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そんな日本ファルコム作品を支えてきた要因のひとつが、没入感を促すゲームミュージックです。音楽がゲームプレイに与える影響の大きさは、改めて語るまでもありません。同社のゲームミュージックも、様々なプレイ体験と深く結びついています。

日本ファルコムが提供してきたゲームミュージックの体験は、ゲームの中だけに留まらず、リアル世界にも広く及んでいます。

長い歴史の中では、例えば同社のアクションRPG『Zwei!!(ツヴァイ!!)』と同日に発売されたサントラCD(『ツヴァイ!!』のサントラと、『イース』の楽曲にアレンジを加えた「イース・ヒーリング」)を、『ツヴァイ!!』初回限定版に封入するという大胆な施策が行われたこともありました。

単品販売できるクオリティのCDを、初回限定版に加えてしまう。その趣向には驚くばかりながら、同時にユーザーからすれば嬉しいものです。こうした形で、同社のゲームミュージックをゲーム外でも楽しんだ人は少なくないでしょう。

日本ファルコムが取り組むゲームミュージックの展開は、個人で楽しむ音楽鑑賞だけでなく、多くの来場者を集めて生の演奏と歌声を届けるライブイベントという形式でも行われています。

2026年2月7日にも、今年初のライブイベント「Falcom jdk BAND LIVE 2026」を、赤羽の「ReNY alpha」にて開催しました。本稿では、その模様を綴る体験レポートをお届けします。

日本ファルコムの多彩なゲームミュージックは、ライブでもその真価を発揮
会場には約400人の来場者が足を運び、多くのファンが期待と熱気を向ける中、『英雄伝説 空の軌跡SC』より開幕を告げる「銀の意志 金の翼」が響き渡ります。パンチの効いたビートに目が覚めるような衝撃を受け、意識の全てが一気に奪われました。

その力強さを受け継ぐように、『碧の軌跡 Evolution』の「碧き願い」が会場を席捲。耳に飛び込む音楽の奔流が、プレイ体験をも揺さぶる刺激を与えてくれます。

『軌跡』シリーズで立ち上がりを固めた後は、『イースII』を象徴する「TO MAKE THE END OF BATTLE」が飛び出しました。しかも、正面スクリーンに『イースIIエターナル』のオープニング映像を流し、聴覚だけでなく視覚的にも「TO MAKE THE END OF BATTLE」を届けるという粋な演出も見せてくれます。

『イース』ミュージックで感情を揺さぶった後は、『空の軌跡 the 1st』から「Sophisticated Fight」~「ピンチ!!」~「撃破!!」と戦闘曲を、映像と共に奏でました。

フルリメイク作『空の軌跡 the 1st』は2025年に発売されたばかりなので、記憶に新しい人も多いはず。強敵との苦戦、そして撃破した時の達成感が、まざまざと思い出されます。

ここからは、再び『軌跡』シリーズの楽曲が怒涛の展開を見せます。ただし、『軌跡』シリーズと一口にいっても、作品の広がりは実に多彩です。

「Step Ahead」「嘆きのリフレイン」と『閃の軌跡III』が続いたと思えば、現時点のシリーズ最新作『界の軌跡 -Farewell, O Zemuria-』の「シロイセカイ」、さらには『黎の軌跡』のフルアレンジアルバム「SUPER ULTIMATE」より「ナイツ・オブ・アステリア」と、シリーズの奥行きを感じさせる構成に圧倒されます。

この鉄板編成の後に続いたのは、往年のファンを歓喜させる『ツヴァイ!!』の「幻の大地セルペンティナ」。ラストダンジョンで流れたこの曲がライブで力強く奏でられると、懐かしさはあっても古さは一切感じさせません。

そして、再び『軌跡』シリーズの『零の軌跡』から「Inevitable Struggle」に戻ったかと思えば、『イースIX -Monstrum NOX-』の「CLOACA MAXIMA」、さらに『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』より「A-to-Z」と、『イース』シリーズの名曲が負けじと存在感を放ちます。

多数の作品を渡り歩いた楽曲構成は、長い歴史を紡いだ日本ファルコムならではと言えます。その多彩さをライブという場で改めて実感させられた後は、『軌跡』シリーズによる怒涛の展開が会場を埋め尽くしました。

ライブとの相性も抜群の「The Fate of the Fairies」は、『空の軌跡SC』の楽曲。リメイク版となる『空の軌跡 the 2nd』の開発が進行中なので、新たな「The Fate of the Fairies」をゲームの中で聴く機会もいずれ巡ってくることでしょう。

続いて演奏された「Overdosing Heavenly Bliss」は、『空の軌跡 the 3rd』のボス戦で使われたもの。こちらのリメイクが作られるかはまだ未定ですが、こうした場で耳にすると、自然と期待が高まってしまいます。

そして、『軌跡』シリーズを語る上で外せない「星の在り処」が、ここで満を持して登場です。今回奏でられた『空の軌跡 the 1st』バージョンの生演奏は、なんと世界初とのこと。まだ誰も体験していなかった「星の在り処」を味わえたのが、当日足を運んだ来場者だけの特権です。

またとない体験を全身に浴びた後は『閃の軌跡』の主題歌「明日への鼓動」が鳴り響き、熱気を高めたまま充実の16曲を駆け抜けました。

しかし……いえ、充実したからこそ、来場者の気持ちは高ぶったまま。決して狭くはない会場に、来場者からの「jdk」コールが鳴り響きます。

まだ陰りを見せぬ熱気を受け取ったjdkメンバーが再びステージへ戻ると、アンコール一発目として『閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-』の「明日への軌跡」をぶつけてきました。「明日への鼓動」から「明日への軌跡」へと橋を渡す、心憎い構成です。

そして、『黎の軌跡』の主題歌「名もなき悪夢の果て」を経て、jdkライブの大定番曲「Go Fight」で盛り上がりは最高潮に。この時スクリーンに流れていたのは、『スタートレーダー』……ではなく、4コマ漫画「みんな集まれ!ファルコム学園」の表紙。

ちょっと意表を突くユーモアにも「らしさ」が感じられ、数多の作品と同様に、忘れられない体験となりました。

こうして一期一会の夜は過ぎ、今となっては思い出が残るばかりです。しかし、「(今後も)ライブとか色々たくらんでいます」という嬉しい発言があり、さらに『空の軌跡 the 2nd』の年内発売や『亰都ザナドゥ -桜花幻舞-』の今夏発売と、今後のゲーム展開もすでに複数控えています。

歴史を積み上げながら、常に前進を続けている日本ファルコム。この2026年も、目が離せない1年になりそうです。

Game*Spark 臥待 弦(ふしまち ゆずる)

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