
メモリの高騰がきっかけとなって、PC市場やPCパーツ市場は前例のないレベルでインフレ圧力が高まっている。新しいPCを買うにしても、同じ予算ならスペックをワンランク落とさなければならないなど、なかなか厳しい状況だ。
当然ミニPCにもそうしたインフレの波が押し寄せているが、5万円前後までのローエンドに近いモデルなら、まだ買いやすい製品が残っているようだ。今回はそうした買いやすいモデルの特徴を整理した上で、オススメモデルを紹介していこう。
ちょっと古いRyzen搭載モデルでは買い得感アリ
今回紹介する比較的低価格なミニPCでは、Ryzenシリーズであれば「Ryzen 5 7430U」や「Ryzen 5 3500U」などをCPUとして搭載していることが多い。こうしたミニPCがなぜ安いのかというと、まず第一には最新世代のRyzenシリーズと比べると世代的にかなり古いことが上げられる。もう1つはDDR5メモリではなくDDR4メモリを利用するプラットフォームであることが影響している。
今回取り上げたミニPCが搭載するCPUの主なスペックを比較した。CPUコアの数やスレッド数が多いものや、CPUやGPUの世代が新しいもののほうが性能が高い
もともと古いRyzenシリーズを搭載するミニPCは、今までも安く購入できた。そしてDDR4メモリは、現在異常なまでの高騰を続けているDDR5メモリほどは価格が上昇していない。こうした背景もあって、ローエンドミニPCは「まだ安く買える」わけだ。ただしDDR4メモリも、ジワジワと値上がりは進んでおり、今後もローエンドクラスのミニPCが「低価格」であり続けるかどうかは予断を許さない状況だ。
この価格帯だと、16GBのメインメモリ、250~500GB前後のストレージを搭載しているモデルが主流だ。個人的にはSSDの容量がやや少なめになっている印象はある。メモリの容量についていうと、ビジネス文書の作成、音楽/動画配信サイトの視聴といった軽作業なら問題なくこなせるだろう。ただしCPU性能も含めた総合性能でいうと、グラフィックスの描画性能が重要な3Dゲームをプレイするには向かないのがこの価格帯のミニPCだ。
ミニPCで使われるSO DIMMタイプのDDR5メモリでも、過去に例を見ないほどの高騰が続いている。写真はCFD販売の「W5N5600CS」、16GBの2枚組で実売価格はなんと5万4,000円前後
低価格なミニPCを探している時にちょっと注意したいのが、「NoRAM/NoSSD」と記載されているミニPCだ。これは要するに、メモリとSSDを搭載していない「ベアボーンPC」のことである。ユーザーが自分の好きな容量のメモリやSSDを組み合わせ、Windows 11などをインストールすることで、PCとして使えるようになる。
当然だが購入してすぐに使い出すことはできないし、メモリやSSD、OSのライセンスを用意できなければPCとして利用することはできない。ベアボーンPCだと、今回紹介するモデルよりも性能が高い「Ryzen 6000/7000」シリーズを搭載するモデルで5~6万円前後のモデルもありオトクのようにも見えるが、手持ちで流用できるパーツがなければ現状ではオススメできない。
NoRAM NoSSDと記載されているモデルでは、メモリやSSDは搭載されていないRyzenシリーズ搭載低価格ミニPCRyzen 5 3500U搭載の激安PC
GMKtek NucBox G10、実売価格は3万6,000円前後
2019年に発売された4コア8スレッド対応「Ryzen 5 3500U」を搭載するミニPCだ。Ryzen搭載ミニPCとしては群を抜いて安く、Intelの低消費電力CPU「N95/97/100/150」搭載ミニPCと同等レベルだ。3系統で4K解像度の映像出力が可能、2.5GbEの有線LANポートを搭載するなどデスクトップPCとしての使い勝手は高い。M.2スロットを2基搭載しているので、システムストレージが足りなくなった時でも増設は容易だ。
主な仕様CPU(コア/スレッド数)Ryzen 5 3500U(4コア/8スレッド)搭載メモリDDR4 SO-DIMM PC4-19200 8GB 2基ストレージ(インターフェイス)256GB(PCIe 3.0)OSWindows 11 Pro拡張ベイPCIe 3.0対応M.2スロット通信機能Wi-Fi 5、Bluetooth v5.0主なインターフェイス2.5Gigabit Ethernet、DisplayPort、HDMI、USB 3.2 Gen 1 Type-C(DisplayPort Alt Mode対応)、USB 3.2 Gen 2 2基、USB 2.0本体サイズ103×98×42mm重量284g実売価格3万4,000円前後(値引きクーポン適用)Ryzen 3 4300U搭載で4万円以下とかなり安い
NiPoGi P2。実売価格は4万円前後
2020年発売の4コア4スレッドCPU「Ryzen 3 4300U」を搭載するミニPCだ。ただし、前世代に比べて性能に大きなてこ入れがあった「Zen 2」アーキテクチャのCPUコアを採用するほか、GPUコアにも改良が加えられており、Ryzen 3000シリーズより若干性能が向上している。3系統のディスプレイ出力端子のほか、USB3.2 Gen1ポートを4基、USB 3.2 Gen 2ポートを2基など高速なUSBポートを多数装備しており、USB接続の周辺機器を利用しやすい。
主な仕様CPU(コア/スレッド数)Ryzen 3 4300U(4コア/4スレッド)搭載メモリDDR4 SO-DIMM PC4-25600 8GB 2基ストレージ(インターフェイス)512GB(SATA)OSWindows 11 Pro拡張ベイPCIe 3.0対応M.2スロット通信機能Wi-Fi 5、Bluetooth v5.0主なインターフェイスGigabit Ethernet、DisplayPort、HDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-C(DisplayPort Alt Mode対応)、USB 3.2 Gen 2 2基、USB 3.2 Gen 1 2基本体サイズ128.2×128.2×44mm重量不明低価格ノートPC御用達のCPU搭載低価格ミニPC
ACEMAGIC K1。実売価格は5万円前後
6コア12スレッド対応の「Ryzen 5 7430U」を搭載するミニPC。CPUコアやGPUコアの構成は2021年発売の「Ryzen 5000」シリーズをベースにしており、6~8万円で購入できる低価格なビジネス向けノートPCでの搭載例が多い。HDMIやDisplayPort、DisplayPort Alt Mode対応のUSB Type-Cと3系統のディスプレイ出力に対応するほか、NiPoGiのP2と同様にUSB 3.2 Gen 1/2対応ポートの搭載数が多い。
主な仕様CPU(コア/スレッド数)Ryzen 5 7430U(6コア/12スレッド)搭載メモリDDR4 SO-DIMM PC4-21300 8GB 2基ストレージ(インターフェイス)512GB(SATA)OSWindows 11 Pro拡張ベイPCIe 3.0対応M.2スロット通信機能Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2主なインターフェイスGigabit Ethernet、DisplayPort、HDMI 2基、USB 3.2 Gen 2 Type-C(DisplayPort Alt Mode対応)、USB 3.2 Gen 2 2基、USB 3.2 Gen 1 4基、USB 2.0本体サイズ128.2×128.2×41mm重量不明8コア16スレッド対応Ryzen 7搭載で激安ミニPC
GMKtek M5 Plus。実売価格は5万4,000円前後
本機が搭載するのは8コア/16スレッド対応の「Ryzen 7 5825U」で、内蔵するCPUコアやGPUコアの世代はRyzen 5 7430Uと同じだ。しかしCPUコア数が多い分、Ryzen 5 7430Uよりは性能が高い。CPU冷却用ファンだけではなく、メモリやSSDを冷却するためのファンを装備しており、長時間安心して利用できる。3系統のディスプレイ出力や2.5GbEの有線LANポートなど、デスクトップPCとして利用する場合の基本的なインタフェースは過不足なく備える。
主な仕様CPU(コア/スレッド数)Ryzen 7 5825U(8コア/16スレッド)搭載メモリDDR4 SO-DIMM PC4-25600 8GB 2基ストレージ(インターフェイス)512GB(PCIe 3.0)OSWindows 11 Pro拡張ベイPCIe 3.0対応M.2スロット通信機能Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2主なインターフェイス2.5Gigabit Ethernet 2基、DisplayPort、HDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-C(DisplayPort Alt Mode対応)、USB 3.2 Gen 2 2基、USB 2.0 2基本体サイズ128.8×127×47.8mm重量不明OCuLink搭載で拡張性に優れた低価格ミニPC
GMKtek M8。実売価格は5万4,000円前後
Ryzen 6000シリーズの6コア/12スレッド対応CPU「Ryzen 5 PRO 6650H」を搭載し、今回取り上げた中では比較的性能の高いミニPCである。メモリが直付けタイプなので換装はできないが、軽作業中心なら16GBでもメモリ不足になる状況はないだろう。高速で自由度の高いUSB4ポートやOCuLinkを搭載しており、市販のビデオカードを利用してグラフィックス機能を強化できる。また天板にはM.2 SSDを冷却するためのファンを装備しており、長時間の利用でも安心だ。
主な仕様CPU(コア/スレッド数)Ryzen 5 PRO 6650H(6コア/12スレッド)搭載メモリLPDDR5 PC5-51200 16GBストレージ(インターフェイス)512GB(PCIe 3.0)OSWindows 11 Pro拡張ベイPCIe 4.0対応M.2スロット通信機能Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2主なインターフェイス2.5Gigabit Ethernet 2基、DisplayPort、HDMI、USB4、USB 3.2 Gen 2 3基、USB 2.0、OCuLink本体サイズ107×111×63mm重量約490g3基のM.2スロットを搭載したミドルレンジモデル
AOOSTAR GEM10。実売価格は5万5,000円前後(セール時期による)
Ryzen 6000シリーズの8コア/16スレッド対応CPU「Ryzen 7 6800H」を搭載し、16GBのDDR5メモリを搭載するミニPC。搭載メモリは16GBで直付けなのでM8と同じく換装はできない。ストレージ用のM.2スロットを3基も搭載するというのはミニPCでも非常に珍しく、大容量のストレージを利用できるのが嬉しい。それ以外にもM8のところでも紹介した「OCuLink」を搭載してグラフィックス機能を強化できるなど、低価格ミニPCのなかでは群を抜いた拡張性を備える。
主な仕様CPU(コア/スレッド数)Ryzen 7 6800H(8コア/16スレッド)搭載メモリLPDDR5 PC5-51200 16GBストレージ(インターフェイス)512GB(PCIe 4.0)OSWindows 11 Pro拡張ベイPCIe 4.0対応M.2スロット 2基通信機能Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2主なインターフェイス2.5Gigabit Ethernet 2基、DisplayPort、HDMI、USB4、USB 3.2 Gen 2 4基、OCuLink本体サイズ107×107×60mm重量不明Intel CPU搭載の激安ミニPCミニPCの火付け役となった激安モデルはいまだ健在
GMKtek NucBox G3S。実売価格は3万3,000円前後
4コア4スレッドに対応したIntelの低消費電力CPU「Intel N95」を搭載したモデルだ。軽作業中心の業務なら問題なくこなせる「ちょうどいい性能」を備えながらも激安だったことから、Intel N95/100シリーズを搭載したミニPCはミニPCブームの火付け役となった。1万円台後半から購入できた当時と比べるとそれなりに価格は上がっているが、値頃感はいまだに高い。M.2スロットを2基備えており、ストレージ容量を拡張しやすい。
主な仕様CPU(コア/スレッド数)Intel N95(4コア/4スレッド)搭載メモリDDR4 SO-DIMM PC4-21300 8GB 2基ストレージ(インターフェイス)512GB(PCIe 3.0)OSWindows 11 Pro拡張ベイPCIe 3.0対応M.2スロット 2基通信機能Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0主なインターフェイスGigabit Ethernet、HDMI 2基、USB 3.2 Gen 2 3基、USB 2.0本体サイズ114×106×44mm重量約260g6基のM.2 SSDで小型ファイルサーバーを作ろう
Beelink ME mini。実売価格は4万6,000円前後
本機も4コア4スレッド対応のIntel N95を搭載するミニPCだが、なんとM.2スロットを6基も搭載している。(コストはさておき)4TBのM.2 SSDを6基組み込めば、コンパクトながらも合計で24TBもの大容量ストレージを搭載するファイルサーバーPCが完成する。今まで紹介してきたミニPCとは毛色の異なるモデルだが、置き場所を選ばない小型サーバーを作りたいユーザーなら見逃せない選択肢だ。有線LANは2.5GbE対応なので、ネットワークを介したファイルのやりとりも高速に行なえる。
主な仕様CPU(コア/スレッド数)Intel N95(4コア/4スレッド)搭載メモリLPDDR4 PC4-38400 12GBストレージ(インターフェイス)1TB(PCIe 3.0)OSWindows 11 Home拡張ベイPCIe 3.0対応M.2スロット 5基通信機能Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2主なインターフェイス2.5Gigabit Ethernet 2基、HDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 2、USB 2.0本体サイズ99×99×99mm重量750g
「速くて安い5万円以下ミニPC」はこれだ!ミニPC偏愛主義の二人の押し製品が激突【1月27日(火)21時配信】
PCの高騰が注目されているこの冬ですが、そんな市場においてもミニPCのコスパはまだまだ光っています。今回は手頃な5万円以下の価格帯に注目してライブ配信で紹介します。
このゾーンには絶対的な価格が安いものだけでなく、高性能なCPUコアを多数備えていたり、高めのGPUを内蔵するモデルが混じっているのでしっかりと善し悪しを見極めたいところ。一斉を風靡したIntel N100系はもちろん、Ryzen 3000~7000番台のCPUを搭載した高性能機がひしめき合っているわけですが、配信ではミニPCを偏愛して止まない竹内亮介さんと劉デスクが厳選した製品を紹介するのでハズレはありません!
配信は1月27日(火)21時スタート。
メインマシンに、サブマシンに、家族や知り合いのマシンに、使い所いっぱいの格安ミニPCの世界を覗きに来てください。
・出演
竹内亮介
劉 尭(PC Watchデスク)
佐々木修司(PADプロデューサー)
「速くて安い5万円以下ミニPC」はこれだ!ミニPC偏愛主義の二人の押し製品が激突
