さんを出産しており、現在は44歳だ。

「私が結婚して家を出てからは、母は一人暮らしでした。今回の妊娠も『産後のサポートは任せて!』と大喜びしてくれていたのですが……」

ところが先日、母から予想もしない言葉を掛けられたという。

ー花蓮ちゃん、ママ、あなたの産後のサポートはできなくなったわ。

ーえっ、どうして?

ー実は……ママも妊娠しちゃったの!!

この告白に、花蓮さんは言葉を失った。「びっくりしました。だって母はもう44歳ですよ?」

花蓮さんは、産後の家事や育児を実母に頼る前提で計画を立てていた。

「母には幸せになってほしいと思っています。でも、すっかり頼る予定だったので、計画が狂ってしまって……。正直、今は戸惑いとイライラが止まりません」

平塚氏は、こうした状況についてこう指摘する。

「祖父母に育児支援を期待すること自体は自然な心理ですが、それを当然の『権利』や『義務』と捉えてしまうのは危険です。ましてや、親側の人生の選択を否定するような発言は、親子関係に深刻な亀裂を生じさせかねません」

花蓮さんは最後に、こう胸の内を明かしてくれた。

「正直、この年齢での妊娠はリスクもあるし、私としては納得がいきません。あれほど『孫が可愛い』と言っていたのに、最近は私の連絡を後回しにすることもあるんです。母の相手の方もよく知らない人ですし、不安ばかりが募ります」

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※本記事で使用している写真はイメージです。 【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】長瀬洋 PHOTO:Getty Images 【出典】厚生労働省|令和6年 国民生活基礎調査の概況

 

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