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サイコムの「Premium Line Mini B850FD/E2/A」は、Mini-ITXベースの小型筐体を採用しながらハイエンドな構成も選べるゲーミングPCだ。レビュー用にお借りした試用機のCPUはRyzen 7 9800X3Dで、ビデオカードはGeForce RTX 5080採用モデルだった。
つまり、一般的なミドルタワーPCと遜色のない構成である。一方で、本当にこの小さな筐体で本来の性能が出せるのかは気になるところ。ミニPCはエアフローが十分ではない場合が多く、冷却が間に合わなければ性能が低下することもあるからだ。
しかし、安心してほしい。Premium Line Mini B850FD/E2/AのCPUクーラーは240mmラジエーターの水冷モデル。ビデオカードは垂直に立て、側面パネルの吸気口近くになるように配置している。底面には2つの吸気ファンを用意するなど、冷却対策には余念がない。
とはいえ、その対策が万全であるかどうかは、実際に試してみるまでわからない。そこで、前回の外観レビューに続き、本稿では定番の各種ベンチマークテストを用いてその実力をチェックしていく。
CPU温度は最大でも82.2度の安定動作
まずはPremium Line Mini B850FD/E2/AのCPU温度がどこまで上がるのか。そして、性能はどこまで引き出せるのかを「CINEBENCH 2024」で確かめてみよう。
このベンチマークソフトは、CGレンダリング速度からCPU性能を測ってくれるもので、結果は「pts」という単位の独自スコアーで表示する。この値が大きければ大きいほど高性能となる。今回は、10分以上繰り返し計算が行なわれるデフォルト設定のまま試した。
テストは全コアを使用する「Multi Core」と、1つだけ使用する「Single Core」の2つ。前者は比較的長い時間高負荷が続くため、CPU温度がどこまで上昇するのかを見極めるテストにも向いている。
結果はMulti Coreが1334ptsで、Single Coreが132pts。同じCPUを搭載した別のミドルタワー型PCの過去データを見ると、Multi Coreが1334pts、Single Coreが133ptsとなっており、今回のデータとほぼ一致。小型PCながらも、Ryzen 7 9800X3Dの性能をしっかり引き出せていることがわかった。
CPUの温度は、CPUやマザーボード、ビデオカードなどの各種センサーを読み取ってくれるモニタリングツール「HWiNFO64 Pro」でチェック。CINEBENCH 2024のMulti Coreテスト終了直前の様子がこちらだ。
CPU温度は最大82.2度で平均は75.8度。動きを見ていると、大体75~80度あたりを上下しており、CPUの温度としては正常な範囲内だ。水冷クーラーがきっちり仕事をしてくれていることがわかる。
また、各種電力制限が100%に達していないこと、CPUパッケージパワーも120Wを超えたあたりで安定していることから、常時フルに動作している様子が見てとれる。このことからもしっかりと本来の性能が発揮できていると確認できた。
もう1つ、CPUの性能を計測するベンチマークとして、「Blender Open Data」のベンチマークツールを試してみよう。これはmonster、junkshop、classroomの3つのデータを使い、CGレンダリング性能を評価してくれるもの。結果はSamples per minute(1分あたりのサンプル数)で表示する。
CPUだけではなく、GPUを使ったレンダリングも試せるが、ここではCPUの結果だけを見てみよう。なお、Blenderのバージョンは4.5.0を選択している。
データはサイトで集計されているため、性能比較がやりやすい。今回試したRyzen 7 9800X3Dの中央値は334.78となっており、テスト結果の合計(約342.1)はその値を上回った。このことからも、本来の性能が発揮できていると考えてよさそうだ。
GeForce RTX 5080のポテンシャルを十分引き出している
続いて、ゲーミングパフォーマンスを知るうえで重要にある3D描画性能を、定番の「3DMark」でチェックしよう。多くのテストがあるが、まずは最も重たい「Speed Way」から。これはDirectX 12 Ultimateに対応したテストで、リアルタイムのグローバルイルミネーションやレイトレーシングなどが使われている。
さすがGeForce RTX 5080ということで、スコアーは9070と高い。同GPUを採用したPCの平均よりもやや低くなっているが、分布図を見る限りは中央値に近く、性能面では大きく見劣りしているわけではない。
念のため温度もチェックしてみたが、GPUは最大71.5度で、CPUは最大76.1度。どちらも十分な余裕があり、小型PCにありがちな冷却不足による性能低下は起こっていなかった。
ほかのテスト結果は以下にまとめておいたので、自分のPCとの性能比較などで役立ててほしい。
もう1つ、GPUの性能を試すため、CPUでも試したBlender Open Dataのベンチマークツールを動かしてみよう。CPUの時と同じように3つのデータでレンダリングするテストだ。
CPUの結果は約342.1だったが、GPUの結果は約9210.4。単純計算で約27倍も高速で、その性能差は圧倒的だ。イマドキのクリエイティブ系ソフトではGPU支援が重要だが、これだけの差があればそれも当然だろう。
なお、GeForce RTX 5080の中央値は9164.61。こちらもCPUと同じく中央値を超えており、小型筐体ゆえの熱だまりの影響は少なく、本来の性能が発揮できているようだ。
FF14は4K・最高品質でも超余裕
ゲームに近いベンチマークも試してみよう。まずは「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下、FF14ベンチマーク)から。
といっても、このベンチマークは軽量級。Premium Line Mini B850FD/E2/Aの試用機のハイスペック構成からするとかなり軽い。画質をプリセットの最高となる「最高品質」、解像度を4K(3840×2160ドット、フルスクリーン)にした場合の結果がこちらだ。
17294スコアーで評価は「非常に快適」。レポート出力機能でフレームレートを確認してみると、平均は約119.1fpsで最低は76fpsと、全シーンで危なげなく60fpsを超えていた。
MMORPGやアクションRPGでは、最低フレームレートが30fpsを超えていればプレイへの影響が少なく、60fpsを超えていればカクツキを感じない滑らかな表示ができるレベルとなる。つまり、今回の構成であれば、FF14は4Kの最高画質設定でも間違いなく快適に遊べることになる。
モンハンワイルズも4K・高画質で快適プレイ
続いては、「モンスターハンターワイルズ ベンチマーク」(以下、MHWsベンチマーク)を試そう。こちらはやや重ためとなるものの、設定次第では4Kでも快適プレイが期待できる。
まず試したグラフィックプリセットは「ウルトラ」。フレーム生成は「ON」、レイトレーシングは「高」とした。アップスケーリングとフレーム生成が使われるため、フレームレートを上げやすい設定となる。なお、解像度は4Kとしている。
平均フレームレートは114.06fpsでほぼ常時100fps以上を維持していた。これだけのフレームレートが出ていれば、快適に遊べることは間違いない。ということで、もう少し画質を高められるのではないかと欲が出てしまった。
そこで、先ほどの設定からアップスケーリングモードを「クオリティ」から「DLAA」に変更。これは超解像技術を使わず、最初からネイティブ解像度(今回の場合は4K)で描画するものだ。当然、描画負荷は大きく上昇するが画質は良くなる。
平均はフレームレートは91.81fpsと、まだまだ快適プレイが期待できるレベル。一瞬70fps台まで落ちることもあったが、すぐに80fpsに回復したので、カクツキを感じることはほとんどないだろう。画質にこだわりたい人にはうれしい結果だろう。
なお、フレーム生成を「OFF」にすると、平均フレームレートは56.26fpsまで下がってしまった。アップスケーリングを「DLSS」に戻しても、フレーム生成が「OFF」ではシーンによって60fpsを切ることもある。4Kでプレイするなら、基本的にフレーム生成は有効にしておこう。
黒神話の4Kプレイは設定次第
重量級となる「黒神話:悟空」のベンチマークツール(以下、黒神話ベンチマーク)でもテストしてみた。美麗なグラフィックがウリのアクションRPGだけに、可能な限り画質を高めたいタイトルだ。
デフォルトで設定されているサンプリング解像度「50」、スーパー解像度「DLSS」、フレーム生成「ON」はそのまま、フルレイトレーシングは「ON」、フルレイトレーシングレベルは最も高い「超高」、画質レベルは「最高」に変更した。解像度はもちろん4Kだ。
平均フレームレートは89fps、95パーセンタイルも79fpsと高め。この結果なら滑らかな動きで遊べるはずだ。ただし、サンプリング解像度が「50」ということもあり、よく見ていると細部にノイズがあり、ディテールが落ちてしまっていた。
これを解決するにはサンプリング解像度を上げるしかない。そこで、設定を「80」に変更して試してみた。
平均こそ61fpsだが、95パーセンタイルでは54fpsと60fpsを切ってしまった。ゲーム自体は問題なくプレイできるとはいえ、シーンによってはカクツキが気になってしまう可能性がある。とはいえ、ディテールはだいぶ改善され、ノイズ感はかなり減った。画質重視で遊ぶなら、こちらの設定もアリだろう。
なお、フルレイトレーシングを「OFF」にするとフレームレートはかなり上がる。描画の美しさよりも快適さを重視するなら、フルレイトレーシングを無効にしてもいいかもしれない。あるいはいっそ4Kをあきらめ、素直にWQHDに解像度を下げるのも手。十分なフレームレートが狙えるハズだ。
まとめ:小型PCでもゲーミング性能で妥協したくないならコレ!
Mini-ITXベースの小型ゲーミングPCは、熱の問題から高性能なPCパーツの採用が難しい。しかし、Premium Line Mini B850FD/E2/Aは、適切なPCパーツ選定とレイアウトの工夫などで、その常識を見事乗り越えた1台といえる。
近年消費電力が増大傾向にあるGPU対策に、1000WクラスのSFX電源ユニットを用意している点もいい。PC自作なら自分であれこれ選択できるが、BTOパソコンだとなかなかこうはいかない。その点、さすがはサイコムのカスタマイズメニューといったところ。ケーブルレイアウトも容易にはマネできないレベルの仕上がりだった。
一方で、その小型さゆえに一般的なミドルタワーよりも価格はお高めだ。また、動作音はそこまで大きくないものの静かでもなく、深夜に動画エンコード作業を行なうといった用途には向いていない。同社のBTOパソコンであれば、コスパを求めるなら「G-Master VELOXシリーズ」、静音性重視の人は「Silent-Master NEOシリーズ」を選んだほうが満足できるだろう。
しかし、Premium Line Mini B850FD/E2/Aには、標準で2年間の長期保証があるほか、無償オーバーホール、下取りを含むアップグレードといったサービスがある。つまり、1台のPCを長く使うための仕組みが、最初から用意されているのだ。お気に入りの1台を少しでも長く使いたい人はぜひチェックしてほしい。
小さいのにRTX 5080が入っちゃうRyzen 7 9800X3D搭載ゲーミングPCは4Kゲームプレイも快適だった
