暑さの終焉とともに、2025年夏クールドラマの多くが最終回を迎えました。今クールも全ドラマをチェックしたアラフォー筆者が、“改めて”演技の上手さに感銘を受けた俳優3人をご紹介します。
※一部、ネタバレを含みます。

◆稲垣吾郎『僕達はまだその星の校則を知らない』

まず、ベテラン俳優のなかで最も印象深かったのは『僕達はまだその星の校則を知らない』(通称・ぼくほし/カンテレ制作)に出演していた稲垣吾郎です。物語の舞台となる共学化した私立高校の理事長・尾碕を演じました。本作は約9年ぶりの民放連続ドラマへの出演となります。

◆歳を重ねてもままならない大人の葛藤を熱演

キービジュアルでは、主人公のスクールロイヤー・白鳥健治(磯村勇斗)、白鳥をサポートする教師・幸田珠々(堀田真由)と並んでおり、重要な役どころであると注目していました。しかし序盤では、多少クセがありそうなものの、大人然とした理事長にしか見えません。

ところが、徐々に稲垣らしい存在感を放ちはじめるのです。その大人然とした振る舞いの内側に実は秘められていた苦悩や憤りが滲み出てきます。理性と感情が自己の中でぶつかり合う様子を、稲垣は実に繊細に表現しました。

健治に対して苛立ちを露わにするシーンでは、ただの八つ当たりではない深い葛藤を感じさせ、観る者を一気に引き込みました。歳を重ねようと、大人然として生徒の前に立つ理事長という肩書があろうと、無視できない感情がある。そのままならさを抱えての台詞回しや、どこか憎めない空気感は稲垣にしか出せない唯一無二の魅力を感じます。

『燕は戻ってこない』(2024年、NHK総合)や映画『正欲』『あんのこと』などでも独特の存在感を放ってきた稲垣の、さらに活躍する姿を観たいと思わせる熱演でした。

◆加藤清史郎『放送局占拠』

その圧倒的成長に驚かされたのは『放送局占拠』(日本テレビ系)に出演した加藤清史郎です。主人公・武蔵三郎(櫻井翔)の義理の弟、かつ同じ警察官・伊吹裕志でありながら、実はテレビ局を占拠する武装集団「妖(あやかし)」のリーダー・般若でもあるという難役を演じました。

◆見事な演じ分けで、作品の“核”となる存在に

アラフォー筆者は、彼の子役時代をリアルタイムで観てきたし、何より一世を風靡した“こども店長”の可愛い印象が強く残っています。近年『ドラゴン桜』(第2シーズン/TBS系)や『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)への出演もあり「大きくなったなぁ。そりゃ演技も上手いよね!」くらいには思っていました。

しかし、本作ではそのキャリアで培った演技力を存分に発揮し、観る者を圧倒。決して「あの可愛かった清史郎くんが成長した!」というギャップだけではありません。台詞回しや表情の秀逸さはもちろんですが、特に素晴らしいと感じたのは、身のこなしと醸し出す空気です。

加藤は本作で、刑事としての顔と武装集団のリーダーとしての顔を演じ分けています。刑事・伊吹は、占拠シリーズ1作品目の武装集団「百鬼夜行」のリーダー・大和(菊池風磨)に翻弄されジタバタしていました。

しかし、般若になると決意してからの振る舞いには全く迷いが感じられず、最低限の動きだけ。テロリストとなった覚悟の強さが、身にまとう空気からも感じられます。

さまざまな伏線が張られ、視聴者すら「嘘だろう?」(主人公・三郎の口ぐせ)と思う展開の中で、加藤の高い演技力が作品の核となっていると言っても過言ではありません。改めて俳優・加藤清史郎の凄さを目の当たりにしました。

◆中村倫也『DOPE 麻薬取締部特捜課』

そしてこの夏クール、最も強く筆者の心を射抜いたのは『DOPE 麻薬取締部特捜課』で主演(

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