妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』
高齢化が加速する日本で介護職員の不足は深刻さを増している。厚生労働省の調査に回答した介護職員の年齢構成は45〜49歳が15.2%、50歳代が26.8%を占め、この年代がボリュームゾーンであることがうかがえる。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
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「育児が一段落した後の再就職先や、異業種からの早期退職後のキャリアチェンジとして、介護職が選択されるケースは非常に増えています」
だが、その裏で新たな問題も浮上している。平塚氏は続ける。
「年齢を重ねただけで敬われる時代は、もはや終わりつつあります。中高年の転職者の一部には、前職での肩書きやプライドを捨てきれず、現場に適応できないケースが散見されます。自分よりキャリアの長い若手職員に対し、横柄な態度を取ってしまう。そんな『指導不能』な新人の存在に、現場からは悲鳴に近い溜息が聞こえてくるのです」
介護現場で今、何が起きているのか。 小泉玲子さん(仮名・40歳)は、10年以上のキャリアを持つベテランの認定介護福祉士だ。職場では後輩の指導も任され、介護職を「天職」と語る。しかし最近ある出来事に深く傷ついたという。
昨年秋、施設に入職してきたのは54歳の男性、Aさん(仮名)。前職は大手製造業の管理職。定年を前に、第2の人生として介護業界へ転身してきたという。玲子さんはAさんの教育係を任され、業務の手順や利用者への接し方を丁寧に伝えた。だが、Aさんの反応は予想外のものだった。
「何度説明しても、『私には前職の経験があるので、そのやり方は合いません』と拒絶されるんです。でも、製造業と介護は全くの別物。一つひとつの手順は、利用者の尊厳と安全を守るためのものなのですが……」
玲子さんが食事介助の手順を説明していた時のことだ。Aさんは利用者がいるホールの真ん中で突然、大きな声で反論した。
ー40代の女に教わるなんて不愉快だ!
その場にいた利用者や他のスタッフも驚き、一瞬で場が凍りついたという。平塚氏は、こうした心理状態を次のように分析する。
「前職で管理職経験がある中高年男性の中には、年下の女性から指導を受けることに、耐え難い屈辱を感じてしまう人がいます。しかし、介護は専門職です。学ぶ姿勢を欠いたままでは、どんなに立派な経歴があっても組織に馴染むことは困難でしょう」
玲子さんは今も、Aさんとの関係に悩み続けている。
「介護は利用者さんの命と尊厳を預かる責任ある仕事です。このまま指導を受け入れてもらえないのであれば、現場の安全も守れません。その懸念を上長に相談したところ、それを知ったAさんは激怒。報復のつもりなのか、私に対してとんでもない暴言を投げかけてきたんです」
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※本記事で使用している写真はイメージです。 【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】常田真悠 PHOTO:Getty Images 【出典】厚生労働省(令和5年度 介護労働実態調査)
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