拡張版「ディアブロ IV:憎悪の帝王」で描かれる世界観などについて左からChris Ryder氏(アートディレクター)、Morgan Brown氏(リードクエストデザイナー)、Matt Burns氏(リードナラティブデザイナー)

――今回のキャンペーン(ストーリー)モードで、パラディンとウォーロックという2つのクラスの背景は描かれるのでしょうか?

Morgan Brown:はい、もちろんです。両クラスのために小さなクエストチェーンを用意しました。そのクラスを初めてプレイする人にも、パラディンやウォーロックが大好きな人にも、彼らが何を信じ、何を行い、この時代のサンクチュアリでどのように力を得ているのかを紹介する内容になっています。

 また、過去のストーリーも振り返り、パラディンやウォーロックならここでこう言うだろうという特定の瞬間に、新しいボイスオーバーを追加しました。初めてキャンペーンを遊ぶ人も、久しぶりに新しいクラスでやり直す人も、最初から最後まで自分のクラスが物語に深く根ざしていると感じられるはずです。

――今回のDLCの新しいキャンペーンは、前回のエンディングからの続きですか?それともまったく別のストーリーですか?

Matt Burns:前回の拡張版が終わった直後から始まります。前作の主要キャラクターがすぐに登場し、次にどこへ向かうべきかを特定して出発します。目的地は「スコヴォス」です。メフィストがそちらにいることが分かり、後を追っていく、という内容になっています。

 「Diablo IV」の第1幕から始まった物語は、一つの大きな弧になっています。今回の「Lord of Hatred」では、これまでのすべての物語が積み重なり、メフィストとの大きな対決へと向かう集大成のような物語です。

――今回の拡張で一番描きたかったものと、プレイヤーに特に注目してほしいストーリーの見どころを教えてください。

Matt Burns:物語を書いていて本当に楽しかったですし、プレイヤーも喜んでくれると思います。「Diablo IV」の冒頭で、プレイヤーはリリスの血の花びらを飲み込み、彼女の一部が自分の中に取り込まれましたよね。今回の拡張では、リリスがメフィストを追跡し、阻止するための重要な鍵となります。自分の中にリリスの一部があることが何を意味するのか、彼女はまだ完全には消えていないのではないか……。そのあたりを模索しながらストーリーにつなげていくのは非常にエキサイティングでした。

Morgan Brown:私が気に入っているのは、スコヴォスの島々です。島ごとにビジュアルテーマが異なり、ストーリー上の状況も違います。戦争中の島、活火山の島、かつて繁栄した文明が廃墟となった「幽霊都市」のような島などがあります。

 例えば、アマゾンが強大な敵と対峙して膠着状態にある戦争の島にプレイヤーが介入し、戦況をどう動かすか。また、活火山の島では単に溶岩があるだけでなく、空から火の玉が降り注ぎ、足元の地面が崩れる中をどう進むか。チーム一丸となって、エリアごとに新しくエキサイティングな体験ができるよう工夫しました。

Chris Ryder:私がスコヴォスで気に入っているのは、そこがサンクチュアリにおける「人類発祥の地」のような場所である点です。地下都市でも古代文化の断片が見られましたが、スコヴォスではその「骨組み」が生きています。遠い過去の原始的な文明と現在のサンクチュアリが重なり合っている、そのレイヤーが非常に興味深いです。「なぜこの強力な古代文明は滅びたのか」という謎も深掘りしています。

――スコヴォスは「Diablo III」にも出てきたと思いますが、何か関係はありますか?

Matt Burns:はい、同じ場所です。実は「Diablo II」のアマゾンの武器のフレーバーテキストやマップの端にも情報が描かれており、その断片的な情報をすべて集め、冒険する価値のある場所に作り上げました。

Chris Ryder:スコヴォスについてはずっとアイデアとしてはありましたが、具体的に構築したのは今回が初めてです。拡張版としてふさわしい素晴らしい体験にするために、物語の進行やプレイヤーの旅路を考慮しながら、多くの興味深いロケーションを用意しました。世界で起きていること、ストーリー、そしてプレイヤーの行動が完璧に一致するように考慮しています。

――パラディンについてはこれまでのシリーズや、予約特典の先行プレイなどからその背景が推測できますが、今回初登場となる新クラス「ウォーロック」は、サンクチュアリにおいて何を信仰し、どのような立ち位置にいるのでしょうか?

Morgan Brown:ウォーロックの背景には「ヴィジュレイ」という、古くから悪魔の力を利用してきた魔術師たちの歴史があります。地獄の力を手なずけ、悪魔を鎖に繋いで自分の利益のために利用しようとした人々です。

 「Diablo IV」のウォーロックはその力を学び、文献を漁り、独学で習得しました。彼らが地獄の力を使うのは、地獄が好きだからではなく、地獄に嫌悪感を抱き、地獄を倒すためにその力を利用しようとしているからです。

 パラディンと同様にサンクチュアリを守りたいという志を持っていますが、アプローチが異なります。「毒をもって毒を制す」という考え方です。しかし、悪魔の力を使えば使うほど、いつか自分に破滅が返ってくるのではないか……という代償の問題も抱えており、そこが面白い立ち位置になっています。

Chris Ryder:概念的には「聖なる力」と「悪魔の力」という大きなコントラストがあります。預言者アカラットとメフィスト、平和な場所と破壊、といった両極端な要素を今回は「繊細さ」ではなくあからさまに押し出しました。このコントラストが、非常に興味深いコンテンツを生む土壌になったと思います。

――この拡張版については2023年に既に匂わせがあったと記憶していますが、ストーリーを聞いていると、「Diablo IV」の本編を作っている時からここまでの構想があったように感じます。実際の開発期間はどのくらいでしたか?

Morgan Brown:2023年6月に本編がリリースされる前から、ナラティブの面ではすでに次のチャプター、つまりロラスやネイレルのその後、そしてメフィストについて高いレベルで計画を立てていました。

Chris Ryder:行き先についても同様です。東側の大陸から始まり、次はどこへ行きたいか。「Diablo II」でお気に入りだった場所を再訪したり、あるいは全く新しい場所としてスコヴォスを解放したり。物語と世界構築は並行して、かなり前から何層にもわたって計画されていました。

エンドコンテンツや新たに追加される要素について左:Colin Finer氏(アソシエイトディレクター)、右:Aislyn Hall(ゲームデザイナー)

――ついにルートフィルターが実装されましたが、他人が作ったフィルターを共有したり、ロードしたりすることは可能ですか?

Colin Finer:はい、他のプレイヤーが作成したルートフィルターをロードして共有することが可能です。私たちも皆さんがどんなフィルターを作るか楽しみにしています。

――ウォープランについて詳しく教えてください。

Aislyn Hall:ウォープランは、エンドゲームで「何をすべきか」という問いに対する答えです。開始すると、ランダム化されたアクティビティとボーナス報酬が設定された、ツリー状のリストが表示されます。次々とアクティビティをこなしていくことで、シームレスに次の場所へテレポートでき、非常にスムーズに進行します。これらのアクティビティを通じてメタ的な経験値を得ることで、関連する「アクティビティボード」をレベルアップさせ、内容をカスタマイズしていくことができます。

Colin Finer:例えばナイトメア・ダンジョンをやり込めば、その専用ボードのレベルが上がります。レベルが上がるごとに、難易度や報酬を変化させるアップグレードを選択できます。

 また、「聖遺物に触れている間、倒したモンスターが最後にまとめてリスポーンする」といった、リスクとリターンの調整が可能です。このようなボードが現在7種類用意されています。これは拡張版「Lord of Hatred」の購入者向けのコンテンツとなります。

――今回少しだけ発表のあった釣りについて、なぜ導入したのか、どんなシステムなのか教えてください。

Aislyn Hall:今回の新エリア「スコヴォス」は、サンクチュアリの中でも特に美しく絶景と言える場所です。常に悪魔を殺して走り回るのではなく、その雰囲気や空気感を楽しめる「カジュアルな時間」を提供したいと考えました。 釣りはキャラクターのパワーアップに直接影響するものではなく、あくまでコレクション要素です。様々な魚を釣ったり、時には「変なもの」が釣れたりすることもあります。

Colin Finer:「ディアブロ IV」のオープンワールドを探索する中で、かつてのサンクチュアリに何が存在していたのかを感じられる要素でもあります。世界中の水辺で釣りができ、多様なコレクションが用意されています。……白状すると、開発チームは「あつまれ どうぶつの森」が大好きなんです(笑)。

――釣りの景品にレジェンダリーやミシック装備が含まれていることはありますか?

Colin Finer:可能性はゼロではありません。「ディアブロ」ですからね(笑)。装備をファームするための場所ではありませんが、地面に落ちている石をひっくり返してレジェンダリーが出ることもあるように、釣りでも「ジャックポット」のような驚きが起こるかもしれません。

――新エリア「スコヴォス」において、DLC購入者しかアクセスできない限定コンテンツはありますか?

Colin Finer:専用の囁きクエストやローカルイベント、レギオンイベントがあります。また、「反響する憎悪」という非常にレアな新イベントを追加しました。1シーズン遊んでも1回遭遇できるかどうかというほど希少で、自分の限界を試すような非常に強力なボスと多くの報酬が得られるボーナスモードです。これらは「Lord of Hatred」限定となります。

――新たに導入される「ホラドリムのキューブ」について、3つのアイテムを合成して1つの強いアイテムにする機能は、今シーズンの「聖別」のようなものですか?

Colin Finer:若干異なります。キューブの合成には2つのパターンがあります。1つは、同じ種類のアイテム3つを融合して、よりレアリティの高いアイテムにランクアップさせる機能です。例えば地下都市の素材などを合成して、マジックからレア、レジェンダリーへと引き上げることができます。

 もう1つは、まったく同じユニークアイテム3つを消費して、そのユニークの「ステータスを振り直す」機能です。使えない数値のユニークが溜まってしまっているというフィードバックに応えたもので、より良い数値を狙うことができます。

Aislyn Hall:シーズン11の「聖別」は非常に強力な期間限定要素でしたが、キューブは長期的なゲームバランスを保つためのシステムとして導入しました。「ホラドリムのキューブ」で行なえる「トランスフィギュレーション(変容)」では、アイテムに強力な効果を付与できます。

 ほかにも、悪い結果を排除するが恩恵も少なめな「Lesser(劣等)」、ギャンブル性が高いですが、爆発的な恩恵が得られる「Greater(優等)」という選択項目もあります。

――既存のエンドゲームへの調整はありますか?

Aislyn Hall:大きな変更点として、トーメント難易度を現在の4段階から12段階まで拡大します。これまでのトーメント4は比較的達成しやすいものでしたが、これからはより高い目標として機能します。

 これに伴い、難易度のカーブも調整しました。今は「簡単すぎる」か「いきなり死ぬほど難しくなる」かの二極化が起きていますが、これをよりスムーズな進行にします。新しいトーメント4は、現在の2.5〜3くらいの感覚になるでしょう。

Colin Finer:今回の拡張版の目標は、エンドゲームの「マンネリ化」を防ぐことです。一つのビルドに固定して二度と変えないのではなく、キューブでのステータス変化や新しいタリスマンシステム、ウォープランの進行などによって、「新しいアイテムを拾ったからビルドを考え直してみよう」という変化が常に起きるような深みを持たせました。

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