集英社ゲームズがSCRAPと共同制作で2026年4月23日にリリースを予定しているブラウザゲーム『カミとミコ』(関連記事)は、“世界創造謎解きアドベンチャー”という新機軸を掲げた意欲作だ。キャラクターデザインに赤坂アカ氏、謎解き制作にSCRAPを迎えた本作は、従来のデジタルゲームとも、リアル脱出ゲームとも異なる体験を提示している。

本稿では、そのゲーム体験とビジネス的な可能性の双方から、本作の魅力に迫っていく。

『カミとミコ』│2ndPV

■“カミ”として人類史に介入するゲーム体験

ゲームの基本構造はシンプルながらも独創的だ。プレイヤーは“カミ”となり、転生を繰り返す存在“ミコ”とともに、人類の歴史に介入していく。

舞台は100万年前から現代に至るまでの各時代。飢餓や疫病といった人類が直面してきた課題に対し、プレイヤーは“現代知識”をもとに解決策を導き出していく。


▲物語は、滅亡に瀕した集落で“カミ”と“ミコ”が出会う場面から始まる。しかし、彼女にはカミの言葉が通じない。限られた手段で意思を伝え、人々を導いていく過程が、本作の大きな軸となっている。

重要なのは、ゲーム内の情報だけでなく、プレイヤー自身の知識や発想がそのまま攻略に直結する点だ。単なるパズルではなく、「どうすれば人類はこの状況を乗り越えられるのか」という思考そのものがゲームプレイになる。

この“知識介入型”とも言える設計は、既存のノベルゲームや脱出ゲームとは一線を画す体験を生み出している。





■デジタルで進化する「オンライン謎解きゲーム」

そもそも、本作はいわゆる“オンラインリアル脱出ゲーム”などのオンラインで楽しむ謎解きに分類されるタイトルだ。現実の会場で体験するリアル脱出ゲームなどに対し、PCやスマートフォンのブラウザ上でプレイできる点が大きな特徴となる。

時間や場所に縛られず、複数人で相談しながら進めることも、一人でじっくりと謎に向き合うことも可能。さらに近年では、実況や配信を通じて“視聴されるコンテンツ”としても楽しまれており、デジタル環境と高い親和性を持つジャンルと言える。

『カミとミコ』は、そうしたオンライン謎解きの文脈を踏まえつつ、そこに“世界創造”という要素を掛け合わせているのがユニークな部分となっている。

■赤坂アカ×SCRAP——異分野融合が生むIP力

また、本作の大きな魅力のひとつが、豪華クリエイター陣による座組である。

キャラクターデザインを手掛けるのは、『【推しの子】』『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』 で知られる赤坂アカ氏。感情の機微を描くことに定評のある同氏の参加により、単なる謎解きにとどまらない物語体験が期待できる。

さらに、謎解き制作はリアル脱出ゲームのパイオニアであり、SCRAPを率いる加藤隆生氏が担当。数多くの体験型コンテンツで培われた“ひらめき”の設計が、本作にも色濃く反映されている。

【クリエイター紹介】
・赤坂アカ

漫画原作者・イラストレーター。代表作は『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』『【推しの子】』(原作)。両作品はアニメ・実写が大ヒット。現在はヤングジャンプにて『メルヘンクラウン』を連載中。ゲーム好きとしても知られており、本作にも原案から参画。

・加藤隆生

リアル脱出ゲームを企画運営するSCRAPの代表。リアル脱出ゲームは国内外の拠点やイベントで随時開催し、2026年までに全世界で1700万人を動員。『鬼滅の刃』『DEATH NOTE』『チェンソーマン』など作品コラボも多数。本作では自ら謎の制作を手がける。

さらに、共同製作として集英社ゲームズも加わっており、漫画IP、体験型コンテンツ、デジタルゲーム——それぞれ異なる領域の強みを掛け合わせた構成は、近年のクロスメディア戦略の中でも注目すべき取り組みだ。


▲赤坂先生がデザインした「ミコ」のピクセルアートは、『COFFEE TALK TOKYO』などでピクセルキャラクターデザインなどに携わった石田芙月氏(@fuzuzu)が担当。ドット絵で表現される世界観は、時代を越える物語と相性がよく、プレイヤーの想像力を刺激する仕上がりとなっている。

■“ひらめき”を再現するシステム設計

ゲームプレイの中心となるのは、マップ上の情報収集とキーワードの発見だ。そのためにも、普段、村人たちがどのように動いて何が起きているのかを“観察”するのが重要になってくる。





▲村人の会話や環境を手がかりに石板を集め、それらを組み合わせてミコに啓示することで新たな解決策が生まれる。

さらに、天候を操作するなど“カミ”として世界に介入する要素も用意されており、単なる謎解きにとどまらないインタラクションが展開される。


▲雨を降らせたり雷を落としたり、「これぞカミの力!」と言わんばかりに天候を操れる。

本作が興味深いのは、「寒さをどうしのぐか」「病気をどう克服するか」といった、人類史におけるターニングポイントを“気づき”として追体験させる点だ。プレイヤーは歴史をなぞるのではなく、自らのひらめきで“再発明”していく感覚を味わえる。





▲各時代で発生するさまざまな問題。プレイヤーは状況を読み取り、適切な手段で解決へと導いていく。


▲問題を解決することで文明は一歩ずつ進化を遂げていく。プレイヤーの選択とひらめきが、その歩みを大きく左右していく。

■時代を越えて変化する“ミコ”という存在

そして、本作における感情の軸となるのが、“ミコ”の存在だ。彼女は時代ごとに異なる姿・人格で登場しながらも、記憶を引き継いで転生しているため、プレイヤー=カミとの関係性を積み重ねていく。





▲生まれ変わっても健気にカミを慕い続けてくれるミコの姿に、プレイヤーも次第に心を動かされていくはずだ。

言葉が通じない中で信頼を築き、時にすれ違いながらも導いていく過程は、単なるゲームシステム以上の体験をもたらす。時代を越えて関係性が変化していく点も、本作ならではの見どころと言えるだろう。

▲さまざまな時代のミコ。異なる立場でカミと共に人類を導いていくが、いつも順風満帆とはいかず……。

■“気づき”の快感と謎解きの広がり

実際のプレイフィールとしては、序盤はできることが限られていることもあり、ややシンプルなパズル的な印象を受ける。しかし、進行に伴い要素が増えていくことで、思考の幅と自由度は大きく広がっていく。特に、中盤以降にはSCRAPらしい“気づき”を重視した本格的な謎が多数登場する。解法にたどり着いた瞬間の爽快感は非常に高い。


▲思わず「そういうことか」と膝を打つような瞬間が随所に用意されており、自分の中で点と点がつながる感覚は、まさに本作ならではの醍醐味だ。こうしたSCRAPらしい“気づきの連鎖”は強い没入感を生み、単なるクリア以上の満足感へとつながっていく。

また、マルチエンディングであることから、すべての結末を見届ける過程で作品のテーマ性や真実が徐々に明らかになっていく構造も印象的だ。クリア後に残る余韻の強さも、本作の大きな魅力のひとつである。





▲“カミ”と“ミコ”がどのような結末にたどり着くのかも含めて、最後まで見届けたくなる構造となっている。

■“ブラウザ×謎解き”の可能性

本作はブラウザゲームとして提供される点も重要だ。インストール不要でプレイできることは、ユーザーの参入障壁を大きく下げる要因となる。加えて、謎解きという性質上、配信やSNSとの相性が良く、ユーザー同士の情報共有や考察が自然発生的に広がる可能性も高い。これは従来のコンシューマーゲームとは異なる拡散構造を生み出す要素となり得る。

さらに、集英社ゲームズとSCRAPの協業は、IPと体験型コンテンツの融合という観点でも注目に値する。デジタルとリアル双方への展開余地を持つ点は、今後のビジネスモデルにも広がりをもたらしそうだ。

■新たな“知的体験”としてのゲーム

『カミとミコ』は、謎解き、ストーリー、そしてプレイヤー自身の知識を融合させた、“知的体験”としてのゲームを提示している。従来のジャンルに収まりきらないその設計は、オンライン謎解きの進化形であり、同時に新たなユーザー層を開拓する可能性を秘めている。IPと体験設計を掛け合わせた本作が市場でどのような反応を得るのか、今後の動きにも注目しておきたい。

現代知識とひらめきを武器に人類の歴史へ介入していく唯一無二の体験と、SCRAPらしい“気づき”の快感が融合した本作。ミコとともに歩む人類史の中での発見と選択の積み重ねは、確かな手応えとしてプレイヤーに残る。謎解きと物語の双方を楽しみたい人には、ぜひ一度触れてみてほしい作品だ。

(取材・文 編集部:山岡広樹)

【関連サイト】

特設サイト(SCRAP)

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