[5日 ロイター] – 世界中の投資家が今、注目しているのがマレーシアの資産だ。ドルが弱含み、地政学的な緊張が高まっているために投資対象の分散化を図る動きが広がり、マレーシアの安定性と成長性は停滞する近隣の国々と比べて魅力的な選択肢と見なされている。

東南アジアで4番目の経済規模を持つマレーシアでの資産運用成績は、長年ライバル国よりも劣っていたが、足元の外貨流入拡大はマレーシアの復活を物語る。

それどころかアナリストたちは今や着実な経済成長、安定した政権、2018年の高値水準付近まで回復した通貨高が組み合わさったマレーシアを極めて強気に見ている。

外国人投資家は25年、マレーシアの現地通貨建て債券に65億ドルを投じた。過去4年間で最大、東南アジア地域で最高の年間資金流入額となり、今年1月も買い需要は堅調を維持している。

イーストスプリング・インベストメンツの債券ポートフォリオマネージャー、ロン・レン・ゴー氏はマレーシアが「シンガポールやタイ、韓国のような低利回りの国と、高利回りながらも特有のリスクを幾つか抱えるインドネシアやインドのような国の中間に位置する絶好の地点」にあると述べた。

Malaysia attracted the highest foreign bond inflows in 2025, far surpassing high-yielding Indonesia

Malaysia attracted the highest foreign bond inflows in 2025, far surpassing high-yielding Indonesia

経済規模が東南アジアで2番目のタイの長期化する政治的な混乱や、最大のインドネシアに対する投資家心理の悪化もまた、投資家がマレーシアに関心を向ける一助となっている。

ゴールドマン・サックスはちょうど先週、マレーシア株の投資判断を引き上げる一方でインドネシア株の判断を下げた。チーフアジア太平洋ストラテジストのティモシー・モー氏は「マレーシアのマクロ経済や立ち位置がより好ましく思われ、より建設的な姿勢に値する」と述べた。

マレーシア総合株価指数(KLSE)(.KLSE), opens new tabは過去12カ月間で12%上昇し、先週は18年10月以来の高値となった。投資家は人工知能(AI)主導のデータセンター建設ラッシュを当て込んでいる。
過去12カ月間でタイSET指数(.SETI), opens new tabはわずか3%のプラスにとどまったが、インドネシア総合株価指数(.JKSE), opens new tabは15%上昇した。
マレーシアはアマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabやマイクロソフト(MSFT.O), opens new tabを含めた米巨大テック企業からデータセンター投資で巨額のドル資金を呼び寄せている。エネルギーコンサルタントのウッドマッケンジーの分析によると、マレーシアのデータセンター計画規模は東南アジアで最大だ。

「マレーシアは有望国だ。AIの成長サイクルと特定の半導体およびチップ市場に占める大幅なシェアが原動力となっている」とパインブリッジ・インベストメンツのアジアソブリンアナリストのサムサラ・ワン氏は語った。

「AIという物語が続く限り、マレーシアはその恩恵を享受する国としてとどまるだろう」という。

<リンギの活況>

マレーシアの魅力のもう一つの柱は通貨リンギだ。リンギは24年初来で約17%上昇し、同じ期間中のアジア通貨として最高の運用成績を示した。先週は1ドル=3.915リンギと18年5月以来の最高値を付けた。

イーストスプリングのゴー氏は同社が過去18カ月間、リンギに対してより強気な見方に転じてきたと述べた。マレーシア債券の収益見通しが改善し、債券と通貨に対するオーバーウエートの投資判断を支えているという。

マレーシア資産の目覚ましい運用成績は米関税の影響をはねのけて力強く突き進んでいる状況で実現している。先月発表された速報値によると、25年のマレーシア経済成長率は4.9%に達する見込みで、政府や中央銀行の予測を上回った。

アンワル首相が22年末に就任して超党派の連立政権で政治的な安定を取り戻して以降、過去10年間続いた政治的な激動の期間が終わったことも要因となっている。

Malaysian ringgit has appreciated over 12% against the dollar since 2024, outpacing peers

Malaysian ringgit has appreciated over 12% against the dollar since 2024, outpacing peers

財政赤字の縮小を目指す政策によって、国内総生産(GDP)に対する赤字額の比率は新型コロナウイルスの世界的な大流行時の平均6%から現在3.8%に改善。近隣の国々と比較して政策金利を大幅に引き上げる必要がなかった中央銀行が、東南アジア地域でマレーシアを際立たせる一因となっている。

確かに、リンギ高はマレーシアの輸出にとって重荷となり、急成長を遂げている観光産業を損なう可能性があるだろう。

しかし、米国が今年少なくとも2回利下げすると広く想定されている一方でマレーシア中銀は力強い成長を背景に政策金利を据え置くだろうと見られており、マレーシアの魅力は一段と高まるだろう。

そうした状況がリンギ高を維持しマレーシア債券を魅力的な投資先にする可能性が高い。UBSはマレーシア・リンギットが力強い外国直接投資、堅調な貿易収支、金利差の縮小を理由に26年末までに1ドル=3.80リンギまで上昇すると予測している。

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