ホラーゲーム『Aftermath Z: Red Pine Lake』の開発元Sakura Studiosが、同作がSteamの審査に落ち、ストアページを開設できなかったと報告して話題となっている。同スタジオによると、「水着の女性の後ろ姿」が審査落ちの原因になったという。
本作は、マルチプレイ型のホラーゲームだ。1980年代の避暑地のキャンプ場を舞台にしているそうで、プレイヤーのうち1人は殺人鬼となり、残りのプレイヤーはキャンプ場のカウンセラー(スタッフ)として生き残りを目指す。レトロなシンセサイザー系のサウンドトラックなども持ち味になるそうで、1980年代のスラッシャー映画の懐かしくも恐ろしい雰囲気の再現を掲げる作品だ。
そんな本作は今年7月に発表され、同月にはSteamストアページの開設を目指して準備が進められていることも伝えられていた。ところが10月29日になってSakura StudiosはValveにSteamストアページの開設を承認されなかったことを発表。本作のキービジュアルが原因になったと説明している。同スタジオによれば、このキービジュアルが“過度にアダルト向け(too mature)”と判断され、審査に落ちたという。
🚨Announcment🚨
This image is the reason our steam page has not been approved. This image is now classed as too mature according to Steam, so now we can not have the page ready in time for the event and would need to censor our marketing, screenshots, etc. This is what… pic.twitter.com/fED2LFgVlt
— Aftermath: Red Pine Lake 🏕🪓 (@AftermathZGame) October 28, 2025
同スタジオによると、本作は一般的な「大人向け(Mature)」かつ暴力やゴア描写が頻繁に含まれるというタグ付けで申請をおこなったそうだ。ただ、成人向け(アダルトオンリー)に当てはまるゲームではないため同ジャンルのタグは付けず、ヌードあるいはセクシャルな表現も含まれるものの頻繁ではないという区分で申請されたとのこと。
ところが本作の申請は却下されることになり、その原因はストア上などで表示されるカプセル画像(バナー画像)、およびライブラリ上で表示される画像に本作のキービジュアルが含まれていることであったという。本作のキービジュアルでは、水着の女性が暗い湖に佇んでいる後ろ姿が描かれている。同スタジオの報告を見るに、この“女性のお尻”を含むデザインが審査落ちの引き金になったようだ。
Okay so we keep being asked about this “adult only tag” so we will do our best to clear it up here.
On Steam, as a dev we have only these options as shown in the image below. There is only one option for adult only sexual content. We can’t tick that because we have to be… pic.twitter.com/8nqV1xGl0p
— Aftermath: Red Pine Lake 🏕🪓 (@AftermathZGame) November 3, 2025
というのも同スタジオは審査落ちを受けて、Steam上にはほかにももっと性的なカプセル画像を用いているゲームがあると主張し、Steamのサポートチームに不服を申し立てていた模様。そして同スタジオは、そうしたやり取りを切り抜いたとみられる画像を複数報告している。このなかではSteamのサポートチーム側から「女性の臀部に焦点を置いた画像では、どんな服装であっても本質的に性的と見なされる」という回答がおこなわれており、スタジオ側の不服申し立てが却下されたことがうかがえる。
なおSteamにおけるカプセル画像やライブラリ上で表示される画像の条件としては、映画でいうPG-13相当の基準が設けられているとのこと(Steamworksドキュメント)。またたとえ成人向け(アダルトオンリー)の作品であっても、カプセル画像やライブラリ用の画像にはヌードやセクシャルな要素を含んではいけないという。そのため今回の『Aftermath Z: Red Pine Lake』については、仮に成人向け(アダルトオンリー)のタグで申請していたとしても、いずれにせよ審査落ちになっていたのだろう。
Sakura Studiosは、スクリーンショットなどのマーケティング用の素材をすべて見直して再審査することもできるとしつつも、“検閲されたゲーム”としてリリースすることは望まないと説明。ただマルチプレイ作品ゆえにプラットフォームの変更にはネットワーク部分を作り直す必要性も生じるそうで、まずは適切なプラットフォームやパブリッシャーを探すことから始める意向を示している。
For context, we have nothing against these games we are simply highlighting Steams hypocrisy. According to Steam themselves, the adult only/18+ filter still should not have sexual imagery in capsule or library art. So this example still highlights that rules are broken and ours… pic.twitter.com/cXe0OsXFJI
— Aftermath: Red Pine Lake 🏕🪓 (@AftermathZGame) November 2, 2025
“水着のお尻”を含むカプセル画像やライブラリ用の画像が原因で審査落ちしたとみられる、『Aftermath Z: Red Pine Lake』。カプセル画像やライブラリ用の画像はいわばゲームの看板的な画像として幅広いユーザーが目にすることもあり、慎重に審査がおこなわれていることもうかがえる。ただSakura Studiosが主張するように、Steam上にはセクシャルあるいはセンシティブな表現を含むカプセル画像やライブラリ用の画像が用いられた作品も見受けられる。
Steamでは今年7月、開発者向けの規約が改訂され成人向け(アダルトオンリー)区分のゲームの規制が強化(関連記事)。さらに昨今では成人向け作品に限らず、Steamストアページがすでに開設されていた撮影恋愛シム『LoveR Kiss Endless Memories』や、“架空の脱衣麻雀ゲーム”が題材のホラーゲーム『H9』といった作品において、Steamでの配信が中止されることが発表されている。テーマや含まれる表現によっては、審査をクリアすることが難しくなっている傾向もうかがえる。いずれにせよ審査前にどのような審査基準があるのか不明瞭なことも、メーカー側の混乱の要因になっているのだろう。
上述したように『Aftermath Z: Red Pine Lake』においては、審査落ちの原因はあくまでカプセル画像やライブラリ用の画像とみられる。とはいえ開発者としては、そうした画像を変更してもさらに厳しい基準が“後出し”されるのではないかといった不信感にも繋がっている様子だ。なおValveが過去に海外メディアPC Gamerなどに寄せた回答を見るに、規制強化の背景には決済代行業者およびアクワイアラー銀行などの判断も関係しているとみられる(関連記事)。もしも現状の審査において“複数社の基準”がすべて考慮されているのであれば、そのことは明確な審査基準の事前提示が難しい背景としてあるのかもしれない。
