10月11日に発売が迫るElectronic Artsのプレイステーション 5/Xbox Series X|S/PC用FPS「バトルフィールド6」。8月に開催されたベータテストは、合計で4億回のマッチが行なわれ、Steamでは最大同接数が50万人を超えるなど、約4年ぶりの新作に大きな期待が集まっている。

 またコンソール版では、PS4/Xbox Oneがサポートされず、現世代機(PS5/Xbox Series X|S)に特化しており、より美麗なグラフィックスと滑らかな映像でゲームを楽しめるほか、キーボード&マウス操作への対応、エイムアシストの改善など、ほぼPC版と同じ環境で“全面戦争”を体験できるようになった。

 本稿では、コンソール版のパフォーマンスやクオリティについて、「バトルフィールド6」でスタジオ・テクニカルディレクターを務めるChristian Buhl氏、デザイナーのMatthew Nickerson氏のインタビューをお届け。最適化で苦労した面やエイムアシストの方針について伺うことができたので紹介していく。

 なお、GAME Watchでは先行プレイレポートや開発者インタビューも掲載されているので、併せてご覧いただきたい。

【Battlefield 6 Official Multiplayer Gameplay Trailer】

コンソール版「BF6」のパフォーマンス、最適化について

――最初に、過去作と比較して、今回のコンソール版「BF6」で実現できた最大の技術的進歩を教えてください。

Christian氏:前作「バトルフィールド2042」はPS4やXbox Oneといった前世代のコンソールにも対応していましたが、今作「BF6」はPS5とXbox Series X|Sに特化したので、より高い解像度とフレームレートを両立できました。全体的に高いパフォーマンスを実現できていると思います。

Matthew氏:もう一つ「BF6」のリリースにあたって、MicrosoftとSIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)によるソフトウェア開発キットのサポートが非常に大きかったです。特にコントローラーは、Xboxではインパルストリガーや振動機能、PS5ではアダプティブトリガーやジャイロ操作など、最新機能を100%活用できるようになっています。

――現世代のコンソールは、Xbox Series SからPS5 Proまでかなりの性能差があります。最適化において苦労した面はありますか?

Christian氏:仰る通り、現世代のハードウェアはPS5 ProからXbox Series Sまで大きな性能差があります。ただ、一つ一つのハードウェアに解像度とフレームレートのターゲットを決めていて、“このレベルには達したい”という基準を設けています。例えば、Xbox Series Sは最大解像度1080p、フレームレート60FPS、PS5 Proの画質優先モードは最大解像度2160p、フレームレート60FPSに設定されています。

 確かにXbox Series Sは他と比べて性能が低く、メモリーも少ないので、ミドルスペックのゲーミングPCよりも最適化が難しい部分がたくさんありました。開発初期はかなりの頻度でクラッシュしていましたが、長い時間をかけて問題を特定して最適化し、再びテストを走らせるという繰り返しでした。苦しい時期もありましたが、最適化を死ぬほどやったので、結果としてXbox Series Sだけでなく、他のプラットフォームやPCでも性能が向上するという効果が得られたのです。

 ちなみに、Xbox Series XとPS5、PS5 Proでは、解像度重視の画質優先モードとフレームレート重視のパフォーマンスモードを用意しています。プレーヤーの環境やプレイスタイルに応じて変えられるので、試してみてください。

【「バトルフィールド6」各プラットフォームの最大解像度・最大フレームレート】最大解像度最大フレームレートPS5 Pro(画質優先モード)2160p60FPSPS5 Pro(パフォーマンスモード)1620p80FPS+PS5/Xbox Series X(画質優先モード)1440p60FPSPS5/Xbox Series X(パフォーマンスモード)1280p80FPS+Xbox Series S1080p60FPS

――発売後、パフォーマンスやフレームレートだけでなく、レイトレーシングによって映像品質をより向上させる予定はありますか?

Christian氏:先ほどのように、それぞれのプラットフォームには基準となる解像度とフレームレートが設定されているので、これらを向上させる予定は現時点でありません。また、レイトレーシングについても今後追加する予定はありません。これらはゲームプレイにフォーカスするために、かなり早い段階で決めたことです。

――同じElectronic Artsのタイトル、例えば「Apex Legends」では後からNintendo Switchがサポートされましたが、「BF6」でNintendo Switch 2をサポートする可能性はありますか?

Christian氏:今後の計画についてあまりお話しできませんが、現時点でNintendo Switch 2をサポートする予定はないです。

キーマウ操作のサポート、エイムアシストについて

――「BF6」ではコンソール版でもキーボード&マウス操作が可能になりました。この導入に至った経緯を教えてください。

Matthew氏:「BF6」は企画・コンセプト段階で、プレーヤーがどのプラットフォームであるかに関わらず、入力デバイスとしてキーボードとマウスをサポートすると決めていました。あとはXboxとプレイステーションで互換性を保つこと、そしてパフォーマンスを最大限に発揮できる環境を整えることに注力してきました。

 ベータテストでもプレーヤーに試してもらって、コンソールでのキーボード&マウス操作のパフォーマンスが、高いレベルで保たれていることを確認できました。また、入力遅延も競合タイトルと比較してかなり良いレベルだったので、自信を持って送り出せると考えています。

 一点、付け加えておくと、キーボード&マウス操作の時はコンソールであってもエイムアシストは有効にできません。ゲーム中にコントローラーとキーボード&マウス操作を変更することはできますが、両方有効にすることはできず、必ずどちらか一方のみになります。

――今回コンソールではキーボード&マウス操作、コントローラー操作を選べますが、クロスプレイ時のマッチメイキングはどのように行なわれているのでしょうか?

Matthew氏:クロスプレイがオンになっている場合は、プラットフォームと入力デバイスを認識して、同じ環境を持っているプレーヤーとのマッチメイキングが優先されます。例えば、PS5でキーボード&マウス操作をしている場合は、同じ環境を持ったプレーヤーとのマッチメイキングを優先します。

 ですが、このマッチメイキングを行なってまだ枠が残っている場合は、プールを広げて異なるプラットフォームや入力デバイスを使っている方にも入ってもらう形になります。私たちの“可能な限り公平性・競技性を保つ”と言う方針は変わっていません。「BF6」としては、プレーヤーが納得できる体験と環境を用意したいと考えています。

――テストプログラム「Battlefields Labs」や先日開催されたベータテストでは、エイムアシストについてどのような意見が寄せられましたか?

Matthew氏:まず「Battlefields Labs」自体が私たちにとって貴重なもので、「これをこうしたらどうなるんだろう?」という仮説をたくさんテストできました。そして、クロスプレイにおけるエイムアシストの方向性が、コミュニティにとって大きな話題になるのは私たちも理解しています。「BF6」は“より人間的なエイムアシスト”をテーマに、多くの改良を加えました。

 まず、前作「BF2042」のデータを起点として、従来のエイムアシストの何が良かったのか、何が悪かったのか、どこを改善すべきだったのかを検証しました。その結果、従来のエイムアシストは機械的な動きで、過剰にアシストしすぎという判断に至りました。これは内部テスト、そして「BF Labs」を含む外部テストでも同じ傾向が見られたので、「BF6」はよりソフトなエイムアシストにすることが決まったのです。

 中でも「BF2042」には、敵を捕捉したあとズームインした際のズレを補正する「スナップズーム」がありました。ですが、これは過剰すぎると意見が寄せられ、データを検証した末に「BF6」では廃止しました。

 一方で、従来のエイムアシストは歩兵対歩兵でのみ有効になっていましたが、「BF6」ではコントローラーとキーボード&マウスの違いを考慮し、歩兵対車両、車両対車両でもエイムアシストが機能するようになりました。システムの複雑性は増しますが、これらによってコントローラーでも、キーボード&マウスでも、非常に快適なゲーム体験を実現できていると私たちは考えています。

――エイムアシストを有効にしたまま、キーボード&マウス操作を可能にする非公式のコンバーターが多くのFPSタイトルで問題となっていますが、「BF6」では何らかの対策が行われているのでしょうか?

Matthew氏:ハードやゲームの中にあるわずかな隙間を使った非公式のハードウェアやプログラムがあることは非常に残念なことです。私たちはMicrosoftやSIEのチームと連携して、その隙間をできるだけ埋める努力をしています。先ほども言いましたが、“可能な限り公平性・競技性を保つ”ために、私たちは引き続き対応していく予定です。

――製品版「BF6」に向けて、今後改良予定のポイントを教えてください。

Matthew氏:本当に数えきれないくらいあります。例えば、ベータテストでいただいた意見の中にオプションメニューがわかりにくいというものがありました。「BF6」は様々な操作や設定をカスタマイズできますが、各項目が見つけにくいとフィードバックがあったので、メニュー周りを整理して直感的に見つけられるように変更します。

 コントローラー周りでは、私たちが「デフォルトはこれでいいだろう」という数値がありまして、ベータテストでもその数値を使っていたのですが、プレーヤーから“もう少し抑えめにしたほうがいい”と寄せられて、製品版に向けて反映予定です。実は少し前にコントローラーのデフォルト設定周りの数値を提出したばかりなんです。

 また、先ほどクロスプレイについてお話ししましたが、どれかが圧倒的に有利になるという状況がないように、異なるプラットフォームと入力デバイスであっても同じように戦える環境を整備して、等しいゲーム体験を実現できるようにしています。他にも数々の意見をいただき、ゲーム内で様々な変更を加えました。ぜひ、ゲームをプレイして体験してみてください。

――ありがとうございました。

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