NEOWIZはSteamで配信中のアクション「SANABI(サンナビ)」において、スピンオフDLC「SANABI: A HAUNTED DAY」を配信した。DLCの価格は無料。「SANABI」は、NEOWIZが2023年11月9日に発売した、“サイバーパンク朝鮮”の世界観で繰り広げる横スクロールのアクションゲームだ。

 元軍人の主人公が復讐を果たすために、謎の存在「SANABI」を追って、巨大コングロマリットが支配する大都市の秘密に迫っていく。「2024 INDIE GAME DEVELOPMENT AWARD」にて「Best Action Adventure Game」を受賞しており、名実ともに高いを評価を獲得していることでも知られている。

 今回配信されたDLCは、本編より“13年前”の過去の時系列にて物語が展開されていく、スピンオフとなっている。さらに本DLCではプレイアブルキャラクターが主人公ではなく、作中に登場するキャラクター「ソン・イスン」(以下、『ソン少佐』)を使用することになる。

 本稿では、DLCの配信直前に先行プレイする機会に恵まれたので、実際にプレイした上での感想をお届けしていきたい。なお、「SANABI: A HAUNTED DAY」はスピンオフDLCという位置付けだが、本編がナラティブ性の高い作品であるため、クリア後にプレイするのが推奨されるところではある。それに伴い、本稿でもゲーム本編が未プレイの読者に考慮して、物語のクリティカルなネタバレは避けている。

【SANABI [Indie World 2022.11.10]】

ソン少佐だからこそ。ステージ攻略アクションに横スクロールの奥深さを体感!

 ステージがリニア式の構造であるのは本編と同じ。だが、ワイヤーアクションを駆使する主人公と比べて、移動面での制約を受けているソン少佐では、ステージ進行のプロセスに“独自のアプローチ”が求められてくる。

 そこには前述した二段ジャンプやショットガンの反動、さらには空中攻撃を当ててジャンプの回数をリセットするなど、ややテクニカルな操作を要求する場面が多々見られた。しかし、それがかえって本編と違った意味での奥深さとなり、これまでにない新しい「SANABI」を垣間見れたようでもあった。一見難しく思えてきそうなテクニックも、直感的に攻撃アクションを繰り出せる操作性とテンポの良さが、習熟する感覚を掴みやすくしている。

 ゲーム中、便利そうなワイヤーアクションを使うでもなく、武器だけを巧みに用いるところにソン少佐のキャラクター性が反映されている気もした。豪快な戦う姿に見る、敵を倒すためだけの無骨さが、DLC冒頭でも言われている通り“人間兵器”的でカッコいい。

 ソン少佐の動きにアクションを魅せるための飾り気は一切なく、全ての攻撃に純粋な殺意が徹底して込められているのが、ドット絵ながらに伝わる。「SANABI」のドット絵キャラクターはわずか2~3頭身ほどのデフォルメデザインを採用しているはずなのに、表情豊かでアニメーションの躍動感も白眉だ。

 本DLCは、プレイ時間およそ2時間ほどでエンディングに到達できるボリューム感で構成されている。クリア後は、ステージ攻略とボスバトルのタイムアタック「スピードランモード」を楽しむことも可能だ。

 なお、DLCを最後まで遊び通しても、ゲーム本編の核心部分に迫るネタバレなどはない。あくまでソン少佐という人物の過去について描かれているエピソードだ。ただ、スタッフロールでは彼女の人柄をより分かりやすく知れる、ちょっとした”サプライズ的な演出”なども盛り込まれていた。本稿冒頭で、DLCは本編クリア後を一応の推奨としたが、逆にDLCクリア後に初めて本編を遊ぶことでしか得られない、特別なカタルシスもあるかもしれない。

 本作を開発するワンダーポーションは、今年9月8日公開した開発者ノートにて「線形的なゲーム構造の中で、プレイを拡張することが難しい状況」と前置きしつつも、投稿の締めには「多くの時間と努力を費やした分、皆様のゲームプレイが新しく楽しいものになれば幸いです」としており、本DLCがもたらすゲーム体験は、実際その通りであることを裏付けたように思う。

 「SANABI」はゲーム本編だけで物語が完結を迎えるシナリオ構造のため、バトルスタイルもキャラクターのバックボーンも異なる、全くの別人をプレイアブルキャラクターに据える必要があったとされる。そんな中で生まれた「SANABI: A HAUNTED DAY」は、既存キャラクターにスポットを当てながら、ゲーム本編でのソン少佐の見え方に、新しい視点を加えてくれたものだと言える。既に「SANABI」をクリアしたプレーヤーも、あるいはまだ未プレイという方も、この機会にDLC込みで、ゲームを遊んでみてもらいたい。

主人公とソン少佐の出会いとは、いかようなものだったのだろうか衝突する場面も…!?

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