学校でも一人一台パソコンを持つ時代。スマホやゲームなどのデジタル機器は、もはや生活と切っても切れないものとなりました。育児においても、その扱いをめぐる問題は、いまや大きな悩みの一つではないでしょうか。

小児精神科医で3児のママでもある内田舞さんも、子どもたちがオンラインゲームをすることに対して、不安で仕方ない時期があったと言います。しかし一方で、そのゲームに大きく助けられる出来事もありました。机上の空論ではなく、私たちは今ゲームやスマホ、ネットとどのように向き合うべきか。内田さんの書籍『小児精神科医で3児の母が伝える 子育てで悩んだ時に親が大切にしたいこと』より、現実的なデジタル機器の扱い方や親として伝えておきたいことをご紹介します。


SNSやスマホ、ゲームを全面禁止にするのは現実的ではない

最近の子育ての難しさを一気に引き上げているのが、スマホなどのデジタル機器ではないでしょうか。

親が1日中手にしているスマホに、小さい子どもが関心を持たないはずはありませんから、ごく小さい時からYouTubeなどでアニメや動画などを見たがるようになることも多いと思います。「見せすぎるのはよくないのではないか」という罪悪感を抱えながらも、飲食店や電車、飛行機の中など、静かにしていてほしい時に、ついスマホを渡してしまうという親も少なくないでしょう。また、少し大きくなるとゲーム機やスマホ、パソコンなどのゲームに夢中になって、「なかなか勉強しない」「外で遊ばない」といった悩みも出てきます。

さらに、スマホを持ち始める時期はどんどん低年齢化しており、子どもたちのSNSとの付き合い方も心配です。SNSが友達とのコミュニケーション手段の中心になることも多く、情報源にもなっていますが、中毒性もあります。なかなか手放せなくなり、睡眠不足になる子どもも多いですし、犯罪に巻き込まれることも心配です。SNSの中の人間関係は周りの大人に見えにくく、ネットいじめも問題になっています。人と自分を比べて劣等感を持ったり焦りを感じたりと、精神面の影響にも不安があります。

子どもが小さく、親のスマホやタブレットで動画などを見せる場合は、あらかじめ「他に何かやらなければならない時や、誰かが話しかけた時には停止する」と約束をし、早いうちから、「約束をしてそれを守る」という習慣を作ることが大切ではないでしょうか。

大きくなってくると、子どもとデジタル機器に関する悩みはさらに複雑になります。特に個人でゲーム機やスマホ、タブレットを持ち始めると、「SNSやゲームばかりに夢中になっているのをどうしたらいいか」という問題は深刻化します。今は日本でも、ほとんどの小中学校で1人1台パソコンやタブレットを配布しているので、その扱いも難しいようです。オンライン教材で宿題を出されることもあるので、「パソコンで宿題をやっているふりをしていたけれど、実はYouTubeを見ていたりオンラインゲームをやっていた」ということもあるようです。

私も息子たちがオンラインのゲームをすることに対して、不安で仕方ない状態のころがありました。しかし、長男と次男のつながりを大きく助けたのがゲームだったのです。

長男と次男は1歳半差で、小さい頃からいつも一緒に遊んでいる仲ではあったのですが、やはり幼稚園や小学校低学年の1歳半の差は大きく、身体的な力の差や、単純にできることの差があり、それが兄弟間の摩擦になっていた時期もありました。

大きく変わったのが、2人でマインクラフトやロブロックスをやり始めた時期でした。2人でオンラインサーバーの中の世界に建物を建て、あるいは共通の敵と戦うようなゲームを始めると、「ここをこうしてみたら」と提案し合ったり、「この技はこうやるんだよ」と教え合ったり、また新機能が出る度に「こんな機能が出たよ」と興奮しながらお互いに伝え、一緒に試してみたりしていました。

それまでは、長く会話をするとけんかになることも多かったのですが、一緒にゲームをやり出すと、1人がトイレに行っている時にも、もう1人がトイレのある部屋の中の踏み台に座って、ゲームをしながら会話を続けるなどして、何時間も楽しく一緒に遊ぶようになりました。

電子機器やゲームの危険は確かに存在します。しかし、子どもたちの関係性がどんどん改善する様子を見ながら、これは「危険だから禁止」と簡単に捨ててしまうにはもったいないどころか、我が家にとっては兄弟愛を育むための救世主でもありました。


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親から主体的に「教える」べきこと

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