トレーナーによる指導の動画を視聴しながらワークアウトできるアップルのサブスクリプションサービス「Apple Fitness+」が、1月21日から日本でも利用可能になった。iPhoneなどのアップル製デバイスにプリインストールされているアクティビティ記録アプリ「フィットネス」の追加機能で、米国のスタジオで撮影された12種類のワークアウトやメディテーションの動画が提供される。
これらの動画はiPhoneやiPad、Apple TVから視聴可能で、Apple WatchやAirPodsなどのデバイスとも連携してトレーニングを支援してくれる仕組みだ。かつて大流行した映像コンテンツ「ビリーズブートキャンプ」のようなものと言えば、わかりやすいかもしれない。
プライベートフィットネスジムのような感覚
12種類のワークアウトの映像は28人のトレーナーによるもので、ワークアウト中にはApple Musicの音楽が流れる。Apple Watchや「AirPods Pro 3」のように心拍センサーを内蔵したデバイスを装着すれば、心拍や消費カロリーなども記録できるうえ、事前にトレーニングプランも組める。自宅で楽しめるプライベートフィットネスジムのような感覚だ。
どの動画でもトレーニングは3人のパフォーマンスによって進行し、冒頭のトークは手話を交えたものとなる。これらの3人は人種や性別などの多様性に配慮して選ばれているという。
また、3人のトレーナーのひとりは少し強度を落とした運動を演じるようになっており、不慣れな人でもできる範囲でトレーニングについていけるようになっている。負荷の少ない運動やストレッチも用意されているので、ランニング前の準備運動にも使えるだろう。また、どのワークアウトもジャンプのように音や衝撃が大きい動きを含まないので、マンションなどの集合住宅に住んでいる人も安心だ。
動画の長さは5分~45分と幅広く、空き時間に応じてトレーニングを選びやすい。朝起きてから出かけるまでに短時間のトレーニングをしたり、寝る前にマインドフルネスやメディテーションに取り組むような使い方もできる。
トレーナーのひとりであるシェリカ・ホルマンは、「5~10分の短いワークアウトを、わたしは『スナック』と呼んでいます」と言う。これはスナック菓子のように、いつでも“つまみ食い”する感覚で気軽に楽しめるように設計されているからだ。
このApple Fitness+だが、実は米国など一部の英語圏の国では、すでに5年以上も前からサービスが提供されている。「iPhone 12」が発表された2020年9月15日に「Apple Watch Series 6」と併せて発表されたのだ。ところが、日本ではサービスが提供されてこなかった。
米国での発表当時、アップルのフィットネステクノロジー担当バイスプレジデントであるジェイ・ブラニクに「日本でもApple Fitness+を利用できるようにしてほしい」と伝えたことがある。そのときは「Apple Fitness+はローカライズを重視しているので、その国に合ったメニューで、その国の言語、音楽に対応したものを公開したい」という答えが返ってきた。
それから約5年を経て日本でサービスを開始したわけだが、どのようなローカライズがなされたのか。そして、なぜ日本導入まで5年もかかったのか。
デジタル翻訳音声が実現した日本語化
導入まで時間がかかった理由を単刀直入に尋ねてみると、「エコシステムが整ったからです」と、フィットネステクノロジー担当シニアディレクターのジュールズ・アーニーは説明する。「なかでも人工知能(AI)を使ったデジタル翻訳音声を英語以外の言語でも提供可能になったことが大きかったですね。しかも、2025年9月発売のAirPods Pro 3で心拍計測が可能になり、Apple Watch以外の多くの人にとって身近なデバイスで(Apple Fitness+を)利用しやすくなりました」

