株式会社ポケットペアのBuckyことJohn Buckley氏は12月1日、海外メディアを中心に広まっている“同氏がAAAタイトルに対して批判的な発言をした”といった報道について否定。国内インタビュー記事の一部発言が英訳されてニュアンスが変化したことがきっかけとなったようで、そうした発言はしていないと苦言を呈している。
John Buckley氏は、ポケットペアにてコミュニケーションディレクターを務めてきたほか、今年1月に新設されたPocketpair Publishingにてパブリッシングマネージャーを務める人物だ。今回は同氏が大規模開発ゲーム、いわゆるAAAタイトルを“批判視している”といった報道が海外メディアを発端として広まり、同氏が自ら否定する事態となっている。
Hmm :/
That’s not really what I said…The interview was in Japanese, so maybe it’s just poor translation and the nuance was lost, but there was no negativity towards AAA involved.
I’ll link the original interview below but anyway, at no point was I calling out AAA😴 https://t.co/sMR6KkPbgK pic.twitter.com/dXLjSbO2yO
— Bucky | Palworld (@Bucky_cm) November 30, 2025
Buckley氏が引用リポストしつつ否定していたのは、ゲーム情報系のインフルエンサーPirat_Nationの投稿だ(本稿執筆時点で削除済み)。この投稿では「『パルワールド』の開発者はAAAタイトルに感心しておらず、インディーゲームの方を好んでいる」と主張。その根拠として「AAAタイトルは圧倒的にグラフィックの品質と忠実性(fidelity)に特化している」一方、「インディーゲームにはほかのゲームでは見つからない種類のシステムが含まれている」といった内容がそれぞれ発言の引用のように紹介されていた。
こうした内容についてはBuckley氏自らが「実際に言った内容と違う」と否定。実際にはAAAタイトルに対してネガティブな内容はまったく述べておらず、また非難する意図もなかったと説明している。あわせて元になったとみられるインタビュー記事が日本語だったため、拙い英訳によってニュアンスが失われたのではないかと原因を推察した。
上述したPirat_Nationの投稿の元になったとみられるのは、4Gamerによるインタビュー記事だ。このなかで好みのゲームを訊かれた同氏は、普段プレイするのはほとんどインディーゲームであり、さまざまなインディーゲームをプレイしてきた一方で、いわゆるAAAタイトルにはあまり触れてこなかったと回答していた。
続けてAAAタイトルをあまり遊ばず、インディーゲームにのめり込んでいった理由を問われた同氏は、AAAタイトルはグラフィックの品質や忠実性が圧倒的でその点は素晴らしいと思うものの、ゲームプレイそのもののメカニクスは同氏にあまり響かないことが多いと説明。対してインディーゲームは、特に最近は非常にユニークで見たことのないようなシステムをもつ作品が多いとの考えを述べている。また同氏自身の遊び方の好みとして、プレイするゲームのジャンルをどんどんと飛び移るように変えていくのが好きだといい、そうしたプレイスタイルもインディーゲームとの相性がいいと考えているそうだ。

つまり、一連の発言はAAAタイトルの問題点指摘ではなくあくまでBuckley氏自身の好みであり、AAAタイトルについてもグラフィック品質や忠実性については称賛を述べていたかたち。とはいえ同氏の発言については、GamesRadar+やPC Gamerといった海外メディアも報道。記事本文においてはあくまで同氏の好みについての説明として引用されているものの、見出しや冒頭の要約文においては“AAAタイトルがグラフィック品質に偏っている”といった批判的な意見のような紹介がおこなわれている。そうした報道もあってか、Pirat_Nationの投稿においてはさらに原文のニュアンスから離れて引用されることになったようだ。
今回の件に関連して、日本語での発言の誤訳が海外メディア複数誌に拡散されるケースはしばしば発生しており、今年5月には“堀井雄二氏が『クロノトリガー』のリメイク情報を発言した”という誤報が拡散(関連記事)。また6月には『勝利の女神:NIKKE』の公式YouTubeチャンネルにて公開された対談動画において、出演していた『NieR』シリーズプロデューサー齊藤陽介氏の日本語での発言が公式英語字幕にて“逆の意味”で記載され、こちらも誤報道として広まる一幕があった(関連記事)。今回の一件も含め、今年だけでも誤訳やニュアンスの違いに起因する複数の事例があり、特に日本語の英訳においては別の言語圏での精査が難しいこともうかがえる。
