Perfect World Gamesがパブリッシングを担当し、Hotta Studioが開発する超自然都市オープンワールドRPG『NTE: Neverness to Everness』(以下、NTE)の第2回クローズドベータテスト「共存テスト」が2月21日0時59分まで実施される。本作は基本プレイ無料で、PC/PS5/モバイル向けに配信予定だ。弊誌は今回、本作の「共存テスト」を先行プレイする機会に恵まれた。

試遊を通じて強く印象に残ったのは、作り込まれた都市の風景が「異象(アノマリー)」によって自由自在に変化する体験だ。街を歩いていたはずが、突然自動販売機が合体して扉を作り、気づけば一人称視点のホラーになり、ときにはリズムゲームにすら変貌する。ジャンルすら変化するような展開がリアルタイムで起こり、その着地点は予測不可能。本作は、高品質なオープンワールドの中で驚くほど大胆に“世界のルール”を書き換えてくる作品だ。

本稿では『NTE』の試遊感想を通じて、「異象」がもたらすバラエティ豊かな変化を掘り下げていく。なお本作はベータテスト段階のため、内容や仕様は正式リリース時に変更される可能性がある点には留意されたい。

街から異空間へとシームレスに移行する異象の演出

『NTE』の舞台となるのは、一見すると現代的で秩序のある大都市「ヘテロシティ」。しかしその裏側では、突如として現実を侵食する超常現象「異象(アノマリー)」が頻発している。プレイヤーは骨董品屋エイボンの“異象ハンター”として街を巡り、バトルだけでなく、調査や謎解きを通じて異象を収容・解決していくことになる。

今回「共存テスト」で体験できたのは、主に序盤のメインクエストやいくつかの異象、ヘテロシティの探索だ。なお第2回となる今回のテストでは多数のコンテンツが追加されており、新規車種やバイクのモーションの追加、痛車的なデザインを含む車の内装・外装のカスタマイズ、キャラクター同乗機能など、車両まわりのブラッシュアップが図られている。また、釣りや配達、麻雀といったシティライフ系のアクティビティ、一部キャラクターの自宅への招待を含む好感度システムの拡張、犯罪システムとそれに紐づく刑務所・脱獄要素なども新たに実装された。

まず目を奪われるのは、ヘテロシティの密度の高さだ。入れる建物や店舗が多く、多くの場所で買い物やアクティビティが体験できる。小物や落書きといった細部の装飾も行き届いており、街を歩くだけで視線が自然とあちこちへ引っ張られる。ビルの壁を駆け上がって屋上に出ることもでき、視線の高さが変わるだけで街の印象ががらりと変わる。異象を抜きにして、歩いているだけで時間を忘れてしまいそうになる。

印象的なのは、この作り込まれた街が異象によってリアルタイムに変化していく点だ。たとえば海沿いを走っていると、視界の外側を魚の群れが泳ぎ、まるで水族館の回廊に迷い込んだかのような海底トンネルに出くわした。すると突然異象が近いことを表す「ヴェルテハイモー値」が急上昇し、トンネルの先にワープホールが展開。そのまま北極のような氷の世界へとワープしてしまった。氷壁や赤い波、崩れ落ちるビルが混ざり合う異常なコースを走り抜け、最終的に広大な異空間でそのまま巨大なクジラとの戦闘へと突入。津波や竜巻などのダイナミックな攻撃を潜り抜け、なんとか勝利することができた。ほんの数分前はドライブを楽しんでいたはずなのに、いつの間にか空を飛ぶクジラと戦っている。それらの演出がすべてロードを挟まずリアルタイムで展開されていくさまは、本作の街の作り込みとあわせて、強烈な没入感を生んでいた。

異象ごとに演出の方向性も異なる。ボクシンググローブ型の異象が現れ、即席で組み上がったリングで一騎打ちを挑まれることもあれば、無限に増え続ける「ダンボール」を登っていく展開が始まることもある。これらの体験の多くに共通しているのは、空間の変化がシームレスにおこなわれることだ。ヘテロシティは異象を見せるための舞台装置ではなく、前提として完成度の高いロケーションである。だからこそ、その街がリアルタイムで歪められ、異象に侵食されていく瞬間が強烈に印象に残る。ロードを挟んだ別エリアで展開される特殊な演出も多く存在するが、それだけではなく、開かれた街を探索する中で突然目の前の景色が塗り替えられていく。この構造こそが『NTE』の最大の特徴だ。

一方で、複雑な処理をリアルタイムで実行している影響か、試遊中には敵がリスポーンせず進まないといったバグにいくつか遭遇した。それにより体験しきれなかった要素も存在したため、今後の修正に期待したいところだ。

ジャンルすら変わっていく、予測できない異象の変化

異象の中には、本作のアクションRPGという前提ごと壊してしまうものも存在する。たとえばエレベーターの調査から始まる異象では、突然ホラーゲームの世界へと放り込まれる。強制的に一人称視点へと切り替わり、ドアが激しく揺れる、視界が真っ赤に染まる、エレベーターの内部に異象が侵入してくるといった恐怖演出が展開されていく。最終的には戦闘もなく、上階の蛇口を閉めることで収容に成功。つい先ほどまで明るい街をのんびり歩いていた感覚との落差が強烈だ。異象は常にプレイヤーの先入観を揺さぶってくる存在となっている。

異象とは結果的に戦闘になることが多いが、戦闘すらも状況によって変化を見せる。たとえば街の広場に鎮座する異象「音ゲー魔王」との戦闘では、バトル中に突如として譜面が表示され、指示に従ってジャンプや攻撃を成功させることでコンボがつながる。興味深いのは、そのリズムに合わせた操作が結果的にその後の回避や立ち回りにも活かせる点だ。音ゲーの演出が単なるネタにとどまらず、アクションと結びつけられている。

これらの演出から見えてくるのは、本作の「面白さ」最優先の設計思想だ。異象はときにまったく異なるジャンルの体験を提供し、「面白ければ何でも詰め込む」という豪快さを感じさせる。一般的な基本プレイ無料タイトルでは、継続的なプレイを促すためにリプレイ性が重視されがちだが、『NTE』は一過性の体験や演出にも積極的にリソースを割いている。通常なら一本道のシングルプレイRPGでしか見られないような演出を、贅沢にオープンワールドの中に取り入れる姿勢が挑戦的だ。異象を収容することで得られる報酬とは別に、「次は何が起こるんだろう」という期待感が探索のモチベーションにつながっている。

現代的な都市×SCP的なリアルタイム演出がもたらす、異常な日常

『NTE: Neverness to Everness』の試遊で印象に残ったのは、完成度の高い都市での生活と、異象によってその景色がリアルタイムで歪められていく瞬間だ。街を歩き、車を走らせ、日常的な行動を積み重ねている最中に、空間のルールや雰囲気が唐突に書き換えられる。そのギャップが、プレイヤーをヘテロシティの中に引き込んでいく。

ヘテロシティは、SFやSCP的であるが、超常現象の舞台装置に終始していない。探索するだけで手応えのある都市として成立しているからこそ、ホラーへと転じ、異世界へと接続され、巨大な異象との戦闘へと雪崩れ込んだ際の違和感と驚きが鮮明になる。切り離されたイベントではなく、あくまで都市生活の延長線上で起こるバラエティ豊かな体験のひとつとして提示される点が、本作の新鮮な印象を決定づけている。

摩訶不思議な世界で異象を収容した後に、何事もなかったかのように街へ戻る。その繰り返しが不思議と心地よく、また探索したくなる。この街だからこそ成立するこの日常と非日常の落差、連続性こそが、『NTE: Neverness to Everness』という作品の核だ。本作の持つポテンシャルが磨かれたときどこへ到達するのか。この先の進化を追いかけたくなるだけの力を感じられた。

『NTE: Neverness to Everness』はPC/PS5/モバイル向けに基本プレイ無料で配信予定だ。第2回クローズドベータテスト「共存テスト」は、2月21日0時59分まで実施される。

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