多くの作品が最終回を迎えた2025年の夏ドラマ。毎期ドラマをくまなくチェックしている筆者が特に演技が光った俳優5名を紹介し、最後に個人的No.1を決めたい。
◆『19番目のカルテ』40代、松本潤の深み
1人目は、『19番目のカルテ』(TBS系)で主人公・徳重晃を演じた松本潤。どの診療科でも診断が出来ない患者を診る総合診療医の徳重は、つかみどころがないように見えるが、患者の心の奥底を鋭い観察眼と洞察力で見極め、適切な治療に導いていく。
松本は「静」の演技ながら、穏やかなその目で、何があっても動じず患者と向き合い続ける徳重に説得力を持たせた。
人気シリーズ『99.9-刑事専門弁護士』以来、7年ぶりの日曜劇場主演となったが、40代となった松本ならではの深みを見せ、今作も続編が期待出来る良作となった。
◆『誘拐の日』斎藤工のゾッとする二面性
2人目は、『誘拐の日』(テレビ朝日系)で主人公・新庄政宗を務めた斎藤工。イケオジの代表格である斎藤が、ポンコツ誘拐犯・新庄役で新境地を切り拓いた。間が悪くてお人好しな彼が、訳あって誘拐した記憶喪失の天才少女とひょんなことからバディとなり、警察や謎の組織に追われながら逃亡劇を繰り広げる。
新庄は実の娘を溺愛するだけでなく、誘拐した天才少女とも本当の父娘のような深い絆で結ばれ、彼女のために命を張って戦うシーンには胸を打たれた。
一方ラストシーンでは、何かを思い出し取り憑かれたように数式を書きなぐり続ける新庄の姿に、ゾッとした視聴者も多いだろう。斎藤が見せる恐ろしい「人間の二面性」は圧巻だった。
◆『しあわせな結婚』阿部サダヲが“色男”に
3人目は、『しあわせな結婚』(テレビ朝日系)で主人公・原田幸太郎を演じた阿部サダヲ。今作は人気弁護士・幸太郎と、妻・鈴木ネルラ(松たか子)による令和の“マリッジ・サスペンス”だ。コメディーのイメージが強い阿部だが、仕事が出来て口が立ち、美女達を夢中にさせる色男・幸太郎を渋く演じた。
ネルラには過去の事件の殺人容疑がかけられており、幸太郎は弁護士としての正義感と愛する妻への想いという相反する感情に揺れながらも、どんな彼女でも受け入れる深い愛情を見せた。
さらに、ネルラの父、叔父、弟との奇妙な半同居生活は苦手としつつ、家族として彼らを救うべく奔走。やると決めたらまっすぐに貫く、とにかく大人の魅力がカッコいい幸太郎を阿部が見事に体現した。
◆『DOPE 麻薬取締部特捜課』中村倫也の痛々しい狂気
4人目は、『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)で主人公・陣内鉄平を演じた中村倫也。もう一人の主人公・才木優人(