PCゲームプラットフォームのSteamを運営するValveが、ニューヨーク州司法長官に提訴されました。Valveはこの訴訟について、公式サポートページ上で正式に回答を投稿しています。

Steam Support :: About the New York Attorney General lawsuit against Valve
https://help.steampowered.com/en/faqs/view/6300-A6C4-519D-A3F5

Valve Has Publicly Responded To The New York Attorney General’s Mystery Box Lawsuit – Game Informer
https://gameinformer.com/2026/03/11/valve-has-publicly-responded-to-the-new-york-attorney-generals-mystery-box-lawsuit

現地時間の2026年2月25日、アメリカのニューヨーク州司法長官であるレティーシャ・ジェームズ氏が、「子どもや若者に人気のゲームを通じて違法賭博を助長した」としてPCゲームプラットフォームのSteamを運営するValveを提訴しました。「ガチャは違法」とするジェームズ司法長官の主張は、以下の記事にまとめてあります。

ガチャは「典型的なギャンブル」としてニューヨーク司法長官がSteamの運営元・Valveを提訴 – GIGAZINE


これに対して、現地時間の2026年3月11日にSteamが公式サポートページ上で、今回の訴訟に対する回答を投稿しました。

Valveは今回の訴訟で名前を挙げられたValve製ゲームである「Counter-Strike 2」「Dota 2」「Team Fortress 2」をプレイするニューヨーク州在住のユーザーに向けて、「ニューヨーク州司法長官が最近、Valveに対して一部のゲームに登場するミステリーボックス(いわゆるガチャ)が、ニューヨーク州の賭博法に違反しているとして訴訟を起こしたことをご存じかもしれません。我々はニューヨーク州の法律に違反しているとは考えていません。2023年初頭に初めて連絡をいただいて以来、当初の仮想アイテムとミステリーボックスについてニューヨーク州司法長官に周知を図ってきたにもかかわらず、このような主張をされたことに失望しています。訴訟について話すことはめったにありませんが、状況を説明する必要があると感じました」と投稿。

続けて、「ニューヨーク州司法長官には当社のゲームに登場するこの種のボックスは、ゲームだけでなく実世界でも広く利用されていることを伝えました。実世界では、世代を超えて野球カードパックやブラインドボックス、バッグを開封し、受け取ったアイテムを売買しながら育ってきました。物理的な側面では、このように使用されている人気商品には野球カード、ポケモン、マジック:ザ・ギャザリング、ラブブなどがあります。ゲーム業界では当社のミステリーボックスに似たデジタルパックが2004年から広く利用されています。Valveのゲームをプレイするためにミステリーボックスを開ける必要はありません。実際、ほとんどのプレイヤーはボックスを開けることなくゲームをプレイするだけです。ボックス内のアイテムは装飾品に過ぎないため、お金を使わないことでプレイヤーにデメリットはありません」と説明し、ゲーム内のミステリーボックスは現実世界のカードゲームやラブブのような人気商品と同じように売買されているだけだと主張しています。


加えて、Valveはニューヨーク州司法長官事務所の捜査に協力する過程で、長らくSteamの利用規約に違反してギャンブルサイトでValveのゲームアイテムを販売しているアカウントを閉鎖してきた取り組みについて報告したことも明かしました。

また、ユーザーのアイテムに対する詐欺や盗難対策への取り組み、ギャンブルサイトがSteamアカウントやValveのゲームアイテムを悪用するのを阻止するための特別な対策についても報告しました。Valveはギャンブルサイトには協力しておらず、これまでにギャンブル・詐欺・盗難に関連して第三者によって悪用された100万以上のSteamアカウントをブロックしています。

さらに、ギャンブルサイトの運営を阻止し、Steamユーザーを詐欺から保護するための機能(トレード取り消しやトレードクールダウンなど)もリリースしました。他にも、ギャンブル関連の企業がValveのゲームのトーナメントに参加したりスポンサーになったりすることも禁止しているそうです。


ニューヨーク州司法長官事務所は「ミステリーボックスとその中身は譲渡可能であってはならない」と主張しています。これは、ニューヨーク州司法長官事務所がゲーム内のデジタルミステリーボックスやアイテムは、野球カードパック(ランダムカード入り)のような実体のあるアイテムとは異なると考えており、ユーザーがSteamトレーディングやSteamコミュニティマーケットでのユーザー間売買を通じて受け取ったアイテムを譲渡できるという事実に異議を唱えているためです。

しかし、Valveはデジタルゲームアイテムの譲渡可能性は消費者にとって有益だと考えています。ポケモンカードや野球カードのような実体のあるアイテムを売買できるのと同じように、ユーザーは古くなったアイテムや不要になったアイテムを別のものと売買できるからです。ニューヨーク州司法長官事務所はValveゲームからデジタルアイテムを譲渡するユーザーの可能性を奪おうとしており、Valveはこの譲渡可能性は奪われるべきではないと考えています。そのため、Valveはニューヨーク州司法長官による主張を拒否すると説明しました。

この他、ニューヨーク州司法長官事務所はニューヨーク州在住のユーザーがVPNなどを使って位置情報を匿名化し、ニューヨーク州外にいるように見せかける可能性に備え、ゲームユーザーの追加情報を収集することを提案しました。これについてValveは「これは世界中のすべてのユーザーに対して侵入的な技術を導入することを意味します」と述べ、批判的な見方を示しました。

また、ニューヨーク州司法長官事務所はValveに対して年齢確認を強化するためにユーザーの個人データをさらに収集するよう要求しています。「ニューヨーク州のSteamユーザーが使用するほとんどの支払い方法に既に年齢確認機能が組み込まれているにもかかわらずです。Valveはユーザーが個人情報のセキュリティを重視していることを認識しており、事業運営と法令遵守に必要な情報のみを収集することが、Valveとユーザーの利益になると考えています」と主張しました。


Valveは「州内の行動を規制するニューヨーク州の権利を尊重します」として、ニューヨーク州議会がミステリーボックスに関する法律を可決した場合、もちろんそれに従うとしました。しかし、Valveは「ニューヨーク州議会はこの問題について何度か検討したにもかかわらず、まだ可決していません。このような法律は、おそらく業界とニューヨーク州のゲーマーからの意見を取り入れた公的なプロセスを経て制定されるでしょう。ニューヨーク州司法長官がValveに要求した義務の種類は、ニューヨーク州の現行法の要件をはるかに超えており、ニューヨーク州の管轄範囲さえも超えていました。Valveにとってニューヨーク州司法長官との契約は容易で費用も抑えられたかもしれませんが、ニューヨーク州司法長官を満足させるような契約はユーザーや他のゲーム開発者にとって不利であり、ゲームデザインにおけるイノベーションの能力に悪影響を及ぼすと私たちは考えました」と語っています。

なお、最終的には裁判所がValveとニューヨーク州司法長官の立場のどちらが正しいかを判断することになるそうですが、「ニューヨーク州およびその他の地域のユーザーへの潜在的な影響について、皆様にご理解いただきたいと考え、今回の回答を公開した」とValveは説明しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

Write A Comment