ご紹介するドラマは2022年10月15日から韓国のtvNで放送された「シュルプ」。全16話です。「シュルプ」は王子たちのために宮廷の内外を東奔西走する王妃が主人公のフュージョン朝鮮時代劇。これまでのような権力を求める王妃といったステレオタイプを打ち崩す、ニュータイプの王妃を演じるのはキム・ヘス。ざっくりあらすじ)さまざまな陰謀が渦巻く宮中の動きに対し、相手が誰であっても真っ向から対決する姿勢を崩さない王妃ファリョン。そんな王妃を国王イ・ホは最も信頼を寄せ、陰ながら支えていました。世子(セジャ)をはじめ、立派に育った5人の王子たちは誰一人もれなく正道を好む性格は母親 譲りです。しかし、王子たちの自由奔放な性格がときどき、宮廷の内外でトラブルを起こすため、その度に王妃はトラブルシューターとして走り回る日々を送っていました。王妃でありながらも、ときには優しくも厳しく立ち居振る舞う母を王子たちは畏怖しながらも敬愛しています。そんな王妃ファリョンは側室の王子たちにも分け隔てなく深い愛情を注ぎます。国王の期待に応えるほど立派に務めを果たす世子がある日、重篤な病に罹っていることが発覚します。王妃ファリョンと対立する国王の母、大妃(テビ)は己の権力を継続するため、これを機に側室から後継者を出そうと世子の廃位を謀ります。実際は大妃(テビ)には先王の側室から成り上がった過去がありました。一方、王妃ファリョンは前世子(セジャ)が早逝した責任を取る形で追放された前王妃を訪ねます。ファリョンは前王妃から、前世子の死因が毒殺であり他の王子たちもことごとく謎の死を遂げたのは大妃(テビ)の仕業であったという衝撃の事実を知らされます。そこでファリョンは全力で世子(セジャ)の治療にあたると同時に、王子たちに徹底して帝王学を教え込むために奔走するのでした。世子の様態が芳しくない中、万が一に備え国王イ・ホは徳と功を兼ね備えた最も賢い王子から世子の後継者を選ぶ「択賢(たくけん)」を実施します。こうして総勢11人の王子たちとその母たちによって世子の座をかけた熾烈な競争がはじまります。ドラマのタイトル「シュルプ」とは、王子を雨脚から守るために雨傘を差す母の姿を意味します。キャスト)キム・ヘス(王妃イム・ファリョン役)Kim Hye-Soo。朝鮮の王妃。世子と4人の王子の母。王妃として宮中で厳格な姿勢を示す反面、側室の王子たちにも深い愛情を注いでいます。パク・ジュンミョン(シン尚宮/サングン役)Park Jun-Myun。王妃の側近で、常にファリョンと行動をともにする最も信頼された直属の部下。ペ・イニョク(世子役)Bae In-Hyuk。王妃の長男。文武両道に長けた理想的な世子。病に冒されてしまう。ムン・サンミン(ソンナム大君/イ・ガン役)Moon Sang-Min。王妃の次男。少年時代を宮廷外で育った野性味に溢れた正義感の強い王子。長男である世子を尊敬しています。ユン・サンヒョン(ムアン大君役)Yoon Sang-Hyun。王妃の三男。宮廷外で恋愛の末、子供を作ってしまうなど、母を驚かせます。ユ・ソノ(ケソン大君/イ・ファン役)Yoo Seon-Ho。王妃の四男。芸術家気質で書道、絵、楽器に長けた王子ですが人に言えない秘密を持っています。パク・ハジュン(イリョン大君/イ・ユル役)Park Ha-Jun。王妃の末息子。自由奔放な末っ子らしいいたずらっ子。チェ・ウォニョン(国王イ・ホ役)Choi Won-Young。側室出身の現皇太后によって王の座に着きました。幼少の頃から王子の中で最も聡明であり現王としても名君ぶりを発揮しています。キム・ヘスク(大妃/皇太后役)Kim Hae-Sook。先王の元側室でのちに正室となった国王イ・ホの母。裏の権力を牛耳る皇太后で王妃イム・ファリョンと敵対しています。オク・ジャヨン(側室ファン・チョヨン役)Ok Ja-Yeon。側室の中で最も影響力を持ち、息子ウィソンを次期世子に着けるべく暗躍します。カン・チャニ(ウィソン君役)Kang Chan-Hee。ファン・チョヨンの長男で自分こそが真の世子であると信じて疑わず、不正をしてでも世子の座を狙っています。キム・ガウン(側室テ・ソヨン役)Kim Ga-Eun。天真爛漫なその性格は側室の中で異彩を放ち、憎めない人柄。キム・ミンギ(ポゴム君役)Kim Min-Gi。テ・ソヨンの長男。王妃の次男ソンナム大君に負けず劣らずの資質を持った王子。ウ・ジョンウォン(側室コ・キイン役)Woo Jung-Won。当初は王妃ファリョンに敵対的態度を見せますが、息子を救ってくれた恩に報いることになります。ムン・ソンヒョン(シムソ君役)Moon Sung-Hyun。母コ・キインのプレッシャーに耐えられず自ら命をたとうとするも王妃ファリョンに救われます。キム・ウィソン(大監ファン・ウォニョン役)Kim Eui-Sung。ファン・チョヨンの父、家臣の中で宮廷内一番の権力者。チャン・ヒョンソン(大監ユン・スグァン役)Jang Hyun-Sung。ファン・ウォニョンを支持する兵曹判書(ピョンジョパンソ)。ソ・イスク(前王妃役)Seo Yi-Sook。大妃(テビ)ママに毒殺された前世子イッキョンの母。評論・評価)本作はフュージョン朝鮮時代劇にありがちな薄っぺらさがなく、軽快さの中にも厳粛な空気が漂う重厚な作品に仕上がっています。疾風のごとく駆け抜ける王妃の姿は颯爽として麗しくカッコいいです。王妃の威厳を保ちつつ、王子たちを息子として深い愛で包む込む母の姿がドラマ全体を光で包み込んでいます。今までの朝鮮時代劇が描いてきた王妃像と全く異なる母性愛溢れる姿をこれほど見事に演じ切ったキム・ヘスの演技が最大の見所です。息子たちのために奔走する母親っぷりに加え、ときおり見せる優しい眼差し。打って変わって対峙する相手を片眉を吊り上げながらにらみつけるキム・ヘスの目ヂカラには圧倒されます。「シュルプ」の評価ですが、★5点満点中、★4.0とさせていただきました。Netflixで放映中です。
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