SNSで話題を集めている、千葉県の市川市動植物園で暮らすニホンザル・パンチくんがゲーム化されました。その名は『Zoo Fighter』。
飼育員から与えられたオランウータンのぬいぐるみを抱きかかえる愛らしい姿が、瞬く間に世界中のインターネットで拡散され、大きな話題を呼んでいるパンチくん。
しかし、その愛くるしい姿の背景には、母親ザルからの育児放棄(ネグレクト)という切実な問題がありました。
この事態を受け、動物福祉の観点からパンチくんの現状と動物保護区の存在を広く伝えようと制作されたゲームが『Zoo Fighter』です。
ぬいぐるみを母親代わりにするパンチくん
パンチくんは、猛暑のさなかに初産を経験して衰弱してしまった母ザルから育児を放棄され、生後翌日から飼育員による人工哺育で育てられました。
トレードマークは、IKEA製のオランウータンのぬいぐるみ。これは、飼育員が与えたいくつかのぬいぐるみの中から自ら選んだものです。パンチくんは母親代わりに抱きしめ、片時も離そうとしません。
1月19日からは、猿山での群れ入りに挑戦。しかし、群れの仲間に近づこうとしてもうまくいかないどころか、同日には群れの大人のサルに引きずられてしまうショッキングな出来事も起こりました。
その様子が海外のSNSなどでも拡散されて大きな注目を集め、2月20日には、市川市動植物園からこれまでの経緯を説明する声明文が公開される事態にまで発展しました(外部リンク)。
現在は、徐々に群れへと馴染んでいっており、他のニホンザルから毛づくろいをされる場面なども確認されています。
コメディで社会に切り込むアメリカのオタクキングが開発
『Zoo Fighter』の開発を手がけたのは、“オタクキング”の愛称で親しまれる、アメリカのゲーム開発者 リッチー・ブランソン(Richie Branson)さん。
彼は人気ゲーム『フォートナイト』の開発に携わった経歴を持つほか、ナードコア・ヒップホップユニット「Otaku Gang」の創設者としても知られています。
リッチー・ブランソンさん/画像はbandcampから
過去には、コメディアン/俳優のビル・コスビー氏の性的暴行スキャンダルを痛烈に風刺したゲーム『Pill Bill』を開発。
同作は「コメディは、悪事を隠そうとする者たちに対して効果を発揮する」という理念のもと制作されており、疑惑を矮小化しようとする人々へ明確な批判を叩きつけました。

タナカハルカ
武蔵野美術大学中退後、フリーのゲームライターとして執筆業を開始し、自身でもインディーゲームを開発。アイドルグループの運営スタッフやオーガナイザーとしても活動。2025年8月からKAI-YOUで編集/ライターとして従事。得意ジャンルは地下アイドル、インディーゲーム、モダンカートゥーンなど。著書に『海外ゲーム音楽ガイドブック ビデオゲームからたどる古今東西の音楽』(DU BOOKS)、『楽曲派アイドル・ガイドブック ももクロ以降のアイドルソング再考』(双葉社)がある。

