夫婦のどちらも国民年金の場合、老後の家計はどのように成り立たせればよいのか。ライターでファイナンシャルプランナーの松田聡子さんは「ポイントを押さえておけば、夫婦2人とも国民年金のケースは単身者よりかなり楽になる」という――。
夫婦ともに国民年金で生活できるのか
前編では、50代独身女性Aさんの事例から、持ち家や節約習慣、そして覚悟があれば、国民年金だけでも生活の目処が立つことを見てきた。
では、夫婦2人とも国民年金というケースはどうか。満額受給だとしても、夫婦合わせて月約13万8000円(2025年度)。「2人で14万円なんて絶対に暮らせない」と感じる人もいるかもしれない。しかし、ファイナンシャルプランナーとして多くの家計を見てきた経験からいえば、単身者よりも夫婦のほうが、家計の安定度はずっと高い。
夫婦で国民年金のみというケースは、その多くが自営業を営んできた世帯だ。そして自営業者には、会社員にはない隠れた強みがある。実際の相談者の家計簿とデータを基に、夫婦ならではのスケールメリットと自営業者のリアルな懐事情を見ていこう。
2人暮らしは「ひとり暮らし×2」ではない
夫婦2人の生活費はどのくらいになるだろうか。総務省の「家計調査報告(家計収支編・2024年)」によれば、65歳以上の夫婦無職世帯の消費支出は平均で約25万6000円だ。これだけを見ると、年金14万円では毎月11万円以上の赤字になってしまう。
しかし、この金額は厚生年金をもらっている世帯も含んだ平均値であり、収入が多ければ支出も増えるものだ。国民年金のみの世帯の多くは、身の丈を意識している。
ここで重要なのが生活費のスケールメリットだ。同調査における65歳以上の単身無職世帯の平均消費支出は約15万円。単純計算すれば2人で30万円になりそうだが、実際はそうならない。住居費や水道光熱費の基本料金はひとつで済むし、食費も食材を無駄なく使い切れるため効率がよい。通信費も家族割がある。単身で月10万円かかる生活レベルなら、2人になっても15万~16万円程度で収まることが多い。「ひとり分の生活費×1.5倍」程度で済むのが夫婦世帯の強みなのだ。

