『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第124話は、受験直前期の「親の関わり方」について考える。
親が積極的に関わるべきものは…
東京大学現役合格を目指す早瀬菜緒と小杉麻里は、二次試験までのラストスパートを必死に駆け抜けていく。息抜きもかねて早瀬の実家のちゃんこ屋で夕食をともにした2人だが、普段家に人がいない小杉は家族の温かさに涙するのだった。
中学受験や高校受験ならともかく、大学受験となるとどこまで子どもの受験に口を出すべきか戸惑う保護者は多いのではないだろうか。特に、ナイーブになりやすい直前期ならなおさらだ。もちろん家庭の個別の方針があるのは当然だが、その上で受験生の時に役に立ったことをいくつか考えてみる。
まず大前提としては「勉強には基本的に口を出さない」だ。勉強面でのコンディションは、学校や塾の先生、なにより本人が一番理解している。それに大学受験の学習内容は保護者が理解・解決できる範疇(はんちゅう)を超えている。保護者が教育関係の仕事でもない限り、学習内容に口を出すのは得策とは言えない。
反対に親が積極的に関与すべき1つ目は「食事と健康」、すなわち体調不良を起こさないということだ。受験の天敵は学力不足ではなく体調不良である。大学に入ってみると「当日インフルエンザだった」というような武勇伝をちらほら聞くが、これらはあくまでも生存者バイアスにすぎない。
受験日程を考慮すると、国公立の前に私大の入試があることが多い。私大が第1志望の生徒は、当日体調不良でも無理して受験するだろうから、そのウイルスをもらってこないことが大事だ。私が受験生の時はまだ新型コロナウイルスの脅威があった時だったから、余計気を遣ったのを覚えている。
パニック厳禁!親が取るべき態度
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
もう1つは、考えられるリスクを片っ端からつぶしておくことだ。
例えば、試験で使う腕時計に関してだ。受験当日、万が一腕時計の電池が切れたらどうしよう、と少しでも考えるなら、予備の腕時計を持っていけばいい。実際の電池の持ち時間はこの際関係ない。「心配だ」と思った時点で、そのことを考える時間が生まれてしまう。
当日電車がストップしたらどうしよう、受験票を忘れたらどうしよう……考えてしまうことはたくさんある。これらは、「勉強以外のところに不安要素を見つけ出したい」という潜在的な欲求にもつながる。
ただ、これらのことを悩むのは時間の無駄だ。考えたところで点数が伸びるわけではない。「解決した」と思いこめる状態にしておくことが、逆に言えばそれだけでいいのである。
全ての不安に対処することは不可能だが、できることは(特に勉強以外で受験生本人がなかなか手の回らないことは)親が積極的に不安の芽を摘んでおくことが大事だ。とはいえ、親が考えすぎでパニックになるのは悪手だ。あくまでも余裕ぶって、「まあこうしておけば十分でしょ」という態度を見せることで、受験生本人も安心できる。
「悔やんでも悔やみきれない」状態をどこまで減らせるか。万が一失敗した時に「○○のせいで勉強できなかったんだよ」という言い訳(セルフ・ハンディキャッピング)ができないように、残りわずかな時間の受験生への保護者の協力が求められる。
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
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