「戦国死にゲー」として、名だたるソウルライクのなかでも一際人気を誇るダーク戦国アクションRPGシリーズ『仁王』。実在の偉人や有名な妖怪たちを相手に死闘を繰り広げるシビアな難易度バランスと、様々な装備を集めて自身を強化していくハクスラ的な遊びが混在した作品です。

2月6日、ついにシリーズ最新作となる『仁王3』が登場。サムライとニンジャのふたつのスタイルや、オープンフィールド化、「地獄」という高難度ダンジョンなど多くの新要素の登場により、ボリューム・クオリティ両方の面において過去作をゆうに超える出来に仕上がっていました。何百時間でも遊べるハクスラ体験がプレイヤーを待っています。

その反面、敵拠点やイベントを順番に巡ることになる単調なマップデザイン、複数回のクラッシュなど、いくつかの見過ごせない問題点もありました。本記事では、Game*Sparkレビューをお届けします。

※執筆に際し、コーエーテクモゲームスよりダウンロードキーを提供いただいております。

時を超え、日ノ本に光を取り戻せ――戦国の枠を超えた大規模オープンフィールド

時は江戸時代初期の元和8年(1622年)。主人公である竹千代(キャラクタークリエイト可)は、絵の才能に秀でた大人しい人物ですが、次代徳川将軍として政を担う責務がありました。

しかしながら、自分こそが将軍の座に就くべきだと考えている弟の徳川国松が謀反を起こします。国松に殺される寸前、不思議な力を受けた竹千代は、武田信玄と家康公の戦いが行われている時代にタイムスリップすることに。

そこで「比留呼」という邪悪な妖怪が「獄霊石」を用いてさまざまな時代を地獄に堕としていることを知ります。

果たして、竹千代は比留呼や国松の陰謀を止めることができるのか……? といったストーリーです。

前作までのシリーズがステージ選択型だったのに対し、本作ではオープンフィールドを採用。舞台となるのは「戦国」「平安」「幕末」の3つです(江戸と古代にも行けますが、一本道を進むミッションと、“地獄”というダンジョンがひとつずつあるのみ)。

それぞれロケーションも登場人物も異なり、出現する妖怪も変わってきます。どれくらい寄り道するかにもよりますが、70~80時間ほどのボリュームはあるでしょう。

前作同様にエリアを探索して武器やアイテムを集めつつ、敵を倒してアムリタ(経験値)を手に入れ、レベルアップや装備品の入れ替えをして自身を強化していくという、ソウルライクとハック&スラッシュの遊びが存分に詰まっています。すねこすりや木霊探しといった一部のちょっとしたミニゲーム以外はバトルとトレハンの繰り返しとなっており、この点は看板に偽りなしといった感じでしょう。

オープンフィールド化したことにより、舞台の説得力は増しました。遠くに見える巨大な妖怪を眺めたり、勝てないボスを後回しにして近場でレベル上げをしたりと、ステージクリア型だった過去作よりもリッチかつ融通が利く体験になっているように感じました。

また、レベルデザインは相変わらず良好です。宝箱や貴重品といったアイテムの配置が巧妙で、マップの立体感とプレイヤーへの導線をどちらも感じることができました。特に「地獄」と呼ばれる、各オープンフィールドのラスト付近に用意されている巨大なダンジョンは、攻略しがいのある難度と仕掛けが散りばめられており、満足感のある体験に仕上がっていました。

新しい和魂(にぎたま・友好的な妖怪のこと)である千々古(ちぢこ)も可愛らしく、空を見上げるきっかけになっています。他にも、ストーリー進行で貰える守護霊の力を使って、前のマップの隠しエリアに行けるようになる「霊脈踏破」や、落ちた頭を拾ってきて戻してあげると恩恵を貰える「六地蔵」など、ひとつひとつは大したゲーム性はありませんが、オープンフィールドの寄り道としては充分機能していました。

『仁王』らしい無限の成長と、サムライ・ニンジャを切り替える新しい遊び

そして、本シリーズの特色である“ソウルライク”であり“ハック&スラッシュ”でもあるという点は、改めてもっと評価されるべきではないかと思うほど、高い完成度を誇っていました。

ソウルライクの醍醐味でもありライトゲーマーを挫折させている点でもある「シビアな戦闘」は、本作にも健在です。コントローラーをブン投げたくなるような強敵と出くわすこともあります。

しかしながら、同時にハック&スラッシュでもあることによって、プレイヤーはあらゆる方法で自身を強化することが可能です。

シンプルにアムリタを稼いでレベル上げ、ドロップする装備品の付け替え、鍛冶師による装備品のレベル上昇や特性の変更、要らない装備品をアムリタに変える機能など、過去作にあった手段はすべて存在します。

また、木霊・すねこすり・千々古などを見つければ必ずちょっとは成長しますし、そもそもマップの探索度を上げるだけで攻撃力にボーナスが入ります。各地にいる達人を倒せば特別な武技(武器種に依存するスキル)が貰えますし、奇譚と呼ばれるサブクエストの報酬もなかなか美味しいです。

妖怪を装備・召喚して戦わせる「魂代」を付け替えるだけでも、ステータスが変動したり、やれることが増えたりします。

要素が多すぎて混乱するかもしれませんが、とにかく「何かやればどこか強くなる」というゲームデザインになっており、敵に負けて時間を無駄にすることがない・詰んだと感じることがないのは素晴らしいところです。

語り切れないほど大量の成長要素があるにも関わらず、どんなボス戦もちゃんと戦いになっているのもスゴいですね。

また、これを支えているのは「遊びやすさ」と「情報の透明性」です。

『仁王』シリーズも数多のソウルライク同様、レベルアップ時にステータスを振り分けるわけですが、何をどのくらい上げたらどの武器種の攻撃が強くなるかが明確であり、誤った割り振りによって損をすることがほぼありません。体(HPに当たるステータス)を上げたとしても、いずれかの武器種の攻撃力は上がります。

振り直しもいつでもできるうえに、そもそもちょっと戦っただけで山ほど武器が手に入るので、たまには違う武器を使ってみよう……ということにもなります。

「どうしたら何が強くなるのか」が常に明示されており、それらを意識しなくても戦ったり進んだりしていれば前よりは強くなっているという体験が、ここまでソウルライクと相性が良いとは思いませんでした。

今回オープンフィールド化したことでさらにそれが顕著になり、探索→ボス→勝利or敗北→探索のループがあまりにも心地良いものになっていました。

サムライスタイルとニンジャスタイルについても語らねばなりません。

サムライはガードの性能が高く「残心」という攻撃後に構えを取ることで気力を回復したり「捌き」という直前ガードによって自分の気力(スタミナのようなもの)を回復したりできます。また、ゲージを溜めて「技研ぎ」という大技を放つことで敵に大ダメージを与えることができます。

一方で、ニンジャは機動力に優れており、空中回避や見切りが可能です。そして、攻撃後に「霞」という無敵回避を使用して、位置取りを調整できます。敵の背後に回り込んで攻撃すると威力が増すという、まさしく忍者らしい戦い方が可能です。また、ゲージを溜めて手裏剣やクナイといった「忍術」を使用することも可能です。

このふたつのスタイルで戦う遊び方は、本作ならではの良さであり、率直に言ってかなり面白いポイントでした。開発陣が挑戦した試みの大部分は成功していると言って良いでしょう。

サムライの「残心」や「捌き」は、血肉沸き踊る近接戦が好きなプレイヤーに向いていますし、ニンジャの「見切り」や「忍術」は、安全かつ姑息に敵を貶めるのが好きなプレイヤーに向いています。

これらは敵によってスタイルを分けるのが理想ですが、こういう“好きなスタイルを選べるメカニクス”は、アクションに慣れていないときや、単に好みの問題で、得てして片方しか使わずにクリアしがちですよね。

そこで機能するのが「転心」による「大技返し」というシステム。(Xboxコントローラー基準で)RTボタンを押すことでいつでもスタイルを変えられるのですが、この転心の瞬間、敵の回避不能な真っ赤な大技を弾き返すことができるのです(前作『仁王2』の特技カウンターに相当します)。

これによって、サムライとニンジャを一回の戦闘中に何度も入れ替えなければいけなくなるのです。こういう敵の行動自体がチュートリアルやプレイの導線になっている仕組みは気が利いていますね。

他にも、遠距離からチクチク攻撃していたけれど、忍術が枯渇したのでしばらくサムライで戦わざるを得なくなるとか、サムライ側にセットした守護霊の属性が今回のボスには利きづらいからニンジャ偏重で戦うとか、臨機応変に変えることができます。

発表当初は、ただでさえ忙しくて緊張する死にゲーらしい戦闘に、さらにパニクる要素を入れてちゃんと成立するのかと思いましたが、慣れてくるとこれがめっちゃ楽しい!

上手くなってくると、敵の連撃はサムライで捌きつつ、相手の気力が減ってきたら忍術で気力回復を阻害しながら近づき、連撃系の武技で一気に削り切るなど、オリジナルのコンボを組み立てることもできるようになってきます。

100時間近くバトルアクションをするゲームなだけあって、噛めば噛むほど味がする作りになっています。

作業感のあるマップや、やや不安定な挙動……いくつかの問題点

本作をクリアまでプレイしたうえで、気になったポイントも列挙しておきます。

もっとも気になったのは、オープンフィールドのデザインです。

前述した通り、オープンフィールドを採用したこと自体は良かったとは思うものの、まだ課題はあるように感じました。

というのも、オープンフィールド自体に魅力的な仕掛けがあるというよりは、あくまで『仁王2』の遊びをある程度幅を持たせた作りになっているに過ぎず、結局は推奨レベルの通りに道を歩いていって、そこで起きる戦闘やイベントをこなして次の地点に向かう……ということの繰り返しになっています。

この点は多くの大規模開発オープンワールドアクションRPGが抱える問題と同じで、良い意味でも悪い意味でも、最初から最後まで同じ味がします。

ダイダラボッチが遠くから巨岩を投擲してくるエリアなど、一部のギミックが世界の広さを感じさせてくれることもありましたが、地続きのステージが並んでいるのを順番に踏破していくだけの王道な作りがほとんどです。

もちろん、戦闘の奥深さとハクスラ的な楽しみが上回っているのでゲーム自体に飽きることはなかったものの、もっと冒険をしている感じがあるダイナミックな仕掛けや、突然発生するアクシデントやドラマを見せてほしいところでした。

また、クラッシュについても、何度か発生しました。

PC環境に依存するとは思いますが、筆者は80時間ほどのプレイで7回ほどクラッシュしました。社(回復ポイント)でオートセーブが入るので大きく戻されることはありませんでしたが、ちょっと不安になる回数です。

念のため補足しておくと、筆者はレビュー用のビルドで遊んだので、発売後の製品版にはアップデートが入っているかもしれず、修正可能な問題点ではあります。

バグについては、一度ムービーの読み込みに失敗してエラーメッセージが出ることはありましたが、それ以外に大きいものはなく、ほぼ問題なくラストまで遊ぶことができました。

そのほか小さな点では、ストーリー構成については少し賛否が分かれるかもしれません。舞台となる時代が複数あることによりリッチにはなったものの、ひとりひとりのキャラクターに対する思い入れが薄まり、お話の繋がりも希薄になったようには感じました。

とはいえ、本シリーズは正直言って感動的な脚本やどんでん返しで魅せるというものではなく、あくまでスポットごとの偉人や英雄と共闘するのが大事だと思うので、大きな問題とは捉えていません。

シリーズ最大級のボリュームと、サムライ×ニンジャという新たな軸によって、『仁王3』は“死にゲー×ハクスラ”という独自路線をさらに押し広げた一作に仕上がっています。

オープンフィールド化に伴う単調さは気になりましたが、それを補って余りある戦闘の奥深さと成長の快感に、時間を忘れて没頭することができるでしょう。

噛みしめるほどに味が出るアクションを、何十時間、何百時間でも遊びたいプレイヤーには間違いなく刺さります。

多種多様な妖怪との興奮必死のバトルをぜひご堪能ください。

Game*Spark レビュー『仁王3』 PlayStation 5/PC 2026年2月6日 100時間以上遊べるダーク戦国アクションRPGの決定版 GOOD 無限に強くなれる成長システム多種多様に登場する妖怪・偉人サムライ×ニンジャという挑戦によりさらに奥深くなった戦闘 BAD 似たようなイベントが敷き詰められたオープンフィールド複数回のクラッシュぶつ切り感のあるストーリー

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