NHK『あんぱん』©︎NHK

 今田美桜主演の朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)第10週第50回で、妻夫木聡が初登場した。意外にも朝ドラは初出演。

 初出演を受けてネット上は大いにわいた。特に平成世代の視聴者はより「エモい」と感じたはず。

 男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、歴代平成ドラマを振り返りながら、朝ドラ初出演である妻夫木聡を解説する。

◆フジテレビ作品とともにある初期

 妻夫木聡の俳優デビュー作は何だったか。1998年に放送されたフジテレビヤングシナリオ大賞受賞作のドラマ化作品『すばらしい日々』である。妻夫木の初期はフジテレビドラマ作品とともにある。

 竹野内豊主演ドラマ『できちゃった結婚』(フジテレビ系、2001年)もまた忘れがたい。竹野内演じるCMディレクター・平尾隆之介が軽薄きわまりないキャラなのだが、隆之介の後輩・新庄巧を妻夫木が演じていた。

 第1話冒頭、編集室で隆之介が編集指示をする印象的な場面がある。その隣に新庄が座っている。タバコを咥えている隆之介が指示を出してパッとカットが替わり、新庄が隆之介の方へサッと顔を向ける。編集指示出し場面だけに、俊敏な動きをしてみせる妻夫木の、この瞬発力とベタな演技がとにかく見事。

◆ゆるくも手際がいいゼロ年代ドラマ

 フジテレビ月9ドラマでの初主演は、『スローダンス』(2005年)。第1話冒頭場面で妻夫木演じる芹沢理一がバイクを走らせ、大きなあくびをひとつ。月9の画面上(2カット目と3カット目)初めて顔が写るというのに、この圧倒的気だるさ。

 そのあと、出勤前に必ず立ち寄るカフェで持ち帰りコーヒーを注文する場面が、ヒロインとの出会いの発端となる。気だるく、ゆるくも手際がいい展開力が、ゼロ年代の恋愛ドラマの作劇マナーだったかもしれない。

 こうした当時の特性が月9作品として少なからず描かれたのは、桐谷美玲と山

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