2月11日の発売を間近に控えた、数年ぶりとなるグラスホッパー・マニファクチュア完全新作タイトル『ROMEO IS A DEAD MAN』。時空警察の特殊捜査官となった主人公ロミオが、失踪した恋人ジュリエットの姿を取る時空の破壊者を追う物語を描く三人称視点のアクションアドベンチャーです。
本稿では、グラスホッパー・マニュファクチュアよりダウンロードキーの提供を受け、先行プレイの機会を頂いた本作についてのGame*Sparkレビューをお届けします。要求スペックの高さへの驚きと一見チープにも感じた第一印象とは裏腹に、クリアまで30時間近くもかけて思いのほかやり込んでしまった本作の魅力と問題点を可能な限りお伝えしていく所存です。なお、プレイ環境はPC(Steam)版となります。
時空を超えた壮大な物語…はちょっとわかりにくいが癖の強いキャラクター達に引き込まれる
一度死にかけた主人公ロミオ・スターゲイザーが異質な見た目とともに復活し、時空そのものが破壊されるという壮大な事件に端を発する時空犯罪者達の凶行を止めるべく、FBI時空警察の特別捜査官に就任する所から始まる本作。最近で言えば「チェンソーマン」、あるいはそういったジャンルの源流とも言える「仮面ライダー」のような改造ヒーローものの王道を行く展開で、仮面の意匠からも影響を受けているのは間違いなさそうに思えます。また「ワンダバダバ」と耳馴染みあるBGMが流れたり「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を思わせる主人公と祖父の関係性など、特撮やSF映画等の多数コンテンツへのオマージュが全編を通して散りばめられていました。
頼りにはなるじっちゃん
これらがグラスホッパーらしいクサい台詞回し、良く言えば分かりやすくキャッチーなストーリーテリングで味付けされ、テンポよく展開する点は遊んでいて好印象だったと言えます。序盤のみムービーが多めに感じた時はあったものの、操作中にも無線形式でストーリーにかかわる掛け合いが為されるなどの工夫もあり、大半のチャプターで操作時間の方が長く思えました。オムニバス形式でもあるため、話の展開についていくこと自体への苦労は少ないでしょう。
哲学的なセリフで攻めてくる
一方で、細かい部分やストーリーの背景部分は語られない点も多く、クリアした今でも「結局あれはどうなったんだ?」と思うことは少なくありません。それでも物語に引き込まれるようにゲームを進めていけたのは仲間たちFBIクルーをはじめとする癖の強いキャラクター達の不思議な魅力によるものが大きく思えます。初めの紹介時は怒涛の奇抜さの連続に面を食らいますが、終わってみれば驚くほどに彼らに愛着が湧いていました。
剣と銃を駆使して戦う、オーソドックスながら爽快感ある戦闘システム
続いてゲームシステムについてですが、注意しておきたいのが最序盤で求められる難易度設定。全4種、初回プレイでは最難関を除く3種から選ぶことになりますが、昨今のゲームでは比較的珍しく、1度決めるとクリアまで変更はできません。今回の筆者のプレイでは比較のため最初のボスまでハード相当の「オレンジチョコレート」で攻略し、その後改めて最低難度相当の「ホワイトチョコレート」でクリアまでプレイしています。
結局外から釣るのが一番安全
戦闘システムの根幹を成すのは近接武器と遠距離武器の使い分けとなりますが、難度の違いを最も感じたのはこの点でのプレイフィールでした。通常フィールドでは、ハードモードならモブ敵でも囲まれればかなり苦戦を強いられるため銃を多用するシューター感の強い形になり、逆にイージーモードではモブ相手にはある程度ごり押しが利くため、剣戟アクションとして爽快感のあるプレイが楽しめました。
ちまちまやってられっかよ
また、ボス戦ともなるとハードではなかなかの歯ごたえで、敵の攻撃を見切った上で適切な攻撃を差し込む駆け引きが必要になる一方、イージーでなら無理やりにでも攻撃を叩き込んで、回復効果もある必殺技「ブラッディサマー」につなげて強気に押し込みそのまま勝ちに行けます。
苦戦中
武器種は遠近それぞれ4種類ずつが用意されており、近接武器はフィニッシュ攻撃の使い勝手が特徴的です。ラッシュ系であれば連打、溜め要素がある武器であれば長押しなど入力方法の違いや、連続か単発か、どれ程の敵を巻き込めるかといった点でを使い勝手を左右する要素となっています。コンボの種類数自体は多くないので慣れるのは簡単でありながら、それ故に懸念される単調さは後述のバスターズや遠距離攻撃との併用が前提であるためそこまで気になりませんでした。
遠距離武器の選択肢は基本的には連射性や攻撃範囲と威力をトレードオフする一般的なパターンの物で構成されていますが、その分ボス相手には弱点の破壊でダウンが取れるといった要素で活躍する場面に幅を持たせています。初期装備以外の遠近3種類ずつの装備はゲーム内通貨を支払って開放する必要がありますが、そのコストはそれほど多く無いのも親切な点です。その代わり強化もそれぞれで個別、かつこちらはそれなりにコストがかかるため、、序盤で一通り触って自分の好きな武器を品定めしておくのがスムーズな攻略においては重要だと感じました。
召喚ゾンビは攻撃にサポートに八面六臂の大活躍
そのほかの攻撃手段として、ゾンビを使役してダメージを与えるのはもちろんサポートも含めた様々な効果を得られる「バスターズ」が利用可能です。受けたダメージの一部を返すバリアを張ったり、回復や敵の行動阻害、アイテムの奪取に至るまで状況に応じて使い分けることで戦術の幅を大きく広げられる要素となっています。長めのクールタイムが存在するためダメージソースとしての役割は先の通常攻撃達に譲るものの戦闘システムとしてはむしろ主要要素と言ってもいい程。筆者の攻略では集団戦からボス戦、アイテム稼ぎに至るまで八面六臂の活躍を見せてくれました。
最終的に4体まで同時に召喚可能となる。
戦闘とは別にメインのステージ攻略で大きな要素となるのが「異空間」の探索です。プラットフォーマ―パズルに近いシステムとなっており、入ったところとは別の出口を探しつつ、元の世界との間を行き来することで全体の攻略可能エリアを増やしていきます。終盤ではなかなか複雑な構造になるうえ、異空間自体にはマップが無いことがアクセントとなっており、出入り口が元の世界と対応していることをヒントとした構造的な謎解きとしてゆっくり頭を悩ませることができるパートでした。
異空間
以上のように、分かりやすいシステムと大味ではあるものの攻略しがいのあるボス戦で豪快にアクションできる戦闘と、頭を使って限られたフィールドを駆け回る異世界の謎解きの二刀流で構成されるメインコンテンツ。時々チープに見える部分はあるものの、由緒正しいステージ攻略型ゲームをやっているような気分でどこか懐かしくも感じる楽しさがありました。
「全力でふざける」気概感じる豊富なサイドコンテンツ
これはね、バスターズの苗
続いて本作を語るうえで欠かせないと言えるサイドコンテンツの話題へ移りましょう。既に戦闘システムとして解説したバスターズは、ランダムにドロップしたり購入できる「シード(種)」から育てて収穫する育成ミニゲームで入手できます。また、持っているバスターズ2体を“共食い”させてレベルをあげたり、新しい能力を持つバスターズを生み出すいわゆる配合要素も搭載されていました。

このバスターズの育成がとにかく沼。育てれば育てるだけしっかり強くなって応えてくれるので、毎度持てる資源を全投入していかに効率的にバスターズを生み出せるかの研究にかなりの時間を費やしました。ちなみにゲームバランスの観点から見るとあまりのめり込み過ぎるのも考え物で、完全に自業自得ではありますが最低難度とは言え終盤の攻略において圧倒できてしまうほどの力を手にしていました。
なるほど人懐っこさを感じる
何故か畑で育ち、手を引っこ抜くことで主人公に付き従うバスターズたちですが、生まれた際には「雷に3度打たれた バーバラ」といった具合にランダムで脱力してしまいそうな名前まで付きます。またやむを得ずバスターズを手放してしまった時には、わざわざ少し時間を空けてから少し湿度のある別れの手紙が届く始末。嫌味たっぷりの退職メールや哀愁漂う詩的な別れ話を見た時にはここまでやるかと思わず苦笑いしてしまいました。重要要素ではあるものの一戦闘システムへプレイヤーの関心を集めるため、これほど心血を注いでいるのは素直に感心すべき点でしょう。
もう一つ今回のプレイで特に印象に残ったのは、終わりの見えない3択を突きつけられ続ける鬼の恋愛シミュレーションコンテンツ「ワーストピンクさんの問診」でしょう。時空警察の医療担当として医務室に鎮座するワーストピンクさんですが、彼女の役割は実質この問診だけと言って差し支えありません。つまりこのミニゲームのためだけに一人のキャラクターが用意されたわけです。
このセリフを何度聞いたことか
コンコルド効果という言葉があります。既にかけた回収できないコストが、その後の意思決定に大きく影響を与えることを表したものです。話を恋愛シミュレーションに戻しましょう。はじめに「鬼の」と表現したのは、何を隠そうこのゲームが1度間違いの選択肢を選べばまた最初の選択からやり直させられるからです。ミニゲームと言えど凝った演出と恋愛シミュレーションらしいポップでキュートな絵柄で興味を引き付け、数十問程度攻略したが最後。100回近く選択肢を選び続けている状況に、何か終わりと言えるものを見るまで退くことのできない意地が頭を支配することになります。
誰のせいだと
その後の攻略でも時折ワーストピンクさんと話してみると、何度もあきらめ切れずに足を運ぶことを想定したかのような答えが返ってくる所を見るに、してやられたようなこの何とも言えない徒労感もグラスホッパーの掌の上といったところなのかもしれません。
パックマンのようなアーケードゲーム形式でロミオの基礎ステータスを強化する「デッドギアキャノンボール」
ネタバレ防止のためぼかしてあるが、攻略のために作成した全体地図
このように、作中ではメイン探索の強化等に繋がる物から全く関係のないもの、ストーリー中にイベントとして発生する物を含め変わったミニゲームが多数組み込まれています。一見粗雑に見える部分もありましたが、その多くでそういった印象を上回る想像以上の作り込みがありました。いうなれば「全力でふざける」といった気概を感じられ、こちらもいつの間にかそれに全力でのめり込むことができる作品と言えるでしょう。
プレイの障壁と期待との落差に繋がる要求スペックの高さに疑問点あり
シヌワケネェダロォ
ここからは本作の問題点について述べていきます。とはいっても大まかには1つだけ、価格と要求スペックの割にグラフィックやパフォーマンスの最適化と言った面で見劣りを感じるという点です。

まず一目でわかるのはグラフィックについてでしょう。今回プレイに使用した環境はGTX 1080搭載PCで、本作のシステム要件としては丁度最低レベルですが、これまで本環境でプレイできた他作品と比べ明らかにクオリティに差がみられるのは否めません。また公開されているトレイラーでも、派手なエフェクトやインパクトのあるキャラクターの外見でうまく盛り上げてはいるものの、よく見ると草木や光沢に不自然さが見える部分があります。
脳くちゅ
グラフィックにあまりこだわる方ではないのですが静止画として要求スペックに見合うほどの満足感は感じられず、最低スペックでのプレイと覚悟してダウンロードした作品が設定「ウルトラ」でもある程度動くことにも不自然さを感じました。また、床面が水に満たされているためか特に処理が重くなる亜空間の攻略や、画面サイズの切り替えでよく発生したクラッシュ等、悪い意味での安っぽさが際立つ場面は少なくなかったと言えます。
決して悪いわけではないが粗が目立つグラフィック
価格で見ても期待されるクオリティからは一段落ちるといった印象で、ここでも高いシステム要件がハードルを一段上げている印象です。先に述べたような強い情熱を感じられるコンテンツの作り込みはもちろん、ドット絵で統一した拠点のグラフィックなど挑戦的な手法で軽量化に取り組んでいる点は評価でき、クリアまで攻略してみれば大変満足感のある作品ではあるだけに、この一目見てのとっつきにくさはもったいなく思います。グラフィックの向上というよりは最適化の観点で今後より改善していくことに期待したいです。
ちなみにトイレの多い作品でした。
総じて、ゲーマーの心を掴むだけの奇抜なポテンシャルに溢れた作品としてお勧めしたくはあるものの、実際に友人に勧めるなら…と言い淀んでしまうような致命的な障壁も見えたというのが本作に対する最終評価となりました。同時に、今回のレビューは最低要件のPCでも結構満足に遊べる、という例の一つとも言えるので、変わったゲームに飛び込んでみたいという方や、ちょっと懐かしいようなステージ攻略型のゲームが好みだという人は是非プレイしてみてください。
Game*Spark レビュー『ROMEO IS A DEAD MAN』PC(Steam)2026年2月11日面白いチープさと悪い安っぽさの混在が惜しい期待作GOOD単純ながらも幅の広い遊びが楽しめるステージ攻略アクション全力でふざけるという気概が感じられる、奇抜な要素とその作り込みの数々ハマればどこまでも突き詰めたくなるコンテンツの中毒性BAD要求スペックに見合わないグラフィックや動作の安っぽさストーリーの散らかり方には賛否があり得るか
