取材・文:ミクニシオリ
撮影:大嶋千尋
編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部
仕事でちょっとしたミスをしてしまった日、帰宅時間に雨が降ってしまった日。心が翳った時、癒やしを与えてくれるかわいいキャラクター。ハローキティ、シナモロール、ポムポムプリン……サンリオのキャラクターたちは、働く私たちの強い味方です。
巷でも“就職難易度が高い”と言われているサンリオ社ですが、どんな人が働いているのでしょうか。今回お話をお伺いしたのは、社長室のゼネラルマネージャー・桝長さん。有名外資系企業を2社経験した後に、サンリオに入社。色々な業界や会社を見てきた元コンサル社員をも惹きつけた、サンリオでしか達成できないとある目標とは。
■ITコンサル→戦略コンサル→サンリオの異色キャリアの背景
――なんですか、このかわいいお部屋は……! 受付もサンリオピューロランドかと思うほどかわいくて、テンション上がりっぱなしです。
実はこちら、商談ルームなんですよ。ここはハローキティ仕様なんですけど、他にも人気キャラたちのコンセプトルームがいくつかあります。
――さすがのサンリオ社……! 取り乱してしまいましたが、改めて、桝長さんのご経歴を教えてください。
学生時代、メルボルンに留学した際に、日本のキャラクターグッズやお菓子・お化粧品が海外の学生さんにとても喜んでもらえて、「日本の商品を海外に広めたい」と考えるようになり、それがキャリアの軸になりました。
最初は世界各国でビジネス展開しているグローバルIT企業に入社し、2社目では外資系のコンサルティングファームに転職し、元々興味のあったエンドユーザーに近い消費財食品メーカーやエンタメ業界の企業のご支援をしました。サンリオはコンサル時代から関わらせてもらっていて、特に企業理念や働く仲間の魅力に共感して入社を決意しました。
――これまで幅広い業界と関わり、さまざまな企業を見てきたと思うのですが、そんな桝長さんが魅力を感じた企業理念、気になりますね。
サンリオの企業理念「みんななかよく」は、すごくシンプルなメッセージなんですよね。前職でサンリオに関わっていた際、この理念を社員一人ひとりが大事にしていて、綺麗事でなく、全社で本当に真剣に取り組んでいることを実感しました。経営で議論されている内容も「今笑顔にできていない人に対していかに笑顔を増やすことができるのか」、「今笑顔の人に対してもどうしたらさらに笑顔を増やしていけるのか」が軸となっていて、商品を作る人・売る人も同じ観点で細やかなところまでこだわっていると感じました。
いつか事業会社に入りたいと考えてはいたのですが、企業理念と「One World, Connecting Smiles.(一人でも多くの人を笑顔にし、世界中に幸せの輪を広げていく)」というビジョンに触れて、今では手前味噌ですが、とても素敵な会社で自分も仲間に入りたいと思いました。
――現在は社長室のマネージャーをされているということですが、具体的なお仕事内容も伺ってよろしいでしょうか。
サンリオがグローバルエンターテイメント企業として成長していくための、経営戦略を立てています。社長や役員と一緒に、中長期的な経営計画の立案をしたり、KGIKPIを立てたりしています。それ以外にも組織横断で取り組む様なプロジェクトにもジョインしているので、会議が多い毎日を過ごしています。
――サンリオの社長室と聞くと、多岐に渡る業務がありそうですが、どんな時にお仕事のやりがいを感じますか?
ありきたりな回答になってしまうのですが、やはり自分が関わったもので誰かが笑顔になっているのを見た時には、うれしい気持ちになりますね。実はつい先日まで、社長室と教育事業のエデュテイメント事業部を兼任していて、新しい英会話スクールの開発をしていたのですが……誰かに新しい感動を与えられた時にはやりがいを感じますね。また、お客様だけでなく、自分が関わるなかでチームのメンバーが笑顔になっているのを見た時には、嬉しい気持ちになります。
――英会話スクールまでやっているなんて、さすが幅広いですね。
もともと「Sanrio English Master(サンリオイングリッシュマスター)」という子ども向け英語教材があって、2024年11月に「We Act!」という英会話スクールをローンチしました。ただ英語を学ぶだけではなく、映画制作をしながら英語を学べるスクールとなっています。かわいいキャラクターたちに英語でアフレコをし、声優気分で前のめりになって英語を楽しむ子どもたちを見て、今までにないサンリオならではの新しい価値を提供できたと感じることができました。
――まさに、グローバルエンターテイメント企業ならではの新事業ですね。
■「みんななかよく」を体現する企業風土
――桝長さんの働き方についてもお伺いしたいのですが……やっぱり、お忙しいですか?
時期にもよりますが、期初期末などはタスクが詰まっているかもしれません。リモートワークや スライド勤務、時間有休などの制度もあり、社員それぞれが多様な働き方をしていますが、私は出社することが多いです。対面でお話する時のちょっとした交流が好きなのもあるかもしれません。
――サンリオで働く人は、どんな方が多いですか?
コミュニケーションを大切にしていて、まさにサンリオが掲げる企業理念やビジョンを体現している人が多いと感じます。
――“みんななかよく”を体現する会社、とても素敵ですね。社内交流のイベントなども多いのでしょうか?
社内交流は多い方だと思います。社長室や社長企画で走るイベントもあるんですよ。例えば「社長がみんなの願いを叶えるイベント」とか……。
――シンプルだけどかなりうれしいイベントタイトル……!
七夕や新年等にはお願い事を書いて箱に入れて、社長が開封してそこに書いてある願い事をかなえるイベントがありました。企業規模で考えると、社長との距離がかなり近い会社なのではないかと思っています。
――サンリオの社長さんって、どんな人なんですか?
それこそ、社長自身がビジョン・ミッション・バリューを体現していると感じますね。サンリオのバリューでは、社員が行動に移す時の具体的なメッセージが提示されているのですが、語尾に“だいじょうぶ”という言葉がつくんです。「部署の壁を壊して、だいじょうぶ。」とか、「夢を語って、だいじょうぶ。」とか。この言葉に社長はこだわっていて、社員みんなが安心して働ける環境を守ってくれる、社員想いな優しい方です。
――素敵な社長のもとで、とてもやりがいあるお仕事をされていると感じたのですが……お仕事やキャリアにお悩みはありますか?
個人の悩みではなくなってしまうかもしれないのですが、サンリオは今グローバルエンターテイメント企業として、キャラクターの会社ではなく、キャラクターを生かしながら人々に新しい価値を提供し続けていくために、色々な事業展開をスタートさせているところなんです。
私は社長室のメンバーとして、10年先の未来を洞察するというミッションもあるのですが、日々進歩していく今の世界で、10年先の未来を想像する……これがやっぱり難しくて、一個人としても頭を抱えています。とても難しいですが、他方でとてもわくわくします。
――サンリオのかわいいキャラクターに癒やされている読者の方も多いと思います。個人的には「はなまるおばけ」に最近ハマっています……!
「はなまるおばけ」は2022年に行った『NEXT KAWAII PROJECT』という、サンリオの次にデビューする新キャラクターを決めるユーザー参加型プロジェクトから生まれ2023年にデビューしました。頑張っている人をそっと見守って応援してくれるというコンセプトのキャラクターで、私もSNSを見たりして、癒やされています。
――桝長さんの今後のキャリアやお仕事の展望を教えてください。
海外のフィールドでチャレンジしたいという想いはあるのですが、それ以外は正直なところ、私自身のキャリアそのものには大きなこだわりがあるというわけではないんです。どちらかというと、留学の時からの想いや、サンリオという会社が好きということもあって、サンリオを通じて、もっと世界に笑顔を届けたいという思いの方が強いです。
サンリオといえば20〜30代の女性から支持を得ているイメージも強いと思いますが、実は男性のファンも結構いらっしゃるんです。性別や国等関わらず、サンリオのことをよく知っている人はもちろんのこと、まだよく知らない人にも、その魅力をもっと届けられれば、笑顔の連鎖が広がっていくと信じています。キャラクターという接点やそこにとどまらない事業展開で、世界中を笑顔にする。サンリオにいるからこそ達成できる自分らしい目標だと考えています。