
松江の没落士族の娘・小泉セツさんとその夫で作家・小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)をモデルに、明治という激動の時代を生きた夫婦の出会いと歩みを描く、連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合・毎週月〜土あさ8時〜ほか)。
物乞いや遊女など、経済格差を背景にした目を背けたくなる当時の現実が映し出されており、作中にはどんよりとした薄暗い雰囲気が立ちこめている本作。同時に、クスッと笑えるシーンも随所にあり、不思議な可笑しさを含んでいる。シリアスとコメディが共存する、朝ドラの中でも異色な空気感はどのように作られているのか。制作統括を務める橋爪國臣氏に聞いた。
◆救いのなさの中に笑いを残す脚本術
『ばけばけ』の独特なバランスには、脚本を手がけるふじきみつ彦のスタンスが大きく関わっているという。
「ふじきみつ彦さんは、救いのない展開の中にも明るさを見出せる脚本家です。その時は不幸のどん底にいても、数年後に思い返すと『本当に当時はひどかったな』と笑い話にできることって多いですよね。
小泉夫婦も決して順風満帆ではなく、しんどい瞬間も少なくなかったと思います。ですがそんな暗闇の日々の中でも、笑える日もあったはずです。明るさ、暗さ、どちらか一辺倒にならない脚本になっていて、それをトキ役の