2020年8月の発売以来、多くのゲーマーに愛されてきたロジクールGのゲーミングヘッドセット「G733」。スタイリッシュなデザイン、LIGHTSPEEDによる遅延の少ない無線接続、バーチャルサラウンドサウンドへの対応など、バランスよくまとまったゲーミングヘッドセットとしてベストセラーとなり、今でも多くのゲーマーが愛用している名機だ。

 そんな「G733」の後継製品となるゲーミングヘッドセット「G522」がいよいよ7月24日に発売を迎える。本製品は「G733」の機能を引き継ぎつつ、2025年の最新トレンドを押さえた新機能を搭載したことで、様々な用途や好みにマッチするオールラウンダーなゲーミングヘッドセットへと進化した。本稿では、新しくなったロジクールGのミドルレンジゲーミングヘッドセット「G522」のレビューをお届けする。

【A New Legend Emerges: G522 LIGHTSPEED】

【「G522 LIGHTSPEED」のスペック】

ドライバー:改良された 40mm PRO-G ドライバー(周波数応答:20Hz〜20kHz)マイク:無指向性(周波数応答:70Hz〜20kHz)接続:LIGHTSPEED、Bluetooth、USB有線バッテリー持続時間:最大90時間(ライトなし)、最大40時間(デフォルトライト)サイズ:高さ201.1mm、幅184.4mm、奥行き81mm、重量290gデザイン&ネーミングルール一新! 「G522」の外観をチェック

 まずは「G522 LIGHTSPEED」の外観とスペックをチェックしていこう。外観は「G733」や「G533」、「G335」で統一されていた直線的なデザインから一新し、曲線を用いた柔らかい雰囲気のデザインへと変わっている。「G733」と同じくファブリック製のサスペンションバンドを採用しているが、形状が変更されているため互換性はない。

 重量は290gで、G733(266g)と比較して少し重くなっているが、ストラップ素材を改良しクッション性や耐久性、通気性が向上しているほか、イヤーカップのフィット感も改善したことで装着感は非常に良好。側圧も絶妙な力加減で、音はしっかり耳に届くが、頭が痛くなることはなく、長時間のゲームプレイでも重さは気にならなかった。

 ロジクールGファンの中には「G522」という製品名に違和感を抱く方もいるだろう。実はロジクールGの製品名には規則があり、これまで100の位はグレード(2025年現在で200、300、400、500、600、700、800、900、PROを展開)、10の位が製品ジャンル(マウスが0、キーボードが1、ハンコンが2、ヘッドセットが3、マウスパッドが4)、1の位がモデルナンバーという形になっていた。

 だが「G522」より再編が行なわれ、今後は100の位がシリーズ名、10の位が製品ジャンル(マウスが0、キーボードが1は変わらず、ヘッドセットが2へ再編)、1の位がモデルナンバーとなる。この再編の先陣を切るのが「G5シリーズ」で、ゲーミングマウス「G502 X」、ロープロファイルゲーミングキーボード「G515」、そして今回のゲーミングヘッドセット「G522」で「G5シリーズ」が揃う形だ。

 今回の再編によって、エントリー向けの「G3シリーズ」、ミドルレンジの「G5シリーズ」、ハイエンドの「G9シリーズ」といった形でグレードがより明確になるほか、ゲーマーの三種の神器であるマウスとキーボード、ヘッドセットの製品名がわかりやすくなった。

【G5 Series – Legendary Gear Legendary Play | Keep Playing | Logitech G】

「G733」から各所をブラッシュアップ。「G522」のスペックをチェック

 先述の通り「G522」は2020年8月に発売された「G733」の後継製品だ。そのため「G733」に搭載されていた機能を引き継ぎつつ、随所をブラッシュアップして、2025年の最新ゲーミングヘッドセットにふさわしい様々な新機能を追加している。

 音の要であるドライバーには40mmサイズの「Pro-G ドライバー」を搭載。「G733」に搭載されていた「Pro-G ドライバー」とは別物で、バイオセルロース素材を使用しているほか、ドライバーを独立型チャンバーに内蔵した「アコースティックモジュール構造」を採用することで、クリアな音響体験を実現し、対称性や安定性が向上した。バーチャルサラウンド「DTS Headphone:X 2.0」にも引き続き対応している。

 またロジクールGお馴染みの無線技術「LIGHTSPEED」によるワイヤレス接続に加えて、新たにBluetooth無線接続とUSBケーブルによる有線接続に対応。これによって、スマートフォンと接続したいときはBluetooth、極限まで遅延を減らしたい人は有線接続という形で、用途や好みに応じて最適な接続方法を選べるようになった。だが、3.5mmジャックによる有線接続には対応していないため、注意が必要だ。

新しい40mmサイズのPro-Gドライバーを搭載LIGHTSPEEDワイヤレスのレシーバーは小型化。一方で通信範囲は20mから30mへと広がっている【「G522」と「G733」の比較】G522G733ドライバー改良された 40mm PRO-G ドライバー(24bit/48kHz、周波数応答:20Hz〜20kHz)40mm PRO-G ドライバー(16bit/48kHz、周波数応答:20Hz〜20kHz)マイク無指向性(16bit/48kHz、周波数応答:70Hz〜20kHz)単一指向性(16bit/16kHz、周波数応答:100Hz〜10kHz)接続LIGHTSPEED、Bluetooth、USB有線LIGHTSPEEDバッテリー持続時間最大90時間(ライトなし)、最大40時間(デフォルトライト)最大89時間(ライトなし)、最大36時間(デフォルトライト)サイズ高さ201.1mm、幅184.4mm、奥行き81mm、重量290g高さ194mm、幅190mm、奥行き83mm、重量266g

 G733のマイクは単一指向性(周波数特性:100Hz〜10kHz)だったが、G522のマイクは無指向性となり、周波数特性も70Hz〜20kHzへと向上。最大16bit/48kHzに対応し、ブロードキャスト品質のマイク音質を謳っている。また、入力ゲインやイコライザーを調整できる「BLUE VO!CE」にも引き続き対応している。

 今回、マイクの詳細な検証はできなかったのだが、Discordにてフレンドとボイスチャットをしてみたところ、“ヘッドセット搭載マイクの中ではかなりいい音質”と高評価だった。筆者は通常時にUSBマイクを使用しているのだが、比較してみると“少し劣るがいい勝負”とのことで、ゲームでのボイスチャットには十二分の性能を備えている。

マイクは着脱式。性能が向上しており、フレンドからの評価も高かったミュート時は先端に内蔵されたLEDが光る。非常にわかりやすい

 「LIGHTSYNC」に対応したRGBライティングも備えており、8つのライトゾーンによって自分好みの光らせ方が可能だ。ワイヤレス接続時のバッテリー持続時間は、RGBライトありで最大40時間、RGBライトなしで最大90時間となっており、ゲーミングヘッドセットの中ではかなり長時間の駆動が可能だ。

RGBライティングも搭載8つのライトゾーンを備え、自分好みのライティングが可能だサラウンドサウンドでFPSと相性抜群! 実際にゲームをプレイ

 ここからは実際にゲーム用途で「G522」を使ってみた感想をお届けしていく。今回はPCでの使用がメインで、基本的にはLIGHTSPEEDによる無線接続を中心に使用した。結果として遅延を感じるような場面は一切なく、頻繁に充電しなくてもバッテリー切れを起こすようなことはなかった。

 まず大型アップデートが配信されたばかりのアクションRPG「ゼンレスゾーンゼロ(HoYoverse)」だ。本作はVer.2.0よりNPCの喧騒や環境音が追加されており、サラウンドサウンドに対応している「G522」で聴いてみると、様々な方向からNPCが話している声や環境音が聞こえてきて、まるで本当に街の中にいるようで非常に面白かった。

 また、戦闘時もエーテリアスの咆哮やパリィしたときの「カキーン」という音を鮮明に聞き取ることができ、迫力のあるバトルが楽しめる。

大型アップデートが配信されたばかりの「ゼンゼロ」。様々な方向からNPCの声や環境音が聞こえてきて、まるで街の中にいるような感覚だった戦闘時もそれぞれの音が混ざることなく、鮮明に聞き取ることができ、迫力のあるバトルが楽しめた

 続いてはバトルロイヤルゲーム「Apex Legends(Electronic Arts)」だ。「G522」のデフォルトの音は中音域寄りで、敵の足音が非常に聞き取りやすい。そこにサラウンド効果も相まって「上階に敵がいるな」、「少し先で敵同士が戦っているな」と状況を認識しやすく、FPSとの相性はかなりいいと筆者は感じている。

 一方でデフォルトでは少し迫力に欠ける印象なので、気になる方は「G HUB」でイコライザーを調整することも可能だ。

「Apex」では敵の足音が聞き取りやすく、空間を認識しやすい「G522」はFPSとの相性がかなりいいゲーミングヘッドセットだ一方でデフォルトでは少し迫力に欠ける印象。G HUBのイコライザーで好みの音に調整しようSwitch2でも動作確認! スマホ版「G HUB」でEQ設定も楽々

 今回はNintendo Switch 2、プレイステーション 5、Xbox Series Xでも動作検証を行なった。まずSwitch2は、テレビモード時、携帯モード時ともに「G522」を問題なく認識。新機能「ゲームチャット」で重要となるマイクも使用できた。空間サウンドもしっかり感じ取ることができるため、Switch2での使用もオススメだ。

 次にPS5(今回はPS5 Proを使用)だが、こちらも問題なく「G522」を認識し、マイクも使用できた。一方でXbox Series XはUSBオーディオに対応していないため「G522」を認識せず、音声の出力および入力は不可という結果となった。

 最後に、コンソールをメインで使用している人にオススメなのが、スマートフォンアプリ「G HUB」だ。実は「ASTRO」ブランドのゲーミングヘッドセット「A50 X」や「A30」が先行していた機能なのだが、今回ロジクールGのゲーミングデバイスとしては初めて「G522」がスマホ版「G HUB」に対応した。

 利用方法は簡単で、手持ちのスマートフォンと「G522」をBluetoothでペアリングして、スマホ版「G HUB」を起動するだけ。PC版「G HUB」から少し機能が削られているが、イコライザーやRGBライティングの変更、ファームウェア更新が可能だ。もちろん、Bluetooth接続によってスマートフォンゲームの音声も「G522」で楽しめる。

 これまでコンソールゲーマーは、イコライザー調整やファームウェア更新をする際、一旦PCに接続して設定を終えた後、またコンソールに繋ぎ直す必要があった。だが「G522」はBluetoothボタンを押して、スマートフォンから各種設定が可能となっているため、コンソールゲーマーも快適に使用できるようになっている。

「G522」はスマホ版「G HUB」に対応イコライザーの調整や……RGBライティングを変更できる。コンソールメインのゲーマーも気軽に「G522」の各種調整が可能になった買い替えやステップアップにもベスト!オールラウンダーな「G522」

 ここまでロジクールGのゲーミングヘッドセット「G522」のレビューをお届けしてきた。本製品は「G733」から多くの要素を引き継ぎつつ、ドライバーやマイク、装着感のブラッシュアップ、Bluetooth接続やモバイルアプリへの対応といった新機能を備え、幅広いゲーマーのニーズに応えるロジクールGのミドルレンジにふさわしいゲーミングヘッドセットに仕上がっている。

 既に「G733」は発売から5年を迎え、バッテリーがへたってきたり、イヤーパッドが劣化しているというユーザーもいるだろう。そんな方には「G522」がベストな乗り換え先になっているほか、「G335」や「G535」といったモデルからのステップアップにもちょうどいい。今、ゲーミングヘッドセットの購入を検討しているゲーマーは、オールラウンダーな「G522」をぜひ検討してみてほしい。

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