Gamerで執筆しているライターに、年末年始に合わせて自由に書いてもらおうという企画。本記事では仁志睦がお届けします。
いきなり私事で恐縮だが、筆者は2024年の11月をもってゲームライターとしての活動をほぼ停止。現在はセミリタイア中の身で、最新のゲーム事情にはとんと疎くなってしまった。
そんな自分がどんな記事を書けるかと考えて思い立ったのが、「ストーリーに唸らされたゲーム」である。2025年にちなんだ企画は現役バリバリの方々に任せて、本稿では衝撃的な展開を楽しめるもの、伏線が巧みなもの、いろいろ考察したくなるものなど、筆者がプレイしたゲームの中で特にストーリーが印象的な作品を5つ紹介していこうと思う。
ヘラクレスの栄光III 神々の沈黙
独自性に欠けるシステム、平凡なグラフィック、エンカウント率がやたら高いテンポの悪い戦闘……欠点を上げればキリがないが、これらのネガティブな要素をストーリーの評価だけで覆し、多くのゲームファンから「神シナリオ」として称えられた名作である。
1992年にスーパーファミコン向けに発売されたコマンド選択型のRPGだ。シナリオを担当したのは「ファイナルファンタジーVII」や「キングダムハーツ」などのシナリオを手掛けたことで知られる野島一成氏。ギリシャ神話をモチーフとしていて、不死身の肉体を持つ記憶喪失の青年が、自身の正体を知るべく冒険を繰り広げていくことになるのだが、伏線が回収されていく終盤は驚きの連続。意外性に満ちた圧巻の展開に舌を巻くことだろう。
ちなみに、オリジナルのスーパーファミコン版はプロジェクトEGGにてプレイ可能。戦闘システムなどを簡略化した「G-MODEアーカイブス22 ヘラクレスの栄光III 神々の沈黙」もNintendo SwitchやSteamで配信中だ。


BioShock(バイオショック)
2007年に発売されたFPS形式の傑作ホラーゲーム。物語はジャックという青年が航空機の墜落事故に見舞われるところから始まる。ラプチャーと呼ばれる海底都市にたどり着いたジャックは、狂気の表情で襲ってくる住人たちと戦いながら謎に満ちた海底世界をさまようことになる。
提示された目的をこなすことで物語が進んでいく、いわゆる「おつかい型」と呼ばれるオーソドックスな形式のゲームなのだが、本作のストーリーは、このおなじみのシステムを逆手に取ったものになっているのだ。ネタバレになるので詳細は伏せるが、この仕掛けは非常に秀逸かつ当時のゲームファンの常識を覆すもので、シナリオとゲームシステムが高みで融合した傑作として絶大な支持を集めた。
狂気に満ちたカオスな世界観、潜水服に身を包んだ異形のキャラクター「ビッグ・ダディ」、超能力と銃器を駆使して戦うバトルなど、シナリオ以外にも見るべきところは多く、その魅力は今なお失われていない。シリーズ3作品と全DLCが収録された「BioShock: The Collection」も発売中なのでぜひプレイしてみてほしい。

画像はリマスター版の「BioShock Remastered」より。
ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー
2012年にニンテンドー3DS向けに発売されたRPGだ。「FF」シリーズを彷彿とさせる自由度の高いジョブシステム。行動回数を貯めたり前借りしたりできる戦闘。「紅蓮の弓矢」などで知られるRevo氏が手掛けた良質のサウンドなど本作の長所は多いが、意外性に富んだストーリーも大きな魅力となっている。ちなみに、メインシナリオを手掛けたのは「STEINS;GATE」などのシナリオで知られる5pb.(現MAGES.)の林直考氏である。
クリスタルをめぐって光の戦士たちが冒険を繰り広げるという王道ストーリーが展開されるのだが、中盤あたりからじょじょに違和感が大きくなっていき、やがて驚愕の事実に直面することになる。これらの伏線の張り方が大胆かつ巧みで、途中で気づく人もけっこういると思うが、それでも真実が判明したときの衝撃は格別。「そうだったのか!」「やっぱり!」と、さまざまな感情に襲われることだろう。
なお、2025年に本作をHDリマスター化した「ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター」がNintendo Switch2 で発売されている。今プレイするなら、こちらがオススメだ。
細かな改良や変更がなされた完全版「ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル」(右)も発売された。
こちらはリマスター版の「ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター」。
SOMA(ソーマ)
2015年に発売された一人称形式のSFホラーゲームである。開発を手掛けたのはスウェーデンのインディゲームスタジオ・Frictional Gamesで、本格SFとミステリーと哲学が融合したかのような唯一無二のストーリーが一番の見どころになっている。
事故で脳に損傷を負ったサイモンという青年が、治療の最中になぜか謎の深海基地で目覚める。ここはいったいどこなのか、自分はなぜこんなところにいるのか。ゲームを進める過程で手に入る記録や音声データなど、さまざまな手掛かりを通して意外な真実が明らかになっていく。同時に、プレイヤーの倫理観や実存性が問われる展開がいくつもあり、精神を揺さぶられるような独特の恐怖を味わえるのだ。
こう言うとハードルが高く感じるかもしれないが、決してそんなことはない。ステルスアクションが要求される箇所もあるものの、難易度は低めで誰でも気軽にプレイできる。現在、Nintendo Switchで公式日本語対応版が配信中。PC版は日本語非対応だが、非公式の日本語化ファイルが入手可能になっている。


都市伝説解体センター
最後に今年発売のゲームも紹介しておこう。インディゲームながら口コミで人気が広がり、大ヒットを記録。2025年を代表するゲームのひとつで、個人的にもイチオシのタイトルである。
都市伝説にまつわるさまざまな事件を解決していく連作短編型のミステリーゲームだ。一見、単純な謎解きアドベンチャーに見えるが、誰でもクリア可能な低難度かつシンプルなシステム、低解像度のドット絵で描かれたピクセルアート、奇天烈かつインパクト抜群のキャラクターたち……あらゆるところに仕掛けが施されており、全体に張り巡らされた伏線の数々がクライマックスで一気に収束するのだ。
その瞬間、多くの人が「え?」「マジ!?」「ちょっと待って!!」となるはず。さらには、他のプレイヤーの反応を実況動画などで見たくなることだろう。それほどのインパクトとカタストロフィが、この作品にはあるのだ。すでに多くの人がプレイずみだろうが、未プレイで興味があるという人はSNSなどを検索したりせず、すぐに始めるべき。そして、制作陣の仕掛けた罠に存分に翻弄されてほしい。


いかがだっただろう。古い作品もあるが、いずれも最新ハードやPCでプレイ可能である。気になるタイトルがあれば、年末年始の暇つぶしにプレイしてみてほしい。
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