2025年にアートディンクが発表した【ARTDINK GAME LOG】は、同社の『太陽のしっぽ』『アクアノートの休日』(2026年配信予定)などの有名・名作タイトルを現代向けに蘇らせるプロジェクトです。
公式サイトのプロジェクト紹介欄には『アトラス』『カルネージハート』『A列車で行こう』などの錚々たるタイトルが並んでいます。アートディンクファンの皆様も、このプロジェクトで「ぜひとも蘇って欲しい!」と思う作品があると思います。
本記事では、いずれ【ARTDINK GAME LOG】のラインナップとして登場することを祈り、アートディンクのゲームを紹介していきます。第2回では、異色のレジャーシミュレーション『風のノータム』を取り上げます。
“ノータム”の意味とは
『風のノータム』は、1997年9月11日にプレイステーション向けに発売された作品です。熱気球を題材とした作品で、プレイヤーは熱気球を操作しながら、用意されたチャレンジ(タスク)をクリアしていくのが目的です。
ちなみにタイトルにも使われている「ノータム(NOTAM)」は“航空従事者への通知”を意味する航空用語“Notice To Airmen”の略語で、パイロット業務に必要な航空情報を指します。空を飛ぶために欠かせない情報ということで、『風のノータム』というタイトルには“風が飛行許可を出す”という、熱気球を取り上げている本作にふさわしい意味合いが込められています。



ゲーム内では、用意された9つのタスクを達成する「ラウンドモード」と、好きなステージで3つのタスクを自由に遊べる「トライ・タスク」の2つのモードがプレイできます。トライ・タスクではステージだけでなく、時間・気候・BGMも変更可能なので、ある程度はゆったりとしたフライトも可能です。
熱気球ではマーカー(目印)を目的地に投下する競技があり、本作でも同じような競技が採用されています。ゲーム内の飛んでいる動物デザインの気球にマーカーを当てる「ウルフハント」だけは、日本気球連盟のサイトにも載っていないオリジナル競技のようですが、これはゲームじゃなければ危険ですもんね。



なお、本作の印象的なパッケージイラストを描いたのは、大瀧詠一氏の「A LONG VACATION」など多くのアルバムジャケットや広告で知られるイラストレーターの永井博氏が担当。BGMも評価が高く、2023年には四半世紀の時を経てオリジナル・サウンドトラックがリリースされています。各種音楽サービスでも配信中です。
AMIDST(ディスクユニオンの専用レーベル)より。熱気球スパくん号テイク・オフ!
本作はメインモードのほか、オプション設定で熱気球のデザインを編集することができます。デザインできるのは気球部分で、調整した色で三角形のタイルを組み合わせて好きなデザインを作ることが可能です。
というわけで、Game*Sparkで紹介するならやはりこうするべき、とスパくんデザインの熱気球を作ることに。色合いなどは調整しやすいのですが、どうしてもタイルが少し大きいので顔を作るのが難しい……!なんとか完成したスパくん号で、大空への旅を楽しもうと思います。

ギリギリスパくん……?
熱気球の基本操作は上昇と下降のみというシンプルなもので、進む方角を変えるためには熱気球の高度を「風」に合わせる必要があります。風は定期的に吹く方向が変わるので、上手く高度を合わせたり、目的の方角に吹いていない時は流されすぎないように調整しなければなりません。
マップ上には高層ビルや岩山などの障害物があるので、進行方向にある場合は高度や方向を変えて避けなければなりません。ぶつかっても跳ね返るだけで落下はしないのですが、気球の燃料がなくなればタスク失敗となるので、なるべくはタイムロスにならないことを心がけなければなりません。



飛んでるスパ!(精一杯のスパくん要素)
なお、本作のマップは過去・現代・未来の3つのモチーフで、古城や空中庭園、車が空のレールを走る未来都市など、さまざまなロケーションも用意されています。


タスクで腕試し&操縦訓練!
ゲーム内で用意されているタスクには、指定されたターゲット上にマーカーを落とすもの、プレイヤーが任意で三か所にマーカーを落として作った三角形の面積を競い合うものなどがあります。
マーカーの発射は専用の視点に変更する必要があり、放物線を描くのでターゲットを狙う場合には注意が必要です。もちろんマーカーの発射中も熱気球は風に流されますし、強い風で速度が出ていれば狙いは付けにくくなるので、発射時だけ高度を下げたり、あえて逆風や横風に乗せて減速させることもできます。




メインモードのひとつ「ラウンドモード」では、用意された9つのタスクをクリアしてエンディングを目指します。基本的にはゲーム内の3種類のタスクの基本と応用なのですが、プレイのたびに風の流れも異なるので、ときには目的地へ向かう風がまともに吹かないでクリア不能になることもあるので、その際はリトライしましょう。
このモードをクリアすればエンディングが流れ、様々な風景を旅する熱気球の姿が見られます。もちろん自分でデザインした熱気球で遊べば反映されるので、無事にスパくん号も雄大な空の風景をバックに飛ぶことができました。エンディングの最後に流れる“Did you luxuriate in the wind?”という文章は最高です。

最終ミッションは激ムズ!


惜しむらくはフリーモードがないこと
さまざまなロケーションが用意されている本作で惜しいのは、フリーモードに該当するものが存在しないこと。「トライ・タスク」で好きなステージや時間を決められるのですが、どこまでも飛び回れないように燃料の概念が存在してしまいます。また、飛行中に動きを止める操作もありません。
こういった部分は競技やタスクをゲームに組み込んでいることもあるので仕方ないとは思います。スフィンクスや地上絵などの特徴的な名所はやはりインパクトがありますし、条件で発生する虹やオーロラなどの風景もあるので、もしかしたらすべてを見られていないんじゃないかな、と思うと少しもったいなく思います。




一応タイトル画面で放置していればデモが流れて、様々な風景を旅する熱気球の姿も見られます(デザインも反映されます)。当時の容量などでは仕方ないとは思うのですが、今ならフリーモードはもちろんフォトモードなんかも搭載されていたのかな……と思います。
ゲームも決してボリュームがあるとはいえず「ラウンドモード」でエンディングを見たら、後は「トライ・タスク」でベストスコアを目指すことが目的となります。風に任せて操縦するというのは題材的にも面白いですし、風景などにも色々なこだわりが感じられる作品です。それだけに惜しいな、と思います。



熱気球を題材にした『風のノータム』は、簡単な操作で空の旅を楽しみながら色々な競技に挑戦できます。簡単と言っても風の流れは一定ではなく、プレイヤー自身が最適な方向を考えながら高度を変更する必要があり、少し癖はあるものの、それは独自性も高くゲームとしての個性も際立っています。
ただし風によってはクリア不可能になりかねないことや、先述した通り数多くのロケーションが用意されているものの、それを楽しむためのフリーモードがないことなど、惜しいと思う部分も少なくありません。珍しいものがあった!と発見した際の喜びは間違いなく楽しいのですが。


【ARTDINK GAME LOG】の『太陽のしっぽ』にはリマスターモードがあり、鮮明な画面でプレイできます。もし『風のノータム』もラインナップに登場したら、あらためて空の散歩で新たな発見ができればいいな、と思いますね!
