マーガレット・ジャイルズ:こんにちは 、モーニングスターのマーガレット・ジャイルズです。2025年も株式市場は好調でしたが、資産運用に成功したいなら、投資家は過去を振り返るよりも未来を見据えるべきだと理解しています。そこで、2026年に避けるべき5つの主要な投資上の誤りについて議論するため、モーニングスターのパーソナル・ファイナンス・退職計画部門ディレクター、クリスティン・ベンツに話を聞いてみましょう。
クリスティン・ベンツ:マーガレット 、よろしくお願いします。
2026年、今から株式投資を始めても遅すぎることはない理由
ジャイルズ: 今の時点で投資家が犯しがちな大きな過ちは、全ての株式がすでに高値であると思い込むことではないでしょうか ?そして、もう投資機会を完全に逃してしまったと諦めてしまうことも、間違っていると思います。嘆く代わりに、どのような行動を取るべきでしょうか?
ベンツ: 2025年はたしかに株式投資家にとって特に素晴らしい年でしたが、債券投資家もまずまずの結果でした。しかし、今は「もう手遅れだ、諦めよう。現金が眠ったままだった」と投資家が思い込むリスクがあるかもしれません。
重要なのは、市場がまるごと割高というわけではないという点を忘れないことです。 ここ数年、小型株やバリュー志向の企業は、成長志向の企業ほど好調ではありませんでした。ですから、私は1本でOKという総合市場指数のインデックスファンドが好みではありますが、一つのアイデアとして、小型株や中型株のバリュー株を、何らかのインデックス・ファンド、あるいは、こうした分野で割安な企業を見出す何らかの能力を備えたアクティブ・ファンドを利用して、ポートフォリオを補完するために少しだけ追加すると言う方法も考えられます。
米国市場全体への投資ではAI関連の大手テクノロジー企業へのエクスポージャーが大きいため、こうした銘柄を少量組み入れることで補完することを検討sてもいいと思います。ただし、過度な集中は避けましょう。小型株やバリュー株は市場感応度が高く、景気循環の影響を受けやすいものです。これは良い面もあれば悪い面もあります。 とはいえ、たとえ米国市場において比較的割安なセクターであるように見えても、今日においては、全ての資金をそこに集中させることはお勧めできません。
なぜ、2026年も米国以外の株式の投資比率を高めるべきなのか
ジャイルズ:そうですね 。米国市場全体としては、2025年にかけてますます(巨大テック企業への)集中が進みました。これは留意すべきことですね。2025年、米国以外の株式を無視することは誤りだと警告されましたが、過去1年間で海外株式がたしかに好成績を収めています。今もその見解は変わりませんか?
ベンツ: 振り返ってみると、これは実際に的中した予測であり、米国以外の株式が非常に優れたパフォーマンスを示したため、 私はとても嬉しく思います。実のところ 何年も前から私は同じ主張してきましたが、米国以外の株式はそれまであまり好調ではありませんでした。
重要な点は、米国以外の株式は現在も米国株式、特に米国市場全体と比較して割安に見えるということです。 グローバルポートフォリオの時価総額を見ると、約3分の2が米国株、3分の1が非米国株です。つまり、多くの米国投資家は、株式ポートフォリオの3分の1にも満たない非米国株しか保有していないということです。ですから、多くの投資家は依然として非米国株へのエクスポージャーを増やすことを検討すべきだと思います。
非米国株を追加することで、本当に優れたセクター分散が得られ、現在の米国市場では比較的過小評価されているセクターへのエクスポージャーを増やすことができます。 金融や基本素材、資本財・サービスへの投資比率が高まります。
こうすることで複数の効果が得られます。グローバルな地域分散効果を得られる上に、ドル安継続という追い風も受けられる可能性があります。さらに、優れたセクター分散効果も得られるのです。したがって、非米国株を無視することは、たとえバリュエーションを見ると1年前ほど魅力的ではないとしても、投資家にとって潜在的な誤りとなり得ると考えます。
リタイアメントが近い投資家がポートフォリオのリスク軽減を始める方法
ジャイルズ: 退職が近づいている人に対して 、ポートフォリオからリスクを完全に排除しないよう警告されていますが、その理由と、具体的にどのように進めるべきかを聞かせてください。
ベンツ:これは 重要な点です。というのも、私はよく高齢の方々と話す機会があるのですが、彼らは株式を非常に好まれます。株式投資で素晴らしい実績を積まれてきたからです。米国株式は過去10年間で年率換算で約15%の上昇を記録しました。ずば抜けて良好な結果です。ですから、リタイアメント層の人にとって株式ポートフォリオを手放すよう促すのは実に困難です。
しかし、退職が近づき、ポートフォリオからの支出が始まろうとしている人々にとっては、ポートフォリオの一部をリスク低減させることはとても理にかなっています。自分のポートフォリオからの支出、例えば退職後最初の5年、10年間にどのような支出が見込まれるかを考え、その部分のポートフォリオを株式からよりリスクの低い資産へとリアロケーションすることをご検討すべきです。
ご存知の方も多いかと思いますが、私は退職後のポートフォリオ構築において「バケツ方式」の管理を強く推奨しております。私が通常構築する典型的なバケツ式のモデルポートフォリオでは、計画的なポートフォリオ支出の7~10年分に相当する資金を、現金と債券の組み合わせで保有します。特に高格付債券を重視する方針で、ぜひ検討してみてください。
リスク低減の理想的な方法としては、税制優遇口座内でこの資産の再配分を行い、税務上のロスが出ないようにすることが望ましいでしょう。別の選択としては、新たな資金を安全な資産に振り向ける方法があります。つまり、現在も働きながら退職口座への拠出を続けている場合、新規拠出金(またはその大部分)を安全性の高い資産に振り向けることで、徐々に資産配分を調整していく方法が考えられます。これは課税対象資産の追加投資においても有効な戦略です。課税ポートフォリオの構成を変える最良の方法は新規拠出金を活用することで、それは節税効果のある手法だからです。
ジャイルズ:そうですね 。それは少しずつポートフォリオの構成を変える方法ですね。実際の行動を考える上で参考になります。
ベンツ:その通りです 。
債券投資家がFRBではなく、自らの支出見通しに焦点を当てるべき理由
ジャイルズ: ここで債券に的を絞った話をしましょう。、債券ポートフォリオの構築において、マクロ環境、つまり経済情勢や金利動向について考えすぎることも、もう一つの潜在的な誤りだと指摘されました。では、代わりに何をすべきでしょうか?
ベンツ: FedWatchは止めたほうがよいと思います 。これはよくある落とし穴だからです。マーガレット、私は2025年にこの件について執筆したのですがそれは、多くの投資家から「FRBは今後どのような行動を取ると思いますか?現時点では現金を保有し、資金を債券に移すべきか?」といった質問を頻繁に受け、「資産を現金化してそれを債券へ移した方が良いだろうか?」という声を多く耳にしたからです。
重要なのは、ご自身の支出計画を踏まえ、戦略的に合理的なポートフォリオを構築し、それを基に債券への資産配分を検討することです。分散投資に関するあらゆる調査において、高格付債券は優れた選択肢であることが示されています。株式のリスク抑制手段として特に適しています。ですから、まず高格付債券を基本的な選択肢とし、そこから支出が必要になるまでの期間を考えましょう。支出までの期間が非常に短い場合は、債券は不向きでしょう。今後1~2年の支出期間であれば、現金で保有する方が適しています。 次に、おおよそ3年から5年の支出見込み期間であれば、短期債を保有するのがいいでしょう。中期債よりも利回りは若干低くなりますが、金利変動に対する安定性が高まる(より価格変動が小さい)傾向があります。そして、支出見込み期間が5年から10年の先であれば、高格付の中期債を検討すべきでしょう。さらに、支出予定期間が10年以上であれば、私は株式に配分します。これは、様々な種類の現金や債券への合理的な配分を決める上で、活用しやすい方法だと思います。そして、長期的な配分として設定した以上、そのまま維持していくことが重要です。
過去のリターン水準が今後も続くと考えてはいけない理由
ジャイルズ:なるほど 。では最後になりますが、クリスティンは、過去10年間に株式が見せた高いリターンが、今後も同水準で続くと考えるのは誤りだと指摘していますね。では、代わりにどのくらいの水準だと想定すべきでしょうか?
ベンツ:米国市場の過去10年間のリターンは年率15%だったと言いましたが 、その数値を想定すべきではありません。もしこの数字が続くと考えたら「ああ、貯金はたいしてしなくても大丈夫だ」と安心してしまうでしょう。しかし、市場がその期待通りにならなかった場合、資金が不足するリスクが生じます。
私は、長期的な歴史的(ヒストリカル)なリターンを基準とし、むしろそれを少し下回る水準を想定するべきだと思います。なぜなら、多くの人は将来後悔するより、安全策を好むはずだからです。私は株式のリターンは確実に10%未満を想定すべきだと考えます。そして債券については、歴史的に考えても投資時点の利回りが期待リターンの良いベンチマークになるでしょう。 現在、10年物国債の利回りは約4%ですから、これが債券を配分した資産の期待収益率として適切なベンチマークになると思います。申し上げたいのは、期待値は必ず控えめに設定すべきだということです。もし運が良ければ市場が過去の実績を上回り続ける可能性も無いとは言いませんが、私はそんな期待はすべきでないと考えます。期待値は少し控えめにした方がよいでしょう。
ジャイルズ:そうですね、人生の指針となる言葉かもしれません。クリスティーン、時間をいただきありがとうございました。
ベンツ: こちらこそ、どうもありがとう、マーガレット。
ジャイルズ: モーニングスターのマーガレット・ジャイルズでした 。ご視聴いただき、どうもありがとうございました。◇
※ 本稿はモーニングスターの動画記事「5 Mistakes to Avoid With Your Investment Portfolio in 2026」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。
クリスティン・ベンツとマーガレット・ジャイルズによる詳細記事「新年の初めにすべき4つのTo-Doリスト 」も合わせてご参考ください。
著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください:
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