妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』
予期せぬ妊娠――。それは、いかなる世代においても起こりうることだ。厚生労働省の人口動態統計(2024年確定数)によると、40代以上の出生数は約4万5千人。そのうち45歳以上の出産は1,734人に上る。晩婚化・晩産化が進む現代において、40代での妊娠・出産は決して珍しいことではなくなった。
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危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう述べる。
「40代で望んでの妊娠は非常に喜ばしいものですが、『予期せぬ妊娠』となると文脈は変わります。予期せぬ事態は、いかなる年代であっても家庭内に深刻なトラブルをはらむ可能性があるのです」
それは、本人だけでなく家族全体に大きな影響を与えかねない。
「特に、多感な時期の子どもや、自らも子どもを望む年齢に達した子が身近にいる場合、心理的な影響は計り知れません。今回お話を聞いたのは、妊活中の娘がいる状況での母親の妊娠。これは極めて複雑な感情を引き起こします。さらに母親側に配慮が欠けていれば、家族関係が修復不能なほど悲惨な状況になるのは、想像に難くありません」
堺美穂子さん(仮名・46歳)には、すでに成人した娘と息子がいる。3人で仲良く暮らしてきたが、ここにきて家族を揺るがす大きな問題にぶち当たった。
「私は20歳で長女を、21歳で長男を産みました。周りの友達が遊んでいる時期に育児をしていたので、当時は羨ましく思うこともありましたが、なんとか2人を育て上げました」
元夫と離婚したのは、息子が3歳の時。以来、シングルマザーとして必死に働いてきた。
「夜の街で働いて、がむしゃらに2人を育てました。私の母が生きていた頃は面倒を見てもらっていましたが、長女が中学生の時に他界。それからは、親子3人で支え合って暮らしてきました」
子どもたちは大学進学を望まず、高校卒業後に働きに出たという。一昨年には息子に第一子が誕生し、美穂子さんはすでに「祖母」でもある。一方で、長女は現在、結婚して「絶賛妊活中」なのだという。
ちなみに美穂子さんは離婚後、特定の結婚相手こそ見つからなかったが、恋人が途切れることはなかった。
「最近お付き合いしているのは、高校時代の元カレなんです。復縁してからは関係も安定していました。でも……まさか、この歳で妊娠するとは思っていなかったんですよね」
美穂子さんは46歳にして、予期せぬ妊娠をした。その事実を、ちょうど訪ねてきた息子夫婦に告げると、彼らは手放しで喜んでくれた。その勢いのまま、美穂子さんは長女にも報告を入れる。
ーママ、お先に妊娠しちゃいました♡
その言葉を聞いた瞬間、長女はその場で崩れ落ちるように号泣した。
「正直、びっくりしましたよ。そんなに重大なことだと思っていなかったから。娘はまだ若いんだから『そのうちできるっしょ!』って励ましたんですけど、どうやら逆効果だったみたいで……」
平塚氏は、美穂子さんの振る舞いを厳しく指摘する。
「親が自分の人生を謳歌すること自体は否定されるべきではありません。しかし、不妊に悩み、心身を削って妊活に励む娘の前で『お先に』といった軽薄な言葉を投げるのは、あまりに共感性に欠けています」
そんな指摘をよそに、美穂子さんはあっけらかんとこう締めくくった。
「息子のところにも二人目ができたんで、孫と自分の子が同級生になるんですよ。『ウケるじゃん』と息子と息子の嫁と話しました。娘も早くこっち側に参戦できたら最高なんですけどね……」
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※本記事で使用している写真はイメージです。 【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】常田真悠 PHOTO:Getty Images 【出典】厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」
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