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 サイコムの「G-Master Hydro Extreme Z890i」は、360mmサイズの巨大ラジエーターを2セット使っている超ド級のデュアル水冷ゲーミングPCだ。しかも、ドイツの新興冷却メーカーLynk+と協業し、NVIDIAのハイエンドGPUであるGeForce RTX 5090を独自に水冷化。従来の水冷モデルとは一線を画すデザインもすばらしい。

 その外見的な特徴については前回詳しく紹介したので、ハードウェア面に興味がある人はそちらを参考にしてほしい。今回は定番ベンチマークを使ってその性能面をチェックしていこう。

CPUはPL1=159W設定で性能と電力効率を最適化

 G-Master Hydro Extreme Z890iのCPUは「Core Ultra 9 285K」。8基のPコアと16基のEコアで24コア/24スレッドのハイエンドモデルだ。デフォルトの電力制限(Power Limit)は、長時間高負荷がかかる場合の「プロセッサーのベースパワー」(PL1)が125W、短時間高負荷がかかる場合の「最大ターボパワー」(PL2)が250Wとなる。

 ただし、この値はPCメーカーによるカスタマイズが認められており、より冷却性能が高いCPUクーラーを搭載し、温度的にも余裕がある場合は、さらに高い値に設定することも可能だ。試用機は360mmラジエーターの水冷クーラーを搭載しているだけに、かなり高い値に設定されているのかと思いきや、PL1=159W、PL2=250Wと、PL1が少し盛ってあるだけだった。

 この設定で性能と温度はどうなるのか、「CINEBENCH 2024」で確かめてみよう。このベンチマークソフトは、CGレンダリング速度からCPU性能を測ってくれるもの。結果は「pts」という単位の独自スコアーで表示し、その数値が高ければ高いほど高性能となる。

 テストは全コア/スレッドを使用する「Multi Core」と、1つだけ使用する「Single Core」の2つ。実行時間は標準となる10分間とした。Multi Coreテスト時は相当な負荷がかかるので、CPUの温度チェックにはうっつけだ。ということで、早速結果を見てみよう。

 Multi Coreが2235ptsで、Single Coreが144pts。よくあるCPUレビュー記事のスコアーと比べると、Single Coreのスコアーは妥当だが、Multi Coreのスコアーは5%前後低くなっていた。これはPL1の設定が159Wになっていることが影響していそうだ。

 PL1のデフォルトは125Wだが、CPUレビュー記事では性能を高くするため、上限が引き上げられている。PL2と同じ250Wとなっている場合も多く、こういった設定の差が出たと見ていいだろう。

 ではなぜ、360mmラジエーターの大型水冷クーラーを採用しているにもかかわらず、PL1を159Wにとどめているのだろうか。もしかすると冷却性能が低いのではないかと思い、モニタリングツール「HWiNFO64 Pro」を使ってCPU温度を監視してみた。すると、Multi Coreテスト中の最大温度は75度。平均では70度を切っており、余裕がある状態だった。

 温度的に問題なければ、あとは電力効率への配慮だ。PL1を250Wに設定した場合、CPU Package Powerのピークである約191Wがずっと続く。159Wからすると約32Wの上昇となるので、約20%ぶん電力消費量が上がることになるだろう。

 それでいて性能は5%前後しか上がらないのだから、電力効率が非常に悪い。というわけで、PL1=159WはCPU温度に余裕を持たせたうえで電力効率が高くなるという、かなり絶妙な設定といえる。サイコムの強いこだわりを垣間見た気がした。

3DMarkのSpeed Wayで1.5万スコアー近い大記録

 続いて、ゲームで重要となる3Dグラフィックス性能を、定番ベンチマークソフト「3DMark」で検証する。3DMarkには多くのテストがあるが、最も重たいテストの「Speed Way」の結果からみていこう。

 なお、このテストはDirectX 12 Ultimateに対応し、リアルタイムのレイトレーシングやグローバルイルミネーションなどを使用したリッチな描画を行なう。最新ゲームを画質重視でプレイしたい場合に参考となるテストだ。

 スコアーは14626と、たいがいのゲーミングPCではまず到達できない値に。参考までに手元のデータを見てみると、GeForce RTX 5080+Ryzen 7 9800X3Dの組み合わせで、ようやく9070スコアーだ。そのさらに1.5倍以上となるだけに、どれだけ高い性能かわかるだろう。

 ほかのテスト結果も下記にまとめておいたので、自分のPCとの性能比較などで役立ててほしい。

FF14は4K・最高品質でも超余裕

 もう少し、実際のゲーム寄りのベンチマークも試してみよう。まずは軽量な「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」(以下、FF14)のベンチマークから。エントリークラスのゲーミングPCでも、フルHD(1920×1080ドット)の高画質設定ぐらいなら快適プレイが目指せるレベルだ。

 G-Master Hydro Extreme Z890iはウルトラハイエンド構成のため、フルHDどころかWQHD(2560×1440ドット)でもかなり余裕があるだろう。そこで、解像度は4K(3940×2160ドット)とし、画質はプリセットの最大となる「最高品質」で試してみた。

 結果は見ての通り、スコアーが21822で。評価は「非常に快適」。文字通り、文句なしに快適なプレイが楽しめるレベルだ。FF14のようなMMORPGやアクションRPGといったジャンルでは、常時30fps以上ならプレイへの影響が少なく、60fps以上表示できれば滑らかな動作で遊べる。

 レポート出力機能を使ってフレームレートをチェックしてみると、平均フレームレートは約158.8fpsで、最低フレームレートは70fps。つまり、4K・最高品質設定でも余裕なことは間違いない。これならゲーム配信でも途中で画面がガタついたりする心配もないだろう。

モンスターハンターワイルズも4Kで快適プレイ

 続いて、ハンティングアクション「モンスターハンターワイルズ」(以下、MHWs)のベンチマークを検証。設定にもよるが、画質にこだわるとかなり重ためなので、フルHDやWQHDでストレスなく遊びたければ、ミドルクラス以上のゲーミングPCが欲しくなるタイトルだ。

 とはいえ、G-Master Hydro Extreme Z890iであれば、4K快適プレイも現実的だ。そこで、解像度は4K、グラフィックプリセットを「ウルトラ」、フレーム生成は「ON」、レイトレーシングは「高」に設定。アップスケーリングは「NVIDIA DLSS」で、アップスケーリングモードは「クオリティ」にした。

 平均フレームレートは157.2fps。フレーム生成を有効にしているが、正直ここまでの好成績になるとは思っていなかった。なお、画面を見ているとフレームレートが落ちるシーンもあるのだが、それでも120fps以上はキープしており、余裕であることに変わりはない。

 というわけで、さらなる高画質化も狙ってみよう。アップスケーリングモードを「NVIDIA DLAA」に変更して、ネイティブ解像度(今回は4K)のままフルに描画するようにしてみた。

 4Kネイティブ描画でも平均フレームレートは130.37fpsと非常に高い。シーンによっては100fpsを切る瞬間もあったが、ほとんどが110fps以上をキープしていたので、アップスケーリングなしでも余裕だ。

 ちなみに、この時のCPUの最大温度は81度、GPUは57.7度。GPUは冷たい外気で冷やせるのに対し、CPUはPC内温度が上昇した状態からの冷却になるため、やや熱めになったのだろう。とはいえ、まだまだ問題ない範囲ではある。

 なお、フレーム生成を切ってみると、平均フレームレートは78.74fpsまで下落。シーンによっては50fps台まで落ちてしまうこともあった。十分遊べるレベルとはいえ、画面がカクつく可能性もある。気持ちよくプレイしたければ、フレーム生成は有効にしたほうがよさそうだ。

黒神話:悟空も4K・最高画質で遊べた

 最後は重量級となる「黒神話:悟空」のベンチマークツール(以下、黒神話ベンチマーク)をチェック。美麗なグラフィックが特徴のアクションRPGとなるだけに、なるべく高画質で滑らかに表示したいところ。95パーセンタイルで60fps以上を目標にしよう。

 まずは解像度を4K、フルレイトレーシングは「ON」、フルレイトレーシングレベルは「超高」、画質レベルは「最高」、フレーム生成は「ON」で固定。DLSSのサンプリング解像度を変更し、どこまで上げられるのか試してみた。

 果たして、G-Master Hydro Extreme Z890iはどこまで快適指標の60fpsをキープできるのか。まずはサンプリング解像度を「65」にしてみた。

 95パーセンタイルで88fpsと、目標の60fpsをサクッと超えてくれた。これなら十分快適に遊べるレベルといえる。一方で、サンプリング解像度を「80」にしても結果はほとんど変わらないという不思議な現象も……(そこまで影響はないのだろうか?)。

 ただし、サンプリング解像度は「90」を超えるとDLSSではなく、DLAAに設定が変化する。それならいっそということで、サンプリング解像度を「100」にして、超解像技術を使わないネイティブ描画の性能を見てみることにした。

 さすがにこの設定だと、95パーセンタイルは50fpsまで下がってしまった。遊べないわけではないが快適とはいいがたい成績なので、サンプリング解像度は「90」未満にしておいたほうがよさそうだ。

まとめ:RTX 5090のデュアル水冷ゲーミングPCで夢を見よう

 テストを通して最も驚いたことは、スコアーやフレームレートの優秀さではなく、その性能を発揮しているとは思えないほどの動作音の低さだ。もちろん、一般的なPCと比べればファンが多いぶん回転音は聞こえるが、それでこの性能なら静かな部類といえる。

 しかし、「これくらいの動作音なら、排気の温度はそこまで高くないかな」と思って手をかざすとかなり熱かった。これは発熱が大きいCPUやビデオカードを、効率よく冷却できていることの証左だろう。360mmという大型ラジエーターは十二分に機能している。

 性能をとことん追求したゲーミングPCが欲しいけど爆音は嫌だ……という人にとって、G-Master Hydro Extreme Z890iは唯一無二の1台になるだろう。デュアル水冷PCの最強モデルが欲しいと考えているなら、ぜひチェックしてほしい。

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これが100万円超PCの性能だ!水冷RTX 5090を搭載するデュアル水冷ゲーミングPCを検証

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