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 サイコムの「Silent-Master NEO B850A」は、ハイスペックな空冷PCながら驚くほどの静音性を実現したゲーミングPCだ。前回に引き続き、今回は性能編として、定番ベンチマークソフトを使ってその実力を探ることにする。

CPU温度は80度強だが性能は期待通り、動作音は42.2dBと静か

 まずはSilent-Master NEO B850AのCPU性能を見ていこう。試用機のCPUはゲーミングPCでは圧倒的な人気を誇る、Ryzen 7 9800X3D。8コア/16スレッドなので動画編集や配信などには不向きだが、96MBのL3キャッシュはゲームですさまじい効果を発揮する。

 まず試したソフトは、CGレンダリング速度からCPU性能を算出する「CINEBENCH 2024」。テストはすべてのコア/スレッドを使用する「Multi Core」と、1つだけ使用する「Single Core」の2つ。テスト結果は「pts」という独自単位のスコアーで表示され、この値が高ければ高いほど高性能となる。

 結果は見ての通りで、Multi Coreが1315pts、Single Coreが131pts。同じRyzen 7 9800X3D搭載PCと比べても見劣りはなく、CPU性能をほぼ引き出せている。

 では、CPU温度はどうなのか? モニタリングソフト「HWiNFO64 Pro」でチェックしてみた。Multi Coreテストが終了する直前の様子がこれだ。

 CPU Dieの温度が80度の時でThermal Limitが100%。どうやら、CPU Dieが80度以下になるよう制御されているようだ。ここで注意したい点は、冷却性能が低いとCPUの温度を下げるために動作クロックを落としている可能性があることだ。動作クロックが下がれば当然性能も落ちる。もしかすると、CPU Dieを80度以下に維持するため、性能低下が起こっている可能性があるのだ。

 しかし、安心してほしい。CPU Package Powerを見ると、最大119.628Wに対し、平均が112.579Wと高レベルを維持。テストの結果もそうだが、このことからもCPU性能はほぼ落ちることなく、フルに動作している様子が読み取れる。つまり、冷却性能は十分間に合っており、CPU本来の性能が出せていると考えていいだろう。

 なお、気になる動作音だが、さすがに高負荷が続くとそれなりに大きくなる。正面約30cmの位置から騒音計を使って測ってみたところ、約42.2dB(暗騒音は31.9dB)まで上昇していた。とはいえ、それでもファンが回転しているとわかる程度で、生活音に容易にまぎれてしまう程度だ。一般的なPCと比べれば、明らかに静かであることに変わりはない。

ゲームへの影響が大きい3Dグラフィックス性能をチェック

 続いて、Silent-Master NEO B850Aの3Dグラフィックス性能を調べるため、こちらも定番の「3DMark」を試してみた。3DMarkには数多くのテストがあるが、まずは「Speed Way」の結果から見てみよう。

 Speed WayはDirectX 12 Ultimateに対応し、レイトレーシングなどがふんだんに使われ、リアルな光表現を実現している。そのため、描画の負荷はかなりのもの。最近のゲームタイトルではレイトレーシング対応が当たり前になってきているだけに、高画質かつ高品質で遊べるかどうかの参考になる。

 スコアーは7679で、平均値よりわずかに下。とはいえ、分布グラフの最頻値は上回っており、GeForce RTX 5070 Tiを搭載するほかのPCと比べても遜色ない結果といえるだろう。また、CPUやGPUの動作クロックを見てもフラットで安定しており、冷却性能の面でも問題ないことがわかる。

 これ以外の主なテスト結果は以下にまとめておいた。手持ちのPCとの性能比較などで役立ててほしい。

FF14ベンチマークでは4K・最高品質でも「とても快適」

 ゲームに近いベンチマークとして、「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下、FF14ベンチマーク)も試してみよう。FF14は現行版が登場してから10年以上も経っているが、今でも大型アップデートが続いている人気のMMORPG。それだけに、より高い解像度、より高い画質で快適に遊びたいという人も多いだろう。

 負荷は軽めの部類のため、試用機の構成ではかなり余裕があると見込める。ゆえに、画質はプリセットの最大となる「最高品質」、解像度は4K(3840×2160ドット、フルスクリーン)でテストすることにした。

 結果はスコアーが14620で、評価は「とても快適」。最高評価にはわずかに及ばずだが、最低フレームレートも60fpsを超えており、かなり余裕がある状態だった。動作音は重たいシーンであっても約33.1dBと暗騒音(31.9dB)にほど近いほど静か。アイドル時が約32.1dBということを考慮すると、ほとんど変化していない状態だ。

 実際に耳で聞いた印象もほぼ無音といってもいいくらいのレベル。ゲーミングPCはここまで静音化できるものなのかと、感心してしまった。CINEBENCH 2024のようにCPUをフルロードするようなゲームはレアなので、Silent-Master NEO B850Aをゲーミングで使う限りは類を見ないほどの静音体験が味わえるだろう。

モンハンワイルズ ベンチマークも4K・ウルトラ設定で快適

 いくら静かとはいえ、FF14は軽量なゲームタイトルだ。そこで、今度は重めのハンティングアクションゲームの「モンスターハンターワイルズ ベンチマーク」(以下、MHWsベンチマーク)を試してみよう。

 設定次第でかなり重たくできるが、まずは解像度をWQHD(2560×1440ドット)、グラフィックプリセットは「ウルトラ」にして、DLSSを適用。アップスケーリングモードは「クオリティ」、フレーム生成は「ON」、レイトレーシングは「高」に設定してみた。

 結果は、平均フレームレートが153.58fps。最高評価の「非常に快適にプレイできます」なので、かなり余裕がある。そこで、さらに重たくするため、アップスケーリングモードを「クオリティ」から「NVIDIA DLAA」に変更。ネイティブの解像度で描画するので、画質はアップするものの負荷はかなり高くなる。

 負荷が高くなるとはいえ、平均フレームレートは130.25fpsとまだまだ余裕だ。そこで、さらにフレーム生成を「OFF」に変更。フレーム生成はフレームレートが増加するものの、わずかに遅延が起こることもあるため、使わずに快適にプレイできるならそれに越したことはないからだ。

 平均フレームレートは76.87fpsまで落ちたが、依然として最高評価なので問題ないだろう。描画負荷の高いレイトレーシングを効かせてもこれだけフレームレートが出るなら、ゲームを存分に堪能できるはずだ。

 こうなると、4Kプレイはできるかどうかが気になってくる。しかしながら、さすがにアップスケーリングやフレーム生成なしでは厳しいと思われるため、プリセットを「ウルトラ」に戻し、フレーム生成を「ON」にしてから、4Kベンチマークも試してみた。

 評価は「快適にプレイできます」まで落ちたが、平均フレームレートは99.88fpsとかなり高い。この設定であれば、4Kプレイも十分視野に入るだろう。

 ちなみに、この時の動作音は重たいシーンでも約37.3dB。ほかのシーンでは35dB以下とだいぶ静かだった。Silent-Master NEO B850Aなら夜間に動かしても、同居人の迷惑になることはないだろう。

さらに重たい「黒神話:悟空」のベンチマークならどうか?

 最後に、重量級のベンチマークとなる「黒神話:悟空 ベンチマークツール」(以下、黒神話ベンチマーク)を試してみよう。美麗なグラフィックが魅力のタイトルなだけに、画質にはできるだけこだわりたいところだ。

 また、アクションRPGはフレームレートが30fpsを超えていれば遊べるレベルだが、フレームレートが低いと画面がカクつきやすく、キャラクターを動かす爽快感が失われてしまう。ゆえに、95パーセンタイルが60fps以上となる範囲で、どこまで画質を上げられるのかがポイントになる。

 MHWsベンチマークの結果を参考にすると、4Kでもフレーム生成とアップスケーリングを使えば、高画質設定で快適にプレイできそうだ。ということで、解像度を4Kにし、サンプリング解像度はデフォルトの「50」、フレーム生成を「ON」、フルレイトレーシングを「ON」(レベルは「超高」)、画質レベルを「最高」に設定した。

 結果は95パーセンタイルで69fps。平均でも77fpsあり、4Kでも十分快適に遊べるだけの実力があることがわかった。とはいえ、サンプリング解像度が「50」だと、細い枝や葉、毛などの細部や、木の幹や岩の境界部分のディテールに、若干違和感を覚えることもある。

 そこで、この違和感を減らすため、サンプリング解像度を上げてみよう。といっても、4Kでは性能が足りなくなることが容易に予想できるため、解像度はWQHDに落とした。まずは超解像技術を使わない「DLAA」(つまり、サンプリング解像度の設定は「100」)で試してみた。

 結果はご覧の通り、95パーセンタイルで53fpsと60fpsには届かなかった。そこで今度は、サンプリング解像度を「80」に変更。DLSS品質モードの表示は「DLAA」から「クオリティ」に変わったが、これでもまだパフォーマンス低下の警告が出ていた。

 95パーセンタイルでも86fpsまで上がったので、これなら不満なく遊べそうだ。つまり、アップスケーリング設定は4Kで強烈に効かすか、WQHDでゆるくかけるかという選択になる。どちらの画質がいいかは好みが分かれそうだが、1つの参考にしてもらえれば幸いだ。

まとめ:静音ゲーミングPCとはかくあるべしという1台

 Silent-Master NEO B850Aは、アイドル時や低負荷なシーンでは動作音がほぼ聞こえず、電源が入っていることを疑うほど静かだった。CPUに高負荷が続くとさすがに動作音は大きくなるが、それでも一般的なデスクトップPCと比べれば明らかに小さい。

 各種ゲームベンチマーク中の動作音の小ささにも驚いた。騒音値を見れば、サイコムの独自ビデオカード「Silent Master Graphics」が、いかに静音性に優れているのかわかるはずだ。ゲーミングPCというと、性能と引き換えに動作音が大きいという印象があるが、そのイメージを見事に覆してくれた。

 騒音に悩まされず、快適に動作するゲーミングPCが欲しいのであれば、Silent-Master NEO B850Aは実に魅力的な選択肢だ。

このPC、静かすぎる――Ryzen 7 9800X3D&RTX 5070 Tiで4K・高画質プレイ時も30dB台の超静音ゲーミングPC

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